会長からのあいさつ

公益財団法人東京都サッカー協会 会 長 上野二三一

 ファミリーの皆さまへ

 平素は本協会へのご理解とご協力を賜りありがとうございます。2020年の春から今日に至るまで、新型コロナウイルス感染症に伴うさまざまな制約のもと、皆さまのサッカーを続けたいという熱意が協会を支え、動かしてくれました。厳しい社会情勢の中で停滞することなく事業を推進することができたのは、ひとえにファミリーの情熱があってのことと改めて感謝申し上げます。本年も、この間に減少傾向となったサッカー人口の回復に向けて、女子および4種世代を中心とした若い世代の育成、シニア世代の充実、指導者の育成といったこれまでの重点課題に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

 日本サッカー協会では「夢があるから強くなる」というスローガンのもと、さまざまな取り組みをしています。このフレーズに呼応する形で日本代表は「夢への勇気を。」というスローガンを掲げました。FIFAワールドカップ・カタール2022では日本代表がドイツ、スペインに相次いで勝ち、大きな興奮と感動をもたらしました。従前のコアなファン層だけでなく、国民的関心事として多くの人々がその動向に注目し、盛り上がりを見せたのは記憶に新しいところです。
 この日本代表の戦いぶりは、高校選手権などその後のユース世代の試合にも強い影響を与えました。試合終了の笛が鳴るまであきらめずに戦う姿勢が顕著に見られ、また質の高い試合も多くありました。次世代の選手は「夢」や「勇気」をしっかりとつかんでいます。

 そこで改めて育成の大切さを感じました。振り返ると1997年に「関東スーパーリーグ」を立ち上げ、2002年まで民間主催の形で続けました。03年からはJFA主催の「プリンスリーグ」として継承され、11年には「プレミアリーグ」へと発展し今日まで続いています。この間、国体へはU16世代が参加するようになりました。このように、長い年月をかけて育成世代の試合機会の拡充やゲーム環境の充実に努めてまいりました。今では、リーグ戦や国体を経て日本代表になるという道筋が確立されました。今回のワールドカップでの活躍も育成事業の成果の一つと言えるでしょう。そして、さらに高いレベルでの活躍を実現させるためには、育成のより一層の充実が求められます。
 4種世代および女子についても課題は山積しています。一昨年、小学3~5年を対象とした女子フェスティバルを開催したところ、40チーム以上の参加がありました。このサッカーへの意欲を受け止める指導者が不足しています。女子ワールドカップがオーストラリア・ニュージーランドで開催され、代表の強化には育成が不可欠です。JFAとも連携をとりながら、指導者の育成と競技機会の保障という喫緊の課題の改善を目指します。
 また、中学・高校のクラブ活動のあり方が見直される中、地域の果たす役割、すなわち協会の使命が今まで以上に大きくなることでしょう。シニア世代の試合環境の充実も含め、サッカー界全体を盛り上げるためにも、引き続き協会へのご支援を賜りたく存じます。

 なお、協会は国立競技場に戻り、コロナ禍を乗り越え再出発する思いで諸事業に取り組み、皆さまのサッカーへの情熱に応えてまいりたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。

2024年4月
公益財団法人東京都サッカー協会
林 義規