広報誌

Vol.25 2016年9月発行

第71回国体関東ブロック大会/山梨県・押原公園、韮崎中央公園 2016年8月13・14日、17・18日 / 公益財団法人日本体育協会/山梨県/関東ブロック各県教育委員会、関東ブロック各都県体育協会、一般社団法人関東サッカー協会

「第71回国民体育大会関東ブロック大会」が成年男子と女子は8月13、14日、少年男子は8月17、18日のそれぞれ2 日間、山梨県で開催された。東京都は少年男子が全国大会の出場権をかけた1 試合目で強豪・千葉県に見事勝利し、本大会への切符を勝ち取った。

少年男子が本大会出場を果たす

粘り強い戦いで強豪・千葉を下す

少年男子強豪・千葉に勝利して全国大会出場を決めた少年男子

 少年男子は関東U-16トレセンリーグの結果によって組み合わせが決められる。第3節終了時点でAブロック1位だった東京は、Bブロック2位の千葉県と出場権をかけて戦うことになった。
 今回のチームを率いる竹原康夫監督は千葉県をスカウティングした時点で「かなり厳しい試合になる」と覚悟していた。
 「中盤は柏レイソルU-18の選手たちによってスムーズにパスを回していて、流通経済大学付属柏高校や市立船橋高校の選手がハードワークをする。攻守にバランスが良くて隙がない」
 大会直前の強化合宿、東京都はこれまで採用していた3-5-2から4-1-4-1へのシステム変更を決断した。ボールを持たれることを想定し、中盤に「アンカー」と呼ばれる守備的な役割の選手を配置したのだ。
 竹原監督の予想通り、立ち上がりから千葉県がボールを支配する展開になる。攻撃時は中盤の選手が近い距離感を保ちながらパスを回し、サイドバックが高い位置をとって厚みを加える。それに対し、東京都はアンカーの松浦里玖がDFラインと中盤の間、バイタルエリアと呼ばれるスペースを埋めて、決定的なプレーを阻む。

 先制したのは東京都だった。8分、右サイドのコーナーキックを獲得。キッカーの杉山伶央がグラウンダーで出したパスを米津天がポストプレーで落とすと、ペナルティーエリアの外から棚橋尭士がシュート。このボールが相手に当たってこぼれたところを山本蒼也が押し込み、ゴールネットを揺らした。「千葉県のほうが実力的に上というのはわかっていた。その中でどうやって勝つかを意識してやってきた。セットプレーは練習通り。先制したことで気持ち的にも楽になった」(棚橋)
 最終合宿では新しいシステムに加えて、セットプレーの練習にも時間を割いた。守備の時間が長くなれば、何度もチャンスがあるとは考えにくい。得点を決めるためにはセットプレーが重要なカギになると考え、フリーキックやコーナーキックでの動き方を確認して試合に臨んでいた。

8分、DF山本蒼也が貴重な先制点をゲットした8分、DF山本蒼也が貴重な先制点をゲットした

 先制されたことで、千葉県は攻撃に人数を割いてきたが、東京都はキャプテンの佐々木陸生が最終ラインから大きな声を出して、マークのズレや、ポジショニングを修正。千葉県にバイタルエリアへの侵入を許さない。「後ろがしっかり守って、良い形で前線にボールを入れればやってくれると思っていました。チームとしての意識の統一がしっかりできていたので迷いはなかったです」
 前半を1点リードで折り返すと、千葉県は後半開始から2人を同時投入。攻撃的な選手を増やして、ゴールへの圧力を強めてきた。東京都は前半以上に防戦一方となったが、前半同様に統率のとれた守備で跳ね返した。54分に訪れた千葉県選手とGKとの1対1の場面も、「後ろにいると安心できる選手」(佐々木)というGK大内一生がビッグセーブ。その後もチーム全員で守り切った東京都が、千葉県を1-0で下して全国大会への切符を勝ち取った。

