試合レポート

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第18回東京都サッカートーナメント 決勝
(第93 回天皇杯全日本サッカー 選手権大会東京都代表決定戦)
東京都・味の素フィールド西が丘 2013年8月25日
横河武蔵野FC、 2大会連続優勝!


2-0で勝利した横河武蔵野FCが2年連続4回目の天皇杯出場を決めた

去年の悔しさを胸に……横河武蔵野FCが日体大を下す

JFLの横河武蔵野FCと関東大学1部リーグの日本体育大学による第18回東京都トーナメント決勝は、経験に勝る横河武蔵野FCに軍配が上がった。

「パワーで押してくるのは予想していたが……」。

日本体育大学の倉又寿雄監督が悔しそうに振り返ったように、横河武蔵野FCは前線の大型FWにロングボールを入れる力勝負を挑んで来た。

「関東大学リーグにはああいうスタイルのチームはあまりいないので、正直言って戸惑ってしまった」(稲垣祥)と、日本体育大学は最終ラインが下がり気味になっていく。

横河武蔵野FCは本来はDF登録のキャプテン金森貴紀を守備的MFに置いて、中盤のボール奪取力を強化。「ウチの狙いがハマっていた」(金森)と狙い通りセカンドボールを拾って波状攻撃を仕掛けた。

それでも、「30分過ぎからはある程度保持できるようになった」と倉又監督が言うように、日本体育大学も横河武蔵野FCのプレッシャーに慣れ始めると、持ち前の連動性あるパス回しで応戦。

決勝らしい緊張感のあるゲーム展開の中、ゴールが生まれたのは67分のこと。横河武蔵野FCのMF林俊介が「何回かチャンスがあって打てていなかったので思い切って打った」とペナルティーエリアの外から左足一閃。強烈なシュートがゴールネットに突き刺さって横河武蔵野が天皇杯出場へと大きく近づく。


67分、林俊介が左足で打ったミドルシュートが決勝点となった

0-1となった日本体育大学は75分、76分、82分と交代カードを立て続けに切って、フレッシュな選手を投入。何とか1点を奪いに行く。これに対し横河武蔵野FC・吉田康弘監督がチームに与えたメッセージは「もう1点を取りに行け」。

そして85分、決定的なゴールが生まれる。右サイドに流れたFW忰山翔からのクロスをファーサイドで小林陽介が折り返し、フリーで合わせたのは矢部雅明。2-0。天皇杯出場を告げる勝利のホイッスルを聞いたのは横河武蔵野FCだった。

決勝から1週間後、横河武蔵野FCは天皇杯初戦で群馬県代表・ザスパ草津チャレンジャーズと当たって3-0で勝利。2回戦では前回大会で大金星を挙げたJ1・FC東京と戦った。横河武蔵野FCは持ち前の集中力と粘り強いディフェンスでFC東京を苦しめたものの、延長戦で決勝ゴールを決められ0-1で敗れ、2回戦敗退という結果に終わった。



PLAYER'S VOICE

横河武蔵野FC
10 金守貴紀

試合前から長いボールを使って、相手の裏を狙っていこうと思っていたが、自分たちのやろうとするところが出せていたと思う。JFLでも1点を守りきって勝つことが多かったので、2点目をとれたのは正直言って出来過ぎです。1回戦を勝って、また味の素スタジアムでFC東京と試合をしたい。


PLAYER'S VOICE

日本体育大学
10 稲垣祥

横河武蔵野FCのようにフィジカルで押してくるチームは関東大学リーグにあまりないので、戸惑ってしまったのが正直なところです。後ろでボールを回していこうとしたけどうまくいかず、シュートに持っていくことができませんでした。個人的にもミスが多くて、チームを引っ張ることができなかった。





2013東京国際ユース(U-14)サッカー大会
東京都・駒沢陸上競技場・補助競技場・第2球技場 2013年5月2〜5日
ボカ・ジュニアーズが初参加・初優勝!


