広報誌
Vol.25 2016年9月発行
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第21回東京都サッカートーナメント/第96回天皇杯全日本サッカー選手権東京都代表決定戦/東京都・味の素フィールド西が丘 2016年8月21日(日)18:00 キックオフ / 主催:公益財団法人東京都サッカー協会 / 共催: NHK、共同通信社、東京新聞・東京中日スポーツ
早稲田大学が19年ぶりの天皇杯出場
午前の部、午後の部を合わせて2370名の子供が参加した
8月21日、「第21回東京都サッカートーナメント」の決勝が味の素フィールド西が丘で開催された。2年連続で決勝に勝ち上がった早稲田大学は明治学院大学に2-1で逆転勝利を収めた。早稲田大学は東京都サッカートーナメント初優勝を果たすと共に、東京都代表として天皇杯に出場する。
早稲田大学が見せた後半の勝負強さ
8月21日に味の素フィールド西が丘で行われた東京都サッカートーナメントの決勝戦。今年は明治学院大学と早稲田大学の学生対決となった。関東大学リーグ2部の明治学院大学は、準決勝では関東サッカーリーグ2部の日立ビルシステムをPK戦で下して、初の決勝進出。一方の早稲田大学(関東大学リーグ1部)もJFLに所属する東京武蔵野シティFCをPK戦の末に撃破。昨年に引き続き、2年連続で決勝に勝ち上がった。
大学リーグの1部・2部の対決とあって、試合前の予想は早稲田大学が有利というものだったが、1発勝負のトーナメント戦では何が起こるかわからない。明治学院大学は格上の相手を倒す"ジャイアントキリング"を虎視眈々と狙っていた。
早稲田大学は昨年の決勝戦ではFC町田ゼルビアと対戦し、試合終了間際の失点で敗れた。その試合に出場していたMF相馬勇紀が「昨年は決められるところを決められなくて負けてしまった。何としても今年は出場したいと思っていました」とチームの気持ちを代弁した。
先制したのは明治学院大学だった。前半のアディショナルタイム、MF黒石川瑛がフリーキックをゴール前に入れると、DF高橋龍世が頭でわずかにコースを変える。明治学院大学が前半終了間際という最高の時間帯で先制し、ハーフタイムに入った。
前半アディショナルタイム、明治学院大学が先制に成功した
大森一伸監督は前半について「出来過ぎ」と評した。「0-0で折り返せればと思っていたので。ハーフタイムには0-0のつもりでやろうと話しました」。
後半に入ると、早稲田大学は前半以上にパワーを強めてきた。53分、右サイドの相馬がドリブルで仕掛けて、外を回ったサイドバックの新井純平にパス。新井のクロスに合わせたのはFW飯泉涼矢。本来はDFながら、チーム事情でFW起用された飯泉のヘディングは惜しくも枠を逸れる。
早稲田大学にとっては、「決めるところを決められなかった﹂昨年の記憶がよぎる展開だっただろう。だが59分、相馬がDFラインの背後に飛び出してパスを受けたところを、明治学院大学DF横山充に倒される。横山は決定的機会の阻止で退場となって、数的優位の状況となった。このフリーキックを相馬が鮮やかに突き刺し、早稲田大学が同点に追い付く。
「11人であれば守り切るというプランを組めたが...。10人になって早稲田大学のパワーをかわせなかった」と大森監督が悔やんだように、退場者が出てからは運動量で勝る早稲田大学が一方的に押し込んだ。
早稲田大学が61、70分の連続得点で試合をひっくり返した
70分、早稲田大学が追加点。左サイドからのクロスを、ゴール前でマークを外したFW中山雄希がコントロールから落ち着いてシュートを決めた。逆転後も、早稲田大学の走力は最後まで落ちない。10人の明治学院大学に反撃のチャンスを与えず、2-1でタイムアップを迎えた。
早稲田大学が東京都サッカートーナメントで初優勝すると共に、19年ぶり28回目となる天皇杯出場権を獲得した。
