関東社会人サッカー大会は、関東8都県の社会人リーグ優勝チームなど全16チームが関東リーグ入りを争うトーナメント大会だ。今年度は埼玉県で開催され、東京都からは青梅フットボールクラブ、早稲田ユナイテッド、三菱商事サッカー同好会の3チームが出場した。
東京都社会人1部リーグ1位の青梅FCは、フットボールクラブ真岡21との初戦に臨んだ。「相手の蹴るサッカーに最初は慣れなかった」とキャプテンの福井佑太が語ったように、青梅FCはロングボールを放り込んでくる相手の前に、本来のつなぐサッカーをさせてもらえず苦しんだ。
13分、ロングボールにDF福田寛が懸命に足を伸ばすが届かず、裏に飛び出した高橋正稔にループシュートを決められ、先制されてしまう。「ボールを支配しながらも先に失点してしまうのは、リーグ戦から通してのウチの悪い癖。そこが出てしまった」(北原由監督)。
 国体選抜メンバーでもあるFW岩田朗が3得点
それでも16分、ペナルティーエリア内をドリブルで仕掛けた平松翔が倒されて得たPKを、エースの岩田朗が決める。試合が振り出しに戻ったのも束の間、23分には再び失点。真岡21の中川孝に一瞬の隙を突かれてリードを奪われてしまった。
チームのピンチを救ったのは、またしても岩田だった。「後ろの状況が見えていなかったんですけど、相手の逆を突けた」(岩田)。40分、左サイドから強引に突破した吉田幸史のパスを受けた岩田が、振り向き様に中に切れ込み1人をかわすと、2人目のDFも股抜きでかわしてシュート。鮮やかに2人を抜き去った岩田のファインゴールによって、同点に追いついて前半を終えた。
ハーフタイム、北原監督から「我慢してやるしかない。初戦から良い試合はできない」と声をかけられた青梅FCの選手たちは、気持ちを切り替えて臨んだ。
66分、左サイドに流れたボランチの坂本隆が中央へ鋭いパスを送る。このパスを岩田がワンタッチでDFをかわして、そのままシュートを放つ。「自分の得意なフェイントがうまくはまったので、シュートも落ち着いて打てた」。これがゴールネットを揺らし、青梅FCがついに勝ち越した。
 東京都1部リーグ1位の青梅フットボールクラブ
後半、青梅FCはチーム全体で素早くプレスをかけて相手を封じ込め、安定した試合運びを見せた。3-2のままでタイムアップ。エース岩田のハットトリックで1回戦を突破した。
「とりあえずよかったなということです。今日はもうちょっと楽な試合になるかなと思っていたんですが……。やっぱり関東はそういう訳にはいかないなと」。福井の言葉を裏付けるように、東京都代表の早稲田ユナイテッド、三菱商事サッカー同好会と東京のチームが初戦敗退してしまった。
青梅FCは2回戦、茨城県1位の鹿島さわやかに4-3で勝利したが、準決勝の埼玉1位・坂戸シティーとの対決は岩田のゴールで先制するも、逆転されて1-2で惜しくも敗退。関東リーグ昇格という目標を果たすことはできなかった。それでも関東リーグ昇格がなくなった中で戦った3位決定戦では、埼玉3位のアルドール狭山相手に2-1で競り勝ち、見事3位入賞を果たした。
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