FW棚橋尭士はチーム最多3本のシュートを放ったFW棚橋尭士はチーム最多3本のシュートを放った

 竹原監督は「チームとして決めた戦い方を全員がしっかりと実行してくれたおかげ。最後まで我慢してくれた」と千葉県の猛攻を凌ぎ切った選手たちを讃えた。1トップとして前線で体を張って、最多3本のシュートを放った棚橋は「キャプテンを中心に前向きに声を出してくれたし、GKもビッグセーブをしてくれた。ベンチも一丸となっていた」とチームの一体感を強調した。
 粘り強く、我慢強く戦った70分。全国大会出場という目標を達成したチームは最高の笑顔で喜び合った。

I N T E R V I E W

少年男子 / DF 2 監督 佐々木陸生

少年男子 / DF 2 佐々木陸生 写真

 試合前から粘り強く戦おうと話していました。僕自身はうまい選手ではないので、後ろから声をかけて、みんなが集中を切らさないように心掛けました。先制点のセットプレーは狙っていた形。千葉県の実力は僕たちより上だったかもしれないけど、全員の力で勝つことができたと思っています。

監督・・・竹原 康夫 / 高輪高等学校
PosNo.氏名所属
1GK大内 一生横浜FCユース
2DF佐々木陸生三菱養和サッカークラブユース
3DF新井 秀明川崎フロンターレU-18
4DF山本 蒼也桐光学園高等学校
5MF杉山 伶央FC東京U-18
6DF松浦 里玖東京ヴェルディユース
7MF高橋  黎國學院大学久我山高等学校
8DF草住晃之介FC東京U-18
9MF天野 悠貴FC東京U-18
10FW棚橋 尭士横浜F・マリノスユース
11FW米津  天成立学園高等学校
12GK遠藤 雅己桐蔭学園高等学校
13MF安永 玲央横浜FCユース
14FW赤井 裕貴帝京高等学校
15DF齋藤 我空駒澤大学高等学校
16MF中込 雅樹東海大学付属高輪台高等学校

ボールを支配しながらカウンター2発に沈む

成年男子ボールは支配したものの、ゴールまでが遠かった

 成年男子の初戦の相手は地元・山梨県だった。昨年に引き続きチームを率いる熊谷寛監督は「初戦がすべて」ととらえて、調整を行ってきた。前半は技術に勝る東京が山梨を圧倒する。コンパクトな陣形を保ち、相手に奪われた後もセカンドボールを拾って、そこからゴールに向かっていく。しかし、ラストパスが合わなかったり、ゴール前に人数をかけきれなかったりしたことで、シュート数はわずか4本に留まった。前半はスコアレスで折り返す。
 後半は先制点を狙いたかった東京都だったが、過半数を山梨学院大学サッカー部で占めるチーム構成の山梨県に対して攻め込まれる。
 前半はうまくいっていたサイドチェンジに対してしっかり対応され、逆にピンチを迎える場面も。それでもカウンターから一気にゴール前へシンプルに攻め、白井豪が2度のチャンスを迎えるも、ゴールの枠をとらえきれず。徐々に足が止まり始め、動きが少なくなっていく。
 「選手が日々努力してくれているのは伝わっていたので、徐々に上げてきていたんですけど、そこまで良い方向に出ていなかったのかなとは思います」(熊谷監督)

成年男子成年男子は開催地・山梨県に0-2で敗れて初戦敗退

 61分、東京都は深い位置でボールを奪われ、マークが甘くなった左サイドを破られ、最後は途中出場の高橋建也の左足で豪快にネットを揺らされた。失点後、東京都はボールを動かそう、ゴールに向かおうというメッセージを込めて交代のカードを切る。だが、交代直後の64分、1失点目と同じような流れから裏を取られ0-2。
 最後までゴールを目指したものの、熊谷監督が「うまくベクトルが合わなかった」というように、東京都の攻撃は最後まで噛み合わなかった。
 熊谷監督は「素晴らしいメンバーに集まってもらって、自分としては可能性を感じていた。結果を出しにきたけど、このメンバーで初戦敗退となったことはすごい責任を感じる。自チームに帰って東京の社会人サッカーを盛り上げてほしい」と総括した。