「昨年の経験があったので勝つことができたと思っています」
古賀聡監督が振り返ったように、先制される難しい展開になっても、冷静さを失わずにゲームをコントロールし、相手の隙をうまく突いたことが勝因となった。早稲田大学は天皇杯における「最後の学生王者」(1966年)だ。だからこそ、天皇杯には特別な想いがあると古賀監督は言う。「天皇杯では一戦一戦が勝負のつもりで戦いたい」
敗れはしたが、明治学院大学にとっては天皇杯出場をかけた決勝の舞台に立ったのは大きな経験となった。今年から昇格した関東大学リーグ2部では最下位に低迷するが、大森監督は「今回の経験を自信にして後期リーグで巻き返したい」と語った。
I N T E R V I E W
早稲田大学 / 監督 古賀聡
早稲田大学には学生最後の天皇杯チャンピオンという歴史があるので、他のチームよりも天皇杯にかける思いは強いと思います。昨年の決勝戦ではラストのところで失点して悔しい思いをしたので、その経験もあって今日は勝つことができたと思います。天皇杯で厳しい試合ができることに喜びを感じています。
第40回日本クラブユースサッカー選手権(Uー18)大会/東京都・味の素フィールド西が丘 2016年8月4日(木) / 主催:公益財団法人日本サッカー協会、一般財団法人日本クラブユースサッカー連盟
FC東京U-18が8年ぶりのタイトル
クラブユースの日本一に輝いたFC東京U-18
全国9地域の代表32チームによって争われた「第40回日本クラブユースサッカー選手権(Uー18)大会」。決勝に勝ち上がったFC東京Uー18は清水エスパルスユースを2ー0で下して優勝。MVPはFC東京Uー18の半谷陽介、得点王は久保建英(5得点)がそれぞれ獲得した。
チームのテーマは主体性を持って戦うこと
日本クラブユース連盟に所属するチームによって争われる「日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会」。FC東京U-18は4チームによるグループDを1位で突破すると、ノックアウトステージではベスト16で浦和レッズ、準々決勝で横浜FC、準決勝で川崎フロンターレを下して、味の素フィールド西が丘で行われる決勝戦に勝ち上がった。
FC東京U-18は、この大会で過去2回優勝している。最後に優勝したのは2008年。8年ぶりとなるクラブユース日本一を目指すチームが取り組んできたのが﹁主体性を持って戦うこと」(佐藤一樹監督)だった。「ベンチに監督ではなく、(チームマスコットの)ドロンパのぬいぐるみを置いていても勝てるチームになってほしい」というように、ピッチ上で選手たちが自分たちで考え、行動することを求めてきた。
2点目を決めた半谷。大会MVPに選出された
序盤からFC東京U-18が試合の流れをつかむ。ピッチ上の11人が積極的にアクションを起こしたFC東京U-18に先制ゴールが生まれたのは32分のこと。サイドチェンジのパスを受けたMF伊藤純也が左から折り返すと、後方から走り込んだMF鈴木喜丈が右足を振り抜くと、ポストに当たったボールは相手GKに当たってゴールネットを揺らした。
「今日はいつも以上に得点に絡めるように意識していた」(鈴木喜丈)
前半終了間際の45分、DF岡崎槙のロングフィードにFW半谷陽介が抜け出すと、右足で落ち着いて決めて2点目。FC東京U-18が2点リードして前半を折り返した。
後半は清水エスパルスユースの高い位置からのプレッシングと、人数をかけた攻撃に何度もチャンスを作られる。ボールを前に運べず、耐える時間が長くなったが、「主体性を持って戦うこと」に取り組んできたチームが自分たちを見失うことはなかった。
「試合前に決勝は何が起こるか分からないのでメンタリティーのところを話しました。最後まで笛が鳴るまで走ることを言って入ったので、それができて良かったと思います」(蓮川壮大)
