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優勝した国立スリーエスガールズ(オレンジ)
491人の“ニーニャス”が全力でボールを追いかける
10月16日、晴天に恵まれた青梅市立新町中学校で「第20回東京都ニーニャス大会」が行われた。この大会に出場したのは小学3年生以下の女子小学生たち。記念すべき20回目となる今回は、49チーム、461人の選手が参加した。
この大会の特色は合同参加による出場も認めていることだ。人数不足で単独では出られないチームでも、近隣のチームや交流のあるチームと合同にすることで大会参加ができる仕組みだ。これはチームにとっても選手にとっても喜ばしいことだろう。
この大会で見事に初優勝を飾ったのは、女子チーム創設7年目の国立スリーエスガールズだ。決勝戦では5年連続で3位以内に入っていた名門・バディフットボールクラブホワイトに終了間際の劇的な決勝ゴールで勝利した。
国立スリーエスガールズは試合中に選手たち同士が声をかけ合う回数が他のチームに比べて格段に多かった。その理由をキャプテンの中川さくらに聞くと「勝ちたかったから」という一言が返ってきた。ハーフタイムには監督やコーチにも「こうしたい」と言葉で伝える「自分たちで考える力」が優勝の要因となった。
全力でボールを追いかける
惜しくも準優勝に終わったバディフットボールクラブホワイトの太田直子監督は、「優勝するだけじゃなくて、悔しさを味わうことで普段の練習につなげていきたい」とコメント。試合後、バディの選手たちは悔しさで大粒の涙を流していた。その悔しさは選手たちの将来にとって大きな糧になるはずだ。
決勝に勝ち上がることはできなかったものの、杉九サッカークラブはチーム創設以来初めてとなる、また、なかの・八王子愛宕イエローは合同チームとしては最高位となる3位入賞を果たし健闘を見せた。
大会名でもある“ニーニャス”とはスペイン語で“子ども”という意味だ。この日のグラウンドではサッカーの試合を通じて子どもたちのうれしい顔、悔しい顔、泣いた顔……とたくさんの表情を見ることができた。全力で走り回って、ボールを追いかけたことは、子どもたちのサッカー人生はもちろん、人間形成のうえでも大事な役割を果たすに違いない。
優勝 国立スリーエスガールズ
チームの合言葉は「シューリラ、タノプレ」です。集中、リラックス、楽しんで、プレーを略した言葉ですが、今日はこれができたから優勝できたのかなと思います。男子チームは35年目ですが、女子は創設7年目です。プロコーチはゼロ。全員がお父さんコーチです。週1回の練習を楽しんでやることをモットーにしています。 (国井昌之代表)
準優勝 バディフットボールクラブホワイト
今大会は2チームに分かれて出場しました。決勝では先に負けてしまったチームの子たちもみんなで応援してくれました。子どもたちの夢はなでしこジャパンになること。それを現実にするためには、サッカーを理解すること、個人の力をつけることの両方が大事です。今回の悔しさを普段の練習につなげたいですね。 (太田直子監督)
第3位 杉九サッカークラブ
ここまで来れると思っていなかったので、子どもたちの頑張りに感動しています。男子チームは150人、女子は20人です。勝つことにこだわるのではなく、サッカーを通して心と体を鍛えることが基本方針です。コーチだけじゃなく、親御さんにも手伝っていただきながら、全体で一つになってチーム運営を行っています。 (古谷浩之監督)
第3位 なかの・八王子愛宕イエロー
普段(なかの・八王子)は20人ぐらいで活動しています。今回は3年生が少ないので、愛宕FCさんと合同で出場しました。うまくいったことは覚えているものですが、うまくいかなかったことを思い出して、練習してほしいです。3年生以下が出られる大会は少ないので、そういう大会をもっと増やしてほしいですね。 (椎名宣夫代表)
サポーターと記念写真に収まる東京ヴェルディユース
的確な交代策でヴェルディがV
ユース年代で全国トップクラスの強さを誇る東京ヴェルディユースが、三菱養和SCユースを3-1で下して、順当に東京ナンバーワンに輝いた。
前半の立ち上がりから東京ヴェルディユースは、ヴェルディらしいリズミカルなパスワークで三菱養和SCユースを圧倒する。先制ゴールが生まれたのは28分、試合開始からキレのある動きを見せていた前田直輝が左サイドの角度のない位置からニアサイドに突き刺した。その4分後には、前田のシュートの跳ね返りを中島翔哉が詰めて2点目。三菱養和SCユースにチャンスらしいチャンスを与えない試合内容で、2点リードで前半を折り返した。
しかし、毎年のようにプロ選手を輩出している三菱養和SCユースも意地を見せる。53分、鋭いカウンターから中崎海渡がドリブルでDFを振り切り、ゴールネットを揺らして1点差に。この得点で勢いづいた三菱養和SCユースは左サイドを起点に攻め立て、何度もチャンスを作る。
準優勝の三菱養和ユース
同点ゴールもあるかと思われたが、東京ヴェルディユース・冨樫剛一監督が素早く手を打つ。交代選手を投入し3バックから4バックにチェンジ。この交代策がズバリはまって、三菱養和SCユースの勢いを鎮静化することに成功する。
その後、74分に高木大輔がPKを決めてダメ押し。新チームになって最初の大会でしっかりと結果を出した。
東京ヴェルディユース FW 高木大輔
勝つためには最初が肝心だと思っていたので、前半で2点を取れたことは大きかったです。ただ、後半は相手に押される時間もあったので満足はしていません。昨年のチームでは「点を取らせてもらっていた」という感覚が強かったですが、今年は2年生になったので責任も出てくるし、自分が引っ張るぐらいの気持ちでやっていきたい。チームとしては日本一が目標です。
FC東京U-15深川は劣勢の展開を跳ね返して優勝
底力を見せつけたFC東京深川が優勝
電光石火の先制点だった。4分、ジェファFCの北嶋悠悟がクサビのボールをワンタッチでDFラインの裏へ落とすと、飛び出した小林和樹がGKとの1対1を落ち着いて流し込み、ゴールネットを揺らした。Jクラブの下部組織として優勝を狙うFC東京U 15深川が先制点を許したことで、西が丘サッカー場には波乱の予感が漂った。
ジェファFCは、「技術レベルと状況判断力を上げることにこだわっている」という清水恭孝監督の言葉通り、チーム全体でボールをポゼッションしながら、FWが前線でフリーになれば、積極的に背後のスペースを狙っていくサッカーで何度も相手ゴールを脅かした。
1点のビハインドを背負って迎えたハーフタイム、FC東京U-15深川はハーフタイムに奥原崇監督が「弱気なプレーが多かったから、後半はもっと強気にやろう」と選手たちに激を飛ばす。すると後半、FC東京U-15深川は、まるで別のチームになったかのように躍動し始める。
ジェファFCは健闘及ばず
59分、コーナーキックから野村浩輔のヘディングで同点に追いつくと、その6分後には大熊健太の目の覚めるようなミドルシュートで瞬く間に勝ち越しに成功する。試合終了間際には渡辺拓也のゴールも決まって、3-1で試合を締めくくった。「追いかける中で自分たちの力を出すことができた」と奥原監督は目を細めた。
FC東京U-15 深川 MF 大熊健太
みんなで協力し合ったことが結果につながったので本当にうれしい。前半は慎重にやろうとするあまり、弱気になってしまいましたが、1年生の選手が頑張ってドリブルで持ち出したプレーから大きく流れが変わって、積極的なプレーができるようになったと思います。いつも立ち上がりが良くないので、後半のようなプレーを1試合を通じてできるようすることが課題です。