広報誌

Vol.24 2015年3月発行

日テレ・ベレーザがなでしこリーグ優勝!

女子サッカーリーグ「プレナスなでしこリーグ」2015 シーズンは、日テレ・ベレーザが5年ぶり13回目の年間優勝を果たした。2010年の優勝を最後に4年連続2位だったチームは、どのようにして頂点に返り咲いたのか。

若手とベテランが融合

日テレ・ベレーザ

1981年、読売サッカークラブの女子チームとして創部。2000年度より日テレ・ベレーザにチーム名を改称。「ベレーザ」とはポルトガル語で美人を意味する。これまでの主な戦績はリーグ優勝13回、準優勝8回、全日本女子選手権優勝11回、準優勝7回。常にタイトルを狙えるチームであり続けると共に、各年代の代表で核となり、世界の舞台で戦える選手の育成を目指す。

 日テレ・ベレーザを2015年から率いる森栄次監督が優勝の要因として真っ先に挙げたのが「若手とベテランの融合」だった。
 「昨年まで監督だった寺谷真弓コーチが、若い選手を粘り強く使って育ててくれました。その子たちがちょっとずつ良くなってきて、経験を持っているベテランの選手と噛み合うようになってきた。そこが一番の要因だったのかなと思います」
 ベレーザが最後に優勝したのは5年前の2010年。当時のチームには澤穂希選手を筆頭に日本代表クラスのスターが何人もいた。しかし翌11年に澤ら主力選手がINAC神戸に移籍。新たなチームを作っていくことになった。それ以降、INACの一強時代となって、優勝からは遠ざかっていく。
 「我慢の時期でしたが、若い選手にとって成長する場が与えられた。ある試合でミスをしたとしても、次の試合で挽回するチャンスがもらえる。チームの結果だけを考えればマイナスかもしれませんが、長い目で見た時には必要なことだったと思います」
 森監督が「大きい」と語るのがなでしこジャパンの主力選手でもあるDF岩清水梓選手と、MF阪口夢穂選手の存在だ。突出した経験を持つ二人が、チームの雰囲気を作り出してくれたと言う。

日テレ・ベレーザ 写真1なでしこジャパンの主力でもある
キャプテンのDF岩清水梓選手とMF阪口夢穂選手

 「彼女たちが素晴らしいのは、一番は性格です。周りの選手をいたわることができる。例えば、阪口は若い選手がミスをしたときに、『次行こうよ』と声をかけてあげる。もし同じ場面で『何をやってるんだよ』と言われたら、若い選手は次からトライしなくなりますよね。でも、阪口が前向きな言葉をかけることで、チャレンジするようになる。岩清水はキャプテンとして、みんなと話し合いながら、チームの和を作ってくれている。みんなが同じ方向を向いていたと思います」
 昨シーズンのベレーザでは若い選手たちの活躍が目立った。その中でも森監督が「伸びた」と評価するのが右サイドバックのDF清水梨紗選手、レフティのMF籾木結花選手、148センチの小柄なMF中里優選手の3人だった。
 「清水はどんどんオーバーラップしていくし、籾木は意外性のあるプレーをします。中里も体は小さいですが、ドリブルで切れ込んでいく。それぞれの個性をピッチ上で出すことによって、チーム力が上がっていったのは間違いありません」
 2011年の女子ワールドカップ世界一に輝いたなでしこジャパンの主力選手の多くは、ベレーザ出身選手だった。そして今、女子サッカー界の未来を担っていく逸材が、着実に力を伸ばしてきている。
 若い選手たちがユースで技術を磨いて、トップチームに上がり、試合経験を積み、日本代表に羽ばたいていく——。
 現役時代は読売クラブでプレーし、引退後はヴェルディで各カテゴリーの監督やコーチを務めてきた森監督は、それこそが「チームの文化」だという。

日テレ・ベレーザ 監督 森 栄次

 「クラブハウスのトレーニングルームを覗くと、ヴェルディの選手とベレーザの選手がサッカーについて話している場面をよく見ます。そういう交流は昔からあったし、今も変わっていません」
 男子のトップチームである東京ヴェルディは15シーズンのJ2で、一時3位まで順位を上げるなど大きな期待を抱かせた(最終順位は8位)。
 「もうちょっと時間はかかるかもしれませんが、確実に良くなっています。若い選手が伸びていけばJ1昇格できるチームになっていくと思います」
 主力選手の大量移籍から着実に積み上げて優勝をつかみ取ったベレーザの姿は、ユース育ちの若手が中心となりつつあるヴェルディにも重なる。
 日本サッカーを引っ張って来た"緑の軍団"から目が離せない。