広報誌

Vol.20 2014年3月発行

JFAキッズ(U-6)サッカーフェスティバル/東京都・味の素フィールド西が丘 2014年1月26日

JFAキッズ(U-6)サッカーフェスティバル 写真1

子供と共に親まで巻き込みサッカーファミリーを増やす

 「FC東京のビジョンに賛同したというのが一番です。これまで、イタリア籍監督がJリーグで指揮を執ったことがないというのは知っていました。私の周りには『どうしてわざわざ日本に行くんだ?』と言ってくる人もいました。確かに、外側から見れば難しいチャレンジに思うかもしれません。でも、私自身が新しい環境、新しい国で監督をやることに高いモチベーションがありました」

JFAキッズ(U-6)サッカーフェスティバル 写真2

 2014年1月26日、味の素フィールド西が丘で「JFAキッズ(U-6)サッカーフェスティバル」が行なわれた。このフェスティバルは、2002年FIFAワールドカップ記念事業としてスタートし、幼児年代からのサッカーの普及促進を目指して実施されている。各都道府県サッカー協会にて独自に開催することで、これまでサッカーに親しんだことのない子供を含めて、より多くの子供たちがボールを蹴る楽しみを身近に味わえるチャンスを与え、キッズサッカーの浸透に努めるという狙いがある。

 「ふかふかの芝生だから転んでも痛くないし、思い切ったプレーができる。ここでサッカーをやった子供たちには『ボールを蹴るのって楽しい』という記憶が残るはず。そうすれば小学生になってもサッカーを続けてもらえるし、大人になってからもサッカーを見に来てくれる。つまり、サッカーファミリーになってくれる。だから、このイベントは日本サッカーにとってすごく大事なものなんです」

JFAキッズ(U-6)サッカーフェスティバル 写真3

 視察に訪れた東京都サッカー協会・上野二三一会長は、ピッチで子供たちが元気よくボールを蹴る姿に目を細めながら言う。Jリーグや高校サッカー選手権などトップレベルの試合にも使われる、手入れの行き届いたピッチでボールを追いかける子供たちの表情は実に楽しそうだ。

 東京都サッカー協会キッズプロジェクトリーダーとして、キッズ年代の普及活動を担当する金澤安昭氏は語る。

 「JFAキッズサッカーフェスティバルは年3回を目安に行なっています。それからFC東京、東京ヴェルディ、三菱養和SCなどにもご協力いただいて東京都内の幼稚園への巡回指導を行なっています」

 昨年度の巡回指導の実績は実に160回。各幼稚園・保育園にクラブのコーチが出向いて、"ボール遊び"の楽しさを教えて回る。こうやって最初のきっかけを作ってあげることによって、サッカーを好きになる子供を増やしていく。このような草の根活動のおかげで、少子化の中でサッカーの占める割合はどんどん増えているという。さらに金澤氏は子供だけでなく、それを応援する親にもサッカーを広める活動を行なっている。

JFAキッズ(U-6)サッカーフェスティバル 写真4

 「親、特にお母さんたちの中にはサッカーをやったことがないという人が多い。やったことがないと、子供に対して『どうしてあんなこともできないの?』とキツいことを言ってしまう。そうした親の言葉によってサッカーを嫌いになってしまう子も少なくありません。サッカーって実はこれだけ難しいんだよというのをお母さんたちに知ってもらうために、ママさんのサッカー大会をやっています」

 子供だけでなく、親も巻き込んでサッカーの魅力を伝えて、サッカーファミリーになってもらう。決して派手ではないが、このような地道な活動が東京サッカーの文字通り"根っこ"を作っていくに違いない。

 ピッチに目を移せば、様々なユニフォームに身を包んだ子供たちがボールを追いかけている。ポジションは基本的にはない。そのため、ボールのあるところを追いかける子供が大半なのだが、よく見るとゴール前に残ってシュートを狙っている子や、仲間のカバーをしている子がいる。本能的にシュートを決めやすい場所をとったり、ゴールを守ることに喜びを感じたりしているのだろう。子供たちが"ボールを蹴る"ことから、"サッカーをする"楽しみに目覚める日は、そう遠くないはずだ。

