広報誌

Vol.22 2015年3月発行

第21回全国クラブチームサッカー選手権大会1回戦/東京都・味の素フィールド西が丘 2014年11月1日(70分・延長20分・PK戦)

南葛SCが1回戦で九州代表・嘉島SCに勝利

第21回全国クラブチームサッカー選手権大会1回戦 写真1南葛SCのFW目黒翔太(白・中央)は前線で力強く攻撃を牽引した

追いつかれても突き放す全国大会の初戦を突破!

 雨の中、味の素フィールド西が丘で行われた「第21回全国クラブチームサッカー選手権大会」の1回戦。開催地・東京都代表の南葛SCは九州代表の嘉島SC戦に臨んだ。南葛SCは葛飾区からJリーグを目指し、2013年に本格的に活動をスタートしたチームだ。
 「全国大会はトーナメントなので、何よりも大事なのは勝つこと。だから、パスをつなぐことにこだわり過ぎるのではなく、蹴るところは蹴って、シンプルにプレーしようと話していた」(南葛SC・向笠実総監督)。
 先制ゴールは15分、南葛SC。藤田峻作がサイドから蹴ったフリーキックが、相手選手に当たってコースが変わり、ゴールネットに吸い込まれた。だが、九州代表の嘉島SCもすぐさま反撃する。3分後の18分、ゴール前でこぼれ球を拾った宮田望が左足で〝ドライブシュート〞を突き刺したのだ。
 その後24分、南葛SCが勝ち越す。司令塔・谷本修のパスを起点に、ゴール前で津波明、目黒翔太とつながって、ペナルティーエリア内でパスを受けた清水修平が持ち込みシュート。このまま前半は2-1の1点リードで折り返す。
 だが後半、嘉島SCに再び追いつかれてしまう。54分、ゴール前のこぼれ球を拾われて2 -2。次の1点が勝敗を分けそうな雰囲気の中、65分、南葛SCは18歳のDF近藤大介がコーナーキックから魂のダイビングヘッドを決めて、3-2とした。タイムアップまで残り5分でのゴールが決勝点となって、南葛SCが大事な全国大会の初戦を突破した。
 試合後、「一つでも多く勝ち上がりたい」と向笠総監督が抱負を語った南葛SC。翌日11月2日に行われた2回戦・青梅SCとの〝東京対決〞を3-2で制して、全国ベスト4へと勝ち上がった。準決勝ではザスパ草津チャレンジャーズに0-1で惜しくも敗れ、優勝こそならなかったものの、堂々の3位で大会を終えた。

PLAYER'S VOICE

南葛SC / 谷本 修

南葛SC / 谷本 修 写真

 今日の課題はゴールを決めた後。もっと落ち着いて試合を運べれば良かった。ピッチを広く使ってサイドから崩していくのが僕たちのサッカー。今日は雨の影響であまり良い内容ではなかったので、明日以降は頑張りたい。

第21回全国クラブチームサッカー選手権大会1回戦/東京都・味の素フィールド西が丘 2014年11月1日(70分・延長20分・PK戦)

