試合レポート

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東京都マスターズサッカーリーグ(O-40)
東京都・赤羽スポーツの森公園競技場 2011年10月23日
四十雀クラブ東京 0-0 三鷹蹴球団シニア


四十雀クラブ東京は1部復帰1年目での優勝

シニア界の名門・四十雀が1部復帰1年目で優勝!

2011シーズンのJ1リーグで、J2から上がって1年目の柏レイソルが頂点に立ったことは記憶に新しい。それと同じように、東京のシニアサッカー界でも昇格チームが優勝を果たすという出来事があった。40歳以上の選手によって構成されたチームで行われる東京都マスターズ(O-40)を、2部から上がったばかりの四十雀クラブ東京が制したのだった。

「シニアの世界では、こういったことは実は珍しくありません」
そう語ったのは、東京都シニアサッカー連盟・リーグ統括責任者の林志寿雄氏だ。「1部から落ちてしまったチームには、2部でしっかりとチームを作る時間があります。そして、1部に上がったときには『今年こそは』というメンタリティーが生まれる。そういったパワーがシニアの世界ではすごく大きいんです」


真剣勝負がシニアの魅力の一つ

今シーズン、見事優勝した四十雀クラブ東京は日本で初めてのシニアサッカーチームとして創設された、伝統あるチーム。そんな名門が2部に降格したことは一つの事件だったといってもいい。キャプテンの鈴木博司は笑顔で語る。

「私たちのチームにはたくさんの先輩方がいらっしゃるので、2部に落ちたときはかなり怒られましたね。でも、そういうプレッシャーがあったからこそ、フィジカル面でもメンタル面でも落とさずにやって来れたのかなと思います」

かつては、日本サッカー協会元会長の長沼健氏、岡野俊一郎氏なども所属した名門が積み重ねてきた「歴史の重み」は、2部降格から1年での昇格、そして1部での優勝を果たす上で文字通りの「原動力」となった。

今シーズンの東京都マスターズ1部リーグは激戦と呼ぶにふさわしい白熱した展開が繰り広げられた。最終節の段階で四十雀クラブ東京、ラ・セレクシオーネ世田谷、三鷹蹴球団シニアの3チームに優勝の可能性があったのだ。さらに最終戦は1位の四十雀クラブ東京と3位の三鷹蹴球団シニアによる優勝決定戦となった。

勝ち点19で首位の四十雀クラブ東京は引き分け以上で優勝が決まる。一方の三鷹蹴球団シニアにとっては勝つことが絶対条件。四十雀クラブ東京は「相手が気合いを入れて向かってくるのはわかっていたので、まずは球際で負けないことを徹底しました」(鈴木)。三鷹蹴球団シニアの石井貴監督も「気持ちで上回ったほうが勝つ」と選手たちに激を飛ばす。

前半から優勝決定戦にふさわしく、お互いに一歩も譲らない気迫あふれるプレーが続出。「シニアサッカー」には和気あいあいと楽しくボールを蹴っているというイメージがある。もちろん、それもシニアサッカーの魅力の一つではあるが、この2チームのプレーはまさに真剣勝負そのもの。一つのサッカーボールを巡って、激しく体をぶつけて、走り抜く姿は他のカテゴリーと何も変わらない。

スコアレスで迎えた後半、四十雀クラブ東京が何度か訪れた決定的なチャンスを決められずにいると、優勝するには攻めるしかない三鷹蹴球団シニアはFWを増やして点を取りに行く。両者が全力を出し合った試合は、最終的に0-0でタイムアップ。この結果、四十雀クラブ東京がリーグ戦9試合を6勝2分1敗で乗り切り、優勝の栄誉を勝ち取った。

キャプテンの鈴木は「優勝できて本当にうれしい。来年(2012年)は四十雀クラブ東京として創立60周年の節目の年。そこに華を添えるためにも、どうしてもタイトルがほしかった。先輩たちから『お前らはもっとやれるだろう』と言われてきたことが結果に表れたと思います」と清々しい表情で語った。大人になっても真剣勝負をする。シニアサッカーの醍醐味がそこに表れていた。