JFAレディースサッカーフェスティバル/東京都・駒沢陸上競技場 2014年2月22日

JFAレディースサッカーフェスティバル 写真1

初心者の女性にもサッカーを楽しんでもらう

 2月22日、「JFAレディースサッカーフェスティバル」が東京・駒沢陸上競技場で開催された。このフェスティバルは一般のチームでも自由に参加できる。しかも、参加費は無料。今回は17チーム、158人が晴天に恵まれたピッチで汗を流した。

 東京都女子サッカー連盟の原田洋安委員長がフェスティバルの趣旨を説明する。

 「サッカーファミリーを増やしたいというのが最も大きなテーマです。今回のフェスティバルに参加した人の多くは大人になってからサッカーを始めた人たち。そういう人たちにボールを蹴る機会を提供して、サッカーを楽しんでもらうために年に2回開催しています」

JFAレディースサッカーフェスティバル 写真2

 年齢は30〜50代が中心だが、10代や20代の選手もいる。子供のサッカーを応援しているお母さんたちで結成したチームもあれば、初心者サッカー教室で知り合った仲間同士で参加しているというチームも。多彩な人たちがボールを通じてつながれるのはサッカーの大きな魅力だろう。

 このフェスティバルは、都内の競技場で行なわれ、特にこの駒沢競技場は天然芝のためリピーターも多い。通常、子どものサッカークラブの練習の脇で、また小学校の校庭等で練習していたり、チームで天然芝や人工芝といった競争率の高いグラウンドを確保するのはなかなか難しい。また、このフェスティバルの日程に合わせて久しぶりに昔の仲間が顔をあわせ、楽しんで帰るチームも少なくない。

 チーム単位での参加だけでなく個人での参加も受付しており、人数の少ないチームに合流したり、個人参加同志でチームを組むなどの調整を行なっている。(注:今回は個人参加はいなかった)

 ここ1、2年は、もっとゲームがしたいという要望を受け、希望のチーム同志でフレンドリマッチも空きコートで組んでいる。

 実際に、参加者たちからの感想で最も多かったのは「天然芝のピッチでボールを蹴ることができて、すごく楽しかった」というもの。2時間という短い時間ではあったが、最高のグラウンドで、気の合う仲間たちとボールを蹴った女性たちの表情には充実感が浮かんでいた。

PickUpTeam1

Cravina 代表者:戸田良子さん

PickUpTeam1 写真

 大田区にある少年チームのお母さんたちで立ち上げたチームです。週1、2回のペースで近所の廃校になったグラウンドや多摩川のグラウンドの抽選に申し込んで活動しています。私自身はサッカーをやったことがなかったのですが、子供の応援で見ているうちにやってみたいなと思って、40歳を超えてから始めたんです(笑)。私と同じように初心者が多いのでレベルは高くありませんが、みんなすっかりサッカーにハマっています。サッカーをやってよかったこと?たくさんあります。足腰が強くなること。それまでは簡単によろけていたけど、バランスが良くなりました。それから太らなくなったこと。デトックス効果もありますね。

PickUpTeam2

SSTレディース 代表者:蔵田明美さん

PickUpTeam2 写真

 渋谷区で開催されている初心者向けのサッカー教室があって、そこに来ている女性メンバーで作ったチームです。サッカーを通じて知り合ったので、年齢や出身もバラバラです。このイベントには2007年から毎年参加させてもらっています。女性だけで出られるイベントはあまりないので貴重な機会ですし、天然芝でボールを蹴ることができる。それでいて無料というのは信じられません!絶対に次も参加したいです。ボールを蹴ることの楽しさですか?一番はストレス解消です。ボールを蹴って、思い切り走っているとスッキリします。それから健康にも良いと思います。サッカーを楽しむためにも、健康的でいようと思うようになりました。