青梅FCが後半の2ゴールで四国代表・昭和クラブを下す

第21回全国クラブチームサッカー選手権大会1回戦 写真1青梅FCは雨の中でも高い技術を武器に、ゲームをコントロールした

名門チームが味わった初戦の難しさ

 第1試合の南葛SCに続いて、味の素フィールド西が丘のピッチに登場した東京都代表の青梅FC。何度も全国の舞台を経験している社会人の名門チームにとっても、初戦は特別なものだという。
 「目標はもちろん優勝です。まず結果を出して明日につなげるのが最低条件です」(菊地歩選手兼監督)
 四国代表の昭和クラブとの1回戦では、青梅FCがセンターバックの福井佑太とボランチの坂本隆を起点にしたポゼッションで押し込む。前半のシュート数は青梅FCの8本に対して、昭和クラブは0本。完璧にゲームをコントロールしていたものの、前半はゴールネットを揺らすことはできなかった。
 ハーフタイム、菊地選手兼監督は「パスで崩す意識が強過ぎたので、前にスペースがあるときは自分で運んでいこう」とアドバイスを送った。
 待望の先制点が生まれたのは後半立ち上がりの37分。右サイドの小宮山翔悟からのクロスを、原田琢也が右足のボレーで合わせた。
 「相手が全体的に引いていたので、ちょっと焦ったところもあったが、1点取ってかなり楽になった」(菊地選手兼監督)
 その後は1点リードしたまま試合展開は変わらず。だが、試合終了間際の68分、DFラインの背後に飛び出した岩田朗がGKとの1対1を確実に決めて2-0。大事な初戦を突破した。菊地選手兼監督は社会人チームならではのチーム事情を明かした。
 「4日間の集中開催で、平日も含まれているので仕事で来られない選手もいます。今日も登録メンバー全員が来れているわけではない。だけど、お互いの良いところはわかっているので、それを合わせていくことが大事になる」
 2回戦に勝ち上がったものの、青梅FCは南葛SCに2-3で敗れ、目標としていた全国優勝を果たすことはできなかった。

PLAYER'S VOICE

青梅FC / 福井 佑太

青梅FC / 福井 佑太 写真

 今日はDFのメンバーがあまり来れなかった。全体的にボールを回せて、リズムを作れていたと思う。気をつけていたのは攻めているときの中盤のスペース。カウンターを受けないようにバランスをとりながら、高い位置を保つことをチーム全体で考えていた。

JFAグラスルーツフェスティバル/東京都・味の素スタジアム西競技場 2014年11月30日

サッカーをする喜びを、たくさんの人に

JFAグラスルーツフェスティバル 写真1天然芝の素晴らしいグラウンドで、94名の子供たちは思い切り体を動かした

JFAグラスルーツフェスティバル写真2遊びの要素が盛り込まれたメニューに、子供たちからは自然と笑顔がこぼれた

サッカーと子供の〝接点〞を作り出す

 11月30日、東京都調布市にある味の素スタジアム西競技場には、約100人の〝キッズ〞が集まった。この日行われたのは「JFAグラスルーツフェスティバル」。日本サッカー協会が行っているグラスルーツ(草の根)へのサッカー普及活動の一環で、今回はサッカー初心者を対象に6歳以下の子供たちが参加した。
 サッカーボールを多少は蹴ったことがある子から、ほとんどやったことがない子まで、レベルはさまざま。そのため、どの子供でも楽しめるように工夫されたプログラムが用意されていた。子供たちはランダムにグループに分けられ、「サーキット」「ドリブル」「シュート」「鬼ごっこ」という4つのセッションを移動していく。
 今回のフェスティバルで中心的な役割を担った実行委員会事務局の藤村孝幸氏が言う。
 「今回は天然芝の素晴らしいグラウンドでできるので、なるべく芝生と触れ合えるメニューを盛り込みました。ボールを蹴ったことがなくて、うまく蹴れなかったとしても子供たちにとって『芝生で遊ぶのが気持ちよかった』と思ってもらえれば」
 サーキットではゴールネットをくぐったり、芝生の上を転がりながら進んだりといった遊び的なメニューがあった。肌触りが良く、クッション性が高い、天然芝のグラウンドでの遊び体験は子供たちに「楽しいもの」としてインプットされたはずだ。
 スタッフにはFC東京、東京ヴェルディ、三菱養和SCの普及コーチが参加した。普段から幼稚園などに出向いての普及活動を行っているだけあって、子供たちを盛り上げるための術は心得ている。楽しい雰囲気で子供たちをリラックスさせて、興味のなさそうな子供にも積極的に声をかけて、引き込んでいく。
 ドリブルやシュートのセッションでは、ボールをあまり蹴ったことのない子供にも、わかりやすくコツを教えてあげた。見ていて感じたのは「褒める」ことの重要性だ。
 例えば、シュートが決まらなかったとしても、ボールにミートできたことを「ナイスプレー!」と褒めてあげる。褒められたら、子供はまたやってみようと前向きにトライしようとする。
 サッカーがうまくなることではなく、サッカーが好きな人を増やすこと―。サッカーが好きになれば、自然とボールを蹴るようになるし、上達していく。そのための〝種まき〞こそが、グラスルーツの目的である。前述の藤村氏もその点を強調する。
 「子供たちにサッカーとの〝接点〞を作ってあげることが大事です。そうすれば、この子たちが小学校に上がったときに、サッカーを選んでくれるかもしれない。キッズに関わる人間の役割というのはすごく重要だと思っているので、責任と自覚を持って、今後も取り組んでいきたいと思います」