最後まで優勝を目指した三鷹蹴球団シニア

 interview

四十雀クラブ東京 鈴木博司  「4つの時間帯に区切ってプレーした」

今日の試合ではゲームを4つの時間帯に分けて戦うことを意識しました。前半の前半・後半、後半の前半・後半。それぞれの時間帯でのプレーを明確にすることで、最後まで集中力を落とさずに戦えたのが良かったですね。

仕事や家庭との兼ね合いもあるので、練習時間や選手の人数を確保するのは正直大変です。それでも、こうやって頑張るのはみんなサッカーが大好きだから。2部に落ちて悔しい気持ちを味わったり、こうやって優勝して最高の気持ちを味わったりできるのは本当に幸せなことです。

シニアは優勝したチームが次の年に降格することが普通に起きるリーグ。実際に私たちも優勝した次の年に降格しています。そうならないように、来シーズンに向けてまた頑張っていきます。

 




第30回東京都専門学校秋季サッカー大会
東京都・駒沢補助競技場 2011年10月27日
日本ウェルネススポーツ専門学校 3-0 日本工学院八王子専門学校


春秋連覇を達成した日本ウェルネススポーツ専門学校

絶対王者・ウェルネスが“春秋連覇”を果たす

10月27日に行われた第30回東京都専門学校秋季サッカー大会の決勝。日本ウェルネススポーツ専門学校(ウェルネス)が日本工学院八王子専門学校(八王子)を3-0で下して、春季大会、秋季大会の“春秋連覇”を達成した。

ウェルネスの佐々木善監督は開口一番、「コンディションとモチベーションの維持が難しい大会だった」と振り返った。ウェルネスは10月10日から14日まで大阪府・J-GREEN堺で全国専門学校サッカー大会に東京都代表として出場。4日間で4試合を戦ったばかりだったのだ。

それでも、「毎年獲っているタイトルなので落とせない」(高橋翔汰)と秋季大会に目標を切り替えて決勝へと勝ち上がってきた。決勝の相手、八王子は準々決勝で4-0、準決勝で6-3と2試合合計で10ゴールを挙げた攻撃力が持ち味のチームだ。


決勝戦にふさわしい熱いプレーが繰り広げられた

先にシュートを放ったのは八王子だった。“打倒ウェルネス”を目指す八王子が攻勢に出るかと思われたが、その後は、ウェルネスがボールを素早く動かし、ピッチを広く使ったプレーでペースを掌握する。しかし、八王子はGKの阿佐美潤一を中心とした体を張ったディフェンスで跳ね返し、前半を0-0で折り返した。

後半の立ち上がり、八王子の影山賢造が「自分たちの甘さが出た。集中しなければいけなかった」と悔やんだシーンが訪れる。42分、ゴール正面からウェルネス・高橋が前に出ていたGKの頭上を狙ってミドルシュート。これが決まって、ウェルネスが先制する。

「1失点してからメンタルで下を向いてしまった」(菊池宣志監督)八王子に生まれた隙を王者は見逃さない。57分、クロスから押し込んだ山口貴広の2点目でき放すと、後半ロスタイムに高橋のアシストから小林優介が詰めてダメ押し。ウェルネスが万全の状態ではない中でも、良い時間帯でゴールを奪って3-0で勝利した。

優勝の喜びが聞けるかと思いきや、試合後の佐々木監督の口からは厳しい言葉ばかり並んだ。「結果はとれましたが、内容的には満足していません。主導権はとれるけど、単調になってしまう。スコアと時間を考えたプレーができるようにならなければ」。東京の専門学校サッカーをけん引するウェルネスに慢心はない。それこそがウェルネスの強さの秘訣なのだ。

準優勝の日本工学院八王子専門学校


 
 interview

日本ウェルネススポーツ専門学校 FW 高橋翔汰

とにかくうれしいです。この大会は毎年獲っているので、自分たちの代で落とすわけにはいかないと思っていました。前半はちょっと苦しい展開でしたけど、ハーフタイムに「もっと気合いを入れてやろう」と話して、立ち上がりに決めることができました。まだ会長杯が残っているので、チーム一丸となって優勝を目指したいです。

 


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