JFLの横河武蔵野FCと関東大学1部リーグの日本体育大学による第18回東京都トーナメント決勝は、経験に勝る横河武蔵野FCに軍配が上がった。
「パワーで押してくるのは予想していたが……」。
日本体育大学の倉又寿雄監督が悔しそうに振り返ったように、横河武蔵野FCは前線の大型FWにロングボールを入れる力勝負を挑んで来た。
「関東大学リーグにはああいうスタイルのチームはあまりいないので、正直言って戸惑ってしまった」(稲垣祥)と、日本体育大学は最終ラインが下がり気味になっていく。
横河武蔵野FCは本来はDF登録のキャプテン金森貴紀を守備的MFに置いて、中盤のボール奪取力を強化。「ウチの狙いがハマっていた」(金森)と狙い通りセカンドボールを拾って波状攻撃を仕掛けた。
それでも、「30分過ぎからはある程度保持できるようになった」と倉又監督が言うように、日本体育大学も横河武蔵野FCのプレッシャーに慣れ始めると、持ち前の連動性あるパス回しで応戦。
決勝らしい緊張感のあるゲーム展開の中、ゴールが生まれたのは67分のこと。横河武蔵野FCのMF林俊介が「何回かチャンスがあって打てていなかったので思い切って打った」とペナルティーエリアの外から左足一閃。強烈なシュートがゴールネットに突き刺さって横河武蔵野が天皇杯出場へと大きく近づく。
67分、林俊介が左足で打ったミドルシュートが決勝点となった
0-1となった日本体育大学は75分、76分、82分と交代カードを立て続けに切って、フレッシュな選手を投入。何とか1点を奪いに行く。これに対し横河武蔵野FC・吉田康弘監督がチームに与えたメッセージは「もう1点を取りに行け」。
そして85分、決定的なゴールが生まれる。右サイドに流れたFW忰山翔からのクロスをファーサイドで小林陽介が折り返し、フリーで合わせたのは矢部雅明。2-0。天皇杯出場を告げる勝利のホイッスルを聞いたのは横河武蔵野FCだった。
決勝から1週間後、横河武蔵野FCは天皇杯初戦で群馬県代表・ザスパ草津チャレンジャーズと当たって3-0で勝利。2回戦では前回大会で大金星を挙げたJ1・FC東京と戦った。横河武蔵野FCは持ち前の集中力と粘り強いディフェンスでFC東京を苦しめたものの、延長戦で決勝ゴールを決められ0-1で敗れ、2回戦敗退という結果に終わった。
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