JFAグラスルーツフェスティバルとは?

「グラスルーツ」とは草の根、民衆の、といった意味があります。サッカーとの出会いやきっかけを提供し、誰もがサッカーの楽しさに触れられるように、このフェスティバルを開催しています。今回はU-6を対象とし、参加人数は男子:83名、女子:11名の合計94名。

TOPICS

全国大会における東京都チームの活躍を紹介します。

優勝:日テレ・ベレーザ
第36回皇后杯全日本女子サッカー選手権大会
 1月1日に味の素スタジアムで行われた、日テレ・ベレーザと浦和レッズレディースによる決勝戦。前半の19分、田中美南のゴールで先制したベレーザは、この1点を守り切って1‒0で勝利。ベレーザが2009年の第31回大会以来、11回目となる優勝を果たした。
優勝:FC東京U‒15深川
高円宮杯 第26回全日本ユース(U‒15)サッカー選手権大会
 2014年12月27日に味の素フィールド西が丘で開催された決勝戦。FC東京U‒15深川はヴィッセル神戸U‒15と延長戦にもつれ込む接戦を3‒1で制して、6年ぶり2度目の日本一となった。また、FC東京U‒15深川はフェアプレー賞も受賞した。
優勝:日テレ・メニーナ
JOCジュニアオリンピックカップ第18回全日本女子ユースサッカー選手権大会
 1月7日、J‒GREEN堺(大阪)で行われた決勝戦は日テレ・メニーナと、浦和レッドダイヤモンズレディースユースがぶつかった。浦和に先制されたものの、メニーナは前半のうちに逆転に成功し、2‒1でリードして折り返す。後半にも追加点を挙げ、5‒2で勝利したメニーナが大会5連覇を果たした。
優勝:十文字中学校
第5回全日本女子ユース(U‒15)フットサル大会
 愛知県のスカイホール豊田で行われた同大会。決勝に勝ち上がった東京都の十文字中学校は、前回大会準優勝のクラブフィールズ・リンダ(北海道)と対決。前半から激しい点の取り合いとなったゲームを決めたのは、十文字中学校の蔵田あかり。5‒4で勝利した十文字中学校が5代目女王に輝いた
第3位:東京都
第69回国民体育大会(サッカー競技)女子
 長崎県で開催された第69回国民体育大会。東京都(女子)は初戦の熊本県との試合をPK戦の末に勝ち上がると、地元・長崎県との2回戦を1‒0で勝利。決勝進出を懸けた準決勝は、宮城県と延長戦にもつれ込んだが、2‒4で惜敗した。その後の3位決定戦で福島県に勝利し、3位で大会を終えた。
第3位:FC東京U‒18
2014Jユースカップ 第22回Jリーグユース選手権大会
 クラブユースチームの日本一が争われた同大会。予選リーグを1位で勝ち上がったFC東京U‒18は、横河武蔵野FCユース、大分トリニータU‒18を下して準決勝へ。ガンバ大阪ユースに1‒2で敗れて優勝は逃したものの、3位という結果を残した。
第3位:ファンアカデミー
バーモントカップ 第24回全日本少年フットサル大会
 1月4〜6日の3日間、駒沢オリンピック公園体育館と大田区総合体育館で行われた同大会。ジュニアの強豪チームがひしめく中、東京都のファンアカデミーは準決勝まで勝ち上がる大躍進を見せた。また、ファンアカデミーは同大会のフェアプレー賞も受賞している。