奥原崇監督の体が宙に舞った。サッカー競技の最後に行われた少年男子の決勝。味の素スタジアムで東京都が大阪府を1-0で下して、見事日本一に輝いた。少年男子のカテゴリーで開催地のチームが優勝するのは実に39年ぶりのこと。5年前に発足された「国体強化プロジェクト」で「日本一を目指して戦おう」と誓い合ってきた選手たちが、有言実行を果たした。
滑り出しは決して良いものではなかった。1回戦では宮城県に先制しながら追いつかれ、後半アディショナルタイムに何とか勝ち越した。「前半はみんなびっくりするぐらい固くて……。大丈夫かと思った。」(小松駿太)
2回戦の徳島県戦は3-1で勝利したもののエンジンはかからず。奥原崇監督は試合後に涙を流して、「敗者のためにも自分たちのサッカーをしよう」と選手たちに語りかけた。「あの言葉でチームが一つになった。」(相馬勇紀)
 準決勝は延長で神谷優太が決勝ゴール
優勝候補、地元開催というプレッシャーにも慣れたチームは、準々決勝で強豪の埼玉県に3-0で快勝。スコアもさることながら、チームが目指してきたゴールへの貪欲な姿勢を出せたことが最大の収穫だった。
 相馬勇紀はチーム唯一の2年連続出場
雨の味の素フィールド西が丘で行われた準決勝・京都府戦は延長戦にもつれ込む接戦となった。勝負を決めたのは79分、エースの神谷優太だった。神谷のゴールはサイドからのクロスに頭から飛び込んで決めたもの。「ヘディングが苦手」という神谷の起死回生のダイビングヘッドが東京都を決勝の会場・味の素スタジアムへ導いた。
決勝の相手は大阪府。奥原監督は「実力的には自分たちより一枚も二枚も上手」と分析し、試合前に「粘り強く戦っていこう」とアドバイスを送った。その言葉通り、前半から東京都は大阪府にボールを回される展開となった。
それでも、48分、高い位置でボールを奪って、素早く仕掛けると、井上潮音のスルーパスにボランチの小松が飛び出す。小松がGKとの1対1で落ち着いてボールを流し込み、優勝に大きく近づく。その後、大阪の猛攻にさらされながらも、全員で凌いで1-0のままタイムアップを迎えた。
「最後に僕が監督をしたが、優勝できたのは5年間の取り組みがあったから。このチームに関わった、たくさんの人たちに感謝したい。」(奥原監督)
地元開催の日本一は東京都の底力を見せつける結果となった。
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