62分、佐藤監督は中学3年生のFW久保建英をピッチに送り込む。今大会で全試合途中出場ながら5ゴールを挙げたジョーカー的存在の久保だが、相手にボールを持たれる時間が長くなった今日の試合では、前線からの献身的なディフェンスでチームメートを助けた。
何度かピンチを迎えたがGK波多野豪を中心としたディフェンスでシャットアウト。2点のリードを守り切ったFC東京U-18が2-0で清水エスパルスユースに勝利した。
"ホーム"とも言える味の素フィールド西が丘で、多くのサポーターの応援を受ける中、見事に優勝を勝ち取ったFC東京U-18。試合後、選手たちから胴上げされた佐藤監督は「8年ぶりのタイトルなので、サポーター、育成に携わる皆さんに今回の優勝を届けられてうれしく思っています」と声を弾ませた。
I N T E R V I E W
FC東京Uー18 / 監督 佐藤一樹
8年ぶりのタイトルなので、サポーター、育成に携わる皆さんに今回の優勝を届けられてうれしく思っています。今シーズンはFC東京Uー23チームでJ3リーグに出場していて、Uー18とUー23を兼ねてプレーしている選手もいる中で、全国大会で結果を出してくれました。
TOPICS
全国大会における東京都チームの活躍を紹介します。
優勝:都立八王子拓真高校と都立世田谷泉高校(両校優勝)
- 平成28年度 全国高等学校定時制通信制体育大会 第26回サッカー大会
- 8月5〜9日に静岡県で行われた定時制高校による全国大会。決勝戦は東京勢同士の対戦となった。試合は両チームスコアレスで延長戦に突入。延長前半2分、世田谷泉高校が待望の先制点を挙げる。そのままタイムアップかと思われたが、試合終了間際に都立八王子拓真高校がPKを獲得。これを決めて同点に。延長戦でも決着が着かなかった試合は、大会規定により史上初の両校優勝となった。
優勝:東京都選抜(Lazos2011)
- 第16回全国シニア(60歳以上)サッカー大会
- 60歳以上のシニアチームによる全国大会が6月4〜6日、長野県で開催された。決勝は松本平広域公園総合球技場(アルウィン)で行われ、東京都選抜(Lazos2011)と広島県選抜60が対戦。東京都選抜は13分に先制するが、追いつかれてしまう。それでも32分(20分ハーフ)、東京都選抜が勝ち越しゴールを挙げる。このまま2‒1でタイムアップを迎えて、第14回大会以来の優勝を果たした。
準優勝:フットボウズ・フットサルU-18
- 第3回全日本ユース(Uー18)フットサル大会
- 今回で3回目となる高校生年代でのフットサル日本一決定戦。東京都で活動するクラブチームのフットボウズ・フットサルU‒18は、新潟県の帝京長岡高校との決勝に臨んだ。フットボウズは一時は3‒0までリードを広げるが、反撃を許して同点に。お互いに点を取り合うゲームは5 ‒5で延長戦に突入する。延長で先行されたフットボウズは6‒8で敗れて、惜しくも準優勝となった。
準優勝:東京消防庁
- 第45回全国自治体職員サッカー選手権大会
- 鹿児島県で8月5〜11日の7日間に渡って行われた自治体職員で構成されたチームによる全国大会。決勝戦は4年連続で東京消防庁と藤枝市役所の組み合わせになった。2013年以来の優勝を目指した東京消防庁だったが、決勝では藤枝市役所に0‒6で完敗。日本一返り咲きはならなかった。
準優勝: 日テレ・メニーナ
- JOCジュニアオリンピックカップ第19回全日本女子ユース(U–18)サッカー選手権大会
- 1月3〜7日、大阪のJ‒GREE堺で行われた女子のユース年代の全国大会。2010年から5年連続で優勝してきた日テレ・メニーナは、今大会も決勝まで勝ち上がった。決勝では初出場となるセレッソ大阪堺ガールズにPK戦の末に敗れ、6連覇はならなかった。
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