東京都女子1部リーグは全10チームで行われ、総当たり1回戦で優勝を決める。12月9日、無敗で1位の慶應義塾ソッカー部女子は、2位のソシオスFCとの第8節に臨んだ。慶應義塾が勝てば最終節を待たずに優勝が決まる。ホームである慶應義塾大学グラウンドには、OBや関係者も応援にかけつけた。
慶應義塾の強みは7試合で40得点を挙げた爆発的な得点力だ。豊富な運動量と正確な技術を武器に、ここまでは他を圧倒して勝利してきた。そんな強力な相手に対して、ソシオスの小林晃監督は勝つ術を見つけ出していた。
 好天に恵まれたピッチで熱戦が繰り広げられた
「慶應義塾の強さはわかっていたので、自分たちは相手の弱いところを突いていこうとしました」。
小林監督の狙いは、「優勝がかかっていたこともあって、ちょっと硬さがあった」(岩崎陸監督)相手に見事にはまる。5分、相手のDFラインでのパスを高い位置からプレスをかけて奪うと、相手が戻ってくる前にMF安久遥がロングシュート。鮮やかな放物線を描いたボールはGKの頭の上を超えてゴールネットを揺らした。
 慶應義塾の石原愛海は何度も好機を演出した
その後は、慶應義塾は10番の石原愛海のアイデア溢れるプレーを起点に何度もゴールに迫っていくが、ソシオスの集中した守りを崩せない。16分には、味方からパスを受けた石原がDFを背負ったままダイレクトでスルーパス。裏に飛び出したボランチの原志帆がGKとの1対1を迎えるが、シュートは止められてしまう。
守りを固めていたソシオスの2本目のシュートは23分、1点目を決めた安久がまたしてもペナルティーエリアの外から左足で狙う。強烈なシュートはGKに当たりながらゴールイン。ソシオスが2点をリードし、前半を折り返した。
 3-0の快勝にソシオスFCの選手はガッツポーズ
後半、慶應義塾は前半以上に積極的にゴールを狙っていく。しかし、ソシオスの守護神・末永雅子の好守に遭ってことごとく決まらない。ゴールが決まったのは76分、ソシオスの安久が、ドリブルでDFをかわしてペナルティーエリアの外から左足を振り抜く。地を這うようなグラウンダーのシュートが、慶應義塾のゴールに突き刺さって3点目。
岩崎監督が「今日はソシオスさんの日でしたね」と脱帽するように、ことごとくシュートが外れた慶應義塾と、ことごとく決まったソシオスの差が、3-0というスコアに表れる形となった。ソシオスの小林監督は「優勝のチャンスはまだ残っている。奇跡を起こすためにも勝ちたかったのでうれしい」と話した。
慶應義塾は最終節で引き分け以下だとソシオスに優勝を譲るという状況に追い込まれたが、最終節でスフィーダ世田谷FCユースに2-1で勝利し、優勝を決めた。
慶應義塾は東京都リーグ王者として1月19日から行なわれた関東リーグの入替戦に臨み、2回戦で東京国際大学に敗れ、関東リーグ昇格とはならなかった。
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