初参加のボカ・ジュニアーズがサントスFCとの南米対決を制して優勝

14歳以下の国際大会世界の精鋭が技術を競う

5月2日〜5日、駒沢陸上競技場などで「2013東京国際ユース(U-14)サッカー大会」が開催された。ゴールデンウィークの風物詩として定着した感のあるこの大会、駒沢公園の中央広場では「JFAチャレンジゲーム」やフットサル体験やお笑いライブなどが行われ、家族連れが来場する姿が目立った。

今大会は東京の姉妹友好都市であるカイロ、ジャカルタ、モスクワ、ニューサウスウェールズ、パリ、ソウル、サンパウロに加えて、アルゼンチンのブエノスアイレス市からボカ・ジュニアーズが参加。例年以上にレベルの高い争いが繰り広げられた。


南米のチーム同士の激しいボディコンタクトが繰り広げられた

1次ラウンド、2次ラウンドを勝ち上がって決勝戦へと進出したのは前年度優勝チームのサントスFC(サンパウロ)とボカ・ジュニアーズ(ブエノスアイレス)。奇しくも、お互いを最大のライバルと認め合うブラジルとアルゼンチンの名門クラブ下部組織対決となった。

接戦が予想された決勝戦だったが、フタを開けてみれば「コンディションが非常に良かった」(J.ラッフォ監督)ボカ・ジュニアーズが一方的に攻め立てる。前半2分にR.ベラスケスが右サイドの角度のないところから決めると、22分にもL.ブロチェロがドリブルでかわしてシュートを流し込んで2点目。


ボカ・ジュニアーズはJ.ロドリゲス・プチが決定的となる3点目を決めた

後半になってもボカ・ジュニアーズのペースは変わらず。46分には目覚ましい活躍を見せていた10番のJ.ロドリゲス・プチが決定的な3点目を挙げると、53分に途中出場のA.チャモロにもゴールが生まれ、4 -0の大勝を納めた。

タイムアップの笛が鳴ると、ボカ・ジュニアーズの選手たちは全員がピッチに飛び出して歓喜を爆発。大人顔負けの高い技術と洗練された戦術を見せたボカ・ジュニアーズが、初参加で見事に初優勝を飾った。


大会順位
優 勝 ボカ・ジュニアーズ(ブエノスアイレス)
準優勝 サントスFC(サンパウロ)
第3位 チェルタノヴォ(モスクワ) 第10位 東京ヴェルディ
第4位 パリ 第11位 茨城県
第5位 カイロ 第12位 ジャカルタ
第6位 東京都トレセン選抜 第13位 福島県
第7位 FC東京深川 第14位 岩手県
第8位 ソウル 第15位 東京都中体連選抜
第9位 宮城県 第16位 ニューサウスウェールズ

COLUMN

東京都トレセン選抜がフェアプレー賞を受賞


東京都トレセン選抜が大会で最もフェアなプレーをしたチームに与えられるフェアプレー賞を受賞した。東京都トレセン選抜は東京都サッカー協会に登録する中学校・クラブチームの中から選抜されたチーム。

グループリーグでは優勝したボカ・ジュニアーズを相手に終盤まで接戦を演じ(結果は0-2で敗戦)、日本勢の中では最高順位となる6位で大会を終えた。

手塚弘利監督は今大会を振り返って「いつもと違う環境の中でやったので、各自がチームに持ち帰って成長していくことを期待している」とコメント。

10番を背負ってプレーした穴吹瞬平は「楽しかったです。ボカ戦でもボールをキープするところは出せたと思う」と手応えをつかんだ様子だった。





東京-ソウル親善サッカー定期戦2013
東京都・駒沢陸上競技場 2013年8月27・29日
1勝2分1敗で互角の成績に終わる

1日目 8月27日

東京都中体連選抜 0-0 ソウル特別市中学校選抜 70分(35分ハーフ)