監督・・・熊谷 寛 / 東京都社会人サッカー連盟
PosNo.氏名所属
1GK白子 哲平エリースフットボールクラブ東京
2MF園田慎一郎エリースフットボールクラブ東京
3DF小島 暢明株式会社日立ビルシステムサッカー部
4DF香西 克哉LB-BRB TOKYO
5DF安藤  謙エリースフットボールクラブ東京
6MF中田 航平CERVEZA FC 東京
7MF近藤 洋史CERVEZA FC 東京
8MF小松 聖音東京海上フットボールクラブ
9MF白井  豪早稲田ユナイテッド
10FW岡元 思帆三菱養和サッカークラブ
11FW山下真太郎エリースフットボールクラブ東京
12GK康  成宇早稲田ユナイテッド
13DF下村 悠太三菱養和サッカークラブ
14MF川田 悠介LB-BRB TOKYO
15MF引間 俊也三菱養和サッカークラブ
16MF加藤 正樹エリースフットボールクラブ東京

後半終了間際に痛恨の失点を喫する

女子キャプテンとしてチームを引っ張った田嶋みのり

 昨年、和歌山県で開催された「2015紀の国わかやま国体﹂で準優勝という結果を残した女子。2年目となる岩崎陸監督の下、昨年以上の結果を出すことを目指し、関東ブロック大会に臨んだ。
 今大会のチームは東京都の各カテゴリーのトレセン活動などを経験した選手によって構成された。選手の多くが大学や高校でプレーしている若い選手だ。
 「大学ではまだあまり試合に出られていない選手もいますが、国体で厳しい試合を経験することで伸びていく。試合を通じて強くなっていくようなチームにしたい」(岩崎監督)
 初戦の千葉県戦、東京都は7分にボランチの山田美緒和がハーフウェイライン付近からポスト直撃のロングシュートを放つなど、幸先の良い立ち上がりを見せる。しかし、その後はジェフユナイテッド市原・千葉レディースの選手が16名中13名という千葉県の連携のとれたパスワークに押し込まれる時間帯が続く。
 「守ってカウンターというゲームになるとは思っていました。でも、プレスがハマらなくて、ボールを奪うことができなかった」(田嶋みのり)

女子東京都vs千葉県は0-1で惜しくも敗れた

 後半に入ると、千葉県のチャンスがさらに増える展開に。東京都はサイドで攻撃の起点をつくられ、全員が低い位置まで押し込まれ、攻撃の糸口をつかむことができない。劣勢の中でも何とか耐えていた東京都だったが、後半のラスト2分、ゴール前で相手選手を倒してしまいPKを取られてしまう。このPKをGK鈴木佐和子が一度は止めたが、こぼれ球を押し込まれ、痛恨の失点を喫した。そのまま0-1でタイムアップ。日本一という夢はついえた。
 「DFラインは最後まで頑張っていたので(PKは)仕方がない。東京のペースの時間帯に1点取れれば良かった」(田嶋)
 さまざまなカテゴリー、チームから選考された"オール東京"で臨んだ女子。その経験を各選手が所属チームで生かし、未来につなげることを期待したい。

監督・・・岩崎 陸 / 慶應義塾体育会ソッカー部女子
PosNo.氏名所属
1GK鈴木佐和子浦和レッドダイヤモンズレディースユース
2DF高山のはら浦和レッドダイヤモンズレディースユース
3DF藤本はるか大東文化大学女子サッカー部 楓昴
4DF村上 朱音スフィーダ世田谷FC
5MF工藤 真子慶應義塾体育会ソッカー部女子
6DF山田美緒和東京国際大学
7MF中川さらさ大東文化大学女子サッカー部 楓昴
8DF海老澤桃子日体大FIELDS横浜サテライト
9MF田嶋みのり東洋大学体育会サッカー部女子部
10FW今井裕里奈日体大 FIELDS 横浜
11FW有田 佳奈尚美学園大学女子サッカー部
12GK木村みなみスフィーダ世田谷FCユース
13MF佐藤 美月日体大 FIELDS 横浜
14FW柏原 美羽スフィーダ世田谷FCユース
15DF岡本 祐花日体大 FIELDS 横浜
16FW安田祐美乃スフィーダ世田谷FCユース