東京-ソウル“開幕戦”はスコアレスドロー

中体連の地区トレセンからセレクトされた選手で構成される東京都中体連選抜。守備面では敵陣からプレスをかけていき、攻撃面では複数の選手がボールに絡んでいく積極的なサッカーを展開した。「これまでの活動の成果を見せよう」(堤信博監督)

今回の東京-ソウルは中体連選抜にとって最後の活動となる。積み重ねてきたトレーニングをピッチ上で表すことが、チーム全体にとっての目標だった。

「もっとサイドを使えれば良かったが、テーマとしていたバイタルエリアに飛び込んでいくことはある程度できたと思う」

46分にはGKとの1対1、48分にはサイドからの折り返しをフリーで合わせるチャンスがあったがゴールを奪うことはできず。ソウルを相手に通用したこと、できなかったことが次のステージ、高校サッカーでも大きな財産になるだろう。


成立学園高校 1-2 ソウル特別市高校選抜 80分 (40分ハーフ)

自分たちのサッカーをさせてもらえず

「ウチのサッカーを終始できなかった」

成立学園高校の太田昌宏監督はソウル特別市高校選抜のパワーに脱帽した。普段の選手たちであれば余裕を持ってパスをさばけるところでも、強烈なプレッシャーを受けてミスをしてしまう。そんなシーンが1試合を通じて何度も起こった。

25分にソウルに先制されるも、44分にコーナーキックから深尾春輝のゴールで同点に追いつく。しかし、56分に勝ち越しゴールを決められ1-2で敗れた。1点差だったが、太田監督はスコア以上に差があったと感じたという。

「あれぐらいのスピードでプレッシャーをかけてくる相手に対しては、もっとプレーを早くしないといけない」

インターハイ出場校にとって、次なる目標は高校選手権出場。大事な戦いを前に貴重なシミュレーションになったのは間違いない。



2日目 8月29日

東京都U-15選抜 2-2 ソウル特別市中学校選抜 70分(35分ハーフ)

アディショナルタイムに追いつかれ勝利逃す

東京都U-15選抜は9分に石田明がサイドからの折り返しに合わせて先制する。18分に同点にされるも、32分にはゴール前のこぼれ球を伊藤純也が決めて勝ち越し。このまま逃げ切るかと思われたが、後半アディショナルタイムに追いつかれ引き分けという結果に終わった。

「2失点以外の部分はうまくいっていたが、最後に残念な形で失点してしまった」。

南英昭監督が振り返ったように、最後の失点はGKからのロングボールに抜け出されて決められてしまったもの。試合内容では支配していただけに悔やまれる失点だった。

このチームは来年度の国体の主力メンバーとなる可能性が高い。「今回はぶっつけ本番でしたが、これから1年国体を見据えてトレーニングしていきたい」

彼らにとって東京-ソウルは集大成ではなく通過地点。今回の経験を糧にして来年の国体での飛躍が期待される。


東京都クラブユース連盟U-18選抜 1-0 ソウル特別市高校選抜 80分(40分ハーフ)

16年越しの想いを勝利に結びつける

東京都クラブユース連盟選抜の米原隆幸監督にとって東京-ソウルは特別な思い出のある大会だ。16年前の第1回大会でコーチとして参加したが、そのときは3-3の引き分け。

「今回、監督をやらせてもらうことになって16年越しの想いがあったので、親善試合だとしても絶対に勝とうと話していた」

指揮官の言葉を体現するように、東京都クラブユース連盟選抜は前半から素早いプレスでボールを奪いにいく良い入り方を見せる。ロングボールを多用してくるソウルに押される場面もあったが、米原監督が「本当に気が利いて潰してくれた」と名前を挙げたボランチの吉山遼馬を中心に凌いで得点を許さない。

0-0で迎えた後半終了間際の69分、途中出場の渡辺悠雅が浮き球のパスから粘り強くシュートを決めて決勝点。米原監督にとっての16年越しの勝利は、17回目の東京-ソウルの東京チームの初白星ともなった。






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