試合レポート


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ハトマークフェアプレーカップ 第30回東京都4年生サッカー大会
2011年7月2、3日 東京都・府中市少年サッカー場
 


サッカーの楽しさを感じ、フェアプレー精神を育む

 7月2、3日、府中市少年サッカー場で「ハトマークフェアプレーカップ 第30回東京都4年生サッカー大会」の中央大会が行われた。地域ブロック大会を勝ち上がった48チームが、A?Dの4つのグループに分かれ、グループ内で優勝を争った。
 2011年度より日本サッカー協会が主催する12歳以下の全国大会は8人制で行うことになったが、この大会では1997年から8人制ルールを採用。8人制にすることでボールに触れる回数を増やし、サッカーの楽しさを感じてもらうことに力を入れている。
 また、「フェアプレーカップ」という大会名にもあるように、表彰式では優勝チームと併せて各グループから最もフェアだったチームを選出。選手たちに相手を思いやる気持ちや、周りの人への感謝の気持ちを持つことをうながしている。
 澄み渡るような青空の下、ピッチ狭しとボールを追いかけ、ゴールを目指したサッカー少年・少女たちの中から、未来の日本代表、なでしこジャパンが誕生することを期待したい。

 
 
interview
 
東京都少年サッカー連盟渉外部長
関前SC監督 小島洋邦氏 インタビュー

8人制のメリットを先頭に立って広めたい
 東京都では15年前から8人制を導入しているため、4、5年生の各チームに8人制が浸透してきています。指導者の方、保護者の方の理解や協力によって、子どもたちが自由にサッカーができる方向に行っていると思います。
 ボールをつなぐことなく、すぐに大きく蹴ってしまうチームがあることも確かですが、東京都の場合はしっかりとボールをつなぐサッカーをするチームが増えていますし、そういったチームが結果を出す傾向が出て来ています。
 サッカーの場合はこれが正解だというものはありません。ただし、同じロングボールでも、狙って蹴っているのか、アバウトに蹴っているかで、将来の結果は大きく変わってきます。そのあたりを指導者の方には意識させてもらえればと思います。
 私自身も関前SCで子どもたちの指導にあたっていますが、普段の練習や練習試合で同じ時間の中でも、できるだけサッカーをしている時間を長くするようなメニュー作りや、全員をピッチに立たせることを心掛けています。同じ時間グラウンドに立っていても、ボールに触っている時間が短ければ効率的ではありません。
 今日のような公式戦では、勝負がかかっていますから、主力メンバーの出場時間が長くなることはやむを得ない部分もあるとは思います。しかしながら、指導者が見るべきは目先ではなく未来です。現状では選手交代のルールは設けていませんが、そういった工夫も必要かなとは考えています。
この大会では優勝よりもフェアプレー賞を最大の名誉として表彰しています。いろいろな面で模範となるチーム、選手のプレー、コーチの指導の仕方、保護者の応対の仕方などを含めて、「こういうチームに育ってほしい」という気持ちを込めて選ばせていただいています。
 2011年度から日本サッカー協会の12歳以下の大会が8人制に統一されましたが、私たち少年連盟としては、この大会などで培ってきた8人制の豊富な経験を生かして、全国の先頭に立って引っ張るつもりで8人制のメリットを広めていければと思っています。


多くの選手にサッカーの楽しさを感じてもらうのが8人制の目的だ

第39回東京都自治体職員サッカー選手権大会
2011年6月18日 東京都・清瀬市内山運動公園サッカー場

東京消防庁が接戦を制して優勝
 6月18日、清瀬市内山運動公園サッカー場で「第39回東京都自治体職員サッカー選手権大会」が行われた。
 本大会は、例年全国自治体職員サッカー選手権東京都予選を兼ねて開催しているが、今年度は東日本大震災の発生により全国大会の中止が決定している中、被災地支援活動への職員派遣、東京都内にある避難所への職員派遣、計画停電への対応などを考慮しながら、開催について幹事会で議論した上での開催となった。
 新規加盟した小平市役所、墨田区役所を加えた24チームにより熱戦が繰り広げられた中、決勝戦は常に優勝を争っている東京消防庁と世田谷区役所の顔合わせとなった。
 試合は立ち上がりから東京消防庁がボールを支配し攻め込むも、シュートの精度を欠いて得点に至らず。一方の世田谷区も統率のとれたゾーンディフェンスからボールを奪い、金子智生を中心としたカウンターで東京消防庁を脅かす場面を作り出すも、攻撃での人数不足は否めない状況が続き、前半は両者無得点で終了した。
 後半に入ると45分過ぎからやや疲れの見えてきた世田谷区の中盤にスペースができ始め、49分、浦尾隆蔵がドリブル突破から右サイドを深くえぐりフリーでゴール前に走り込んだ荒井賢司にピンポイントクロス。これを新井が落ち着いたボレーでゴールし、東京消防庁が先制した。その後も東京消防庁が速いボール回しからチャンスを作り、62分にも再び浦尾の突破から54分に交代出場で入った高橋博樹がゴールし追加点を奪う。
 2点をリードされた世田谷区役所だが、気落ちせず最後まで戦う姿勢を見せ続け、69分、コーナーキックのチャンスをつかむと金子の精度の高いボールを飯田和貴がヘッドで合わせて1点を返す。それでも、世田谷区役所の必死の追撃をかわした東京消防庁が2─1で勝利して優勝を飾った。

「再び全国の仲間とサッカーをしたい」 東京消防庁サッカー部 河合雄宇介

東京消防庁が世田谷区役所ゴールに迫る
 震災後、約1カ月半の活動休止期間を経て、練習の間もなくの大会ではありましたが、チームとしては何ら問題なく大会に集中し試合に臨めていたと思います。週末は社会人リーグとの連戦となり、体力的に厳しい状態でしたが、優勝できたことはうれしいです。
 全国大会は中止となり、寂しい思いもありますが、今はただ被災された方へ心からお見舞い申し上げるとともに、1日も早い復興をお祈り申し上げたいと思います。  自分たちも微力ながらも復興支援には様々な形で協力し、再び全国の自治体の仲間たちとサッカーができる日を楽しみにしています。

「自治体サッカーの歴史に名を刻みたい」 世田谷区役所サッカー部 金子智生

決勝戦にふさわしい好ゲームとなった
 まずは社会人になってもサッカーできる環境があり、一喜一憂できる仲間がいることに感謝しています。
 世田谷区役所サッカー部としては、全国大会ベスト4以上に入り、自治体サッカーの歴史に名を刻むことを目標に活動しています。
 残念ながら本年度の全国大会は中止となりましたが、1日も早い被災地の復興を願い、全国の仲間と再会を楽しみに待ちたいと思います。

「初参加チームの健闘光った」 東京都自治体職員サッカー連盟 会長 伊藤茂男
 今年の全国大会は、7月末にJ―グリーン堺を会場として開催予定であったが、東日本大震災の影響で中止となった。本来なら決勝進出の東京消防庁と世田谷区役所が東京都代表として出場するはずだったが、叶わぬ夢となった。
 大会開催時から中止は自明であり、モチベーションは下がってもおかしくなかったが、この常勝2チームは、いつも通り勝ち上がってきたところはさすがである。
 準決勝で敗退したが、東京都庁の頑張りと、エースストライカーが出場停止の事態を乗り越えての同3位になった板橋区役所は立派だった。初参加の墨田区役所、小平市役所の健闘も光った大会だった。


第50回東京都中学校総合体育大会
兼 第64回東京都中学校サッカー選手権大会
2011年7月30日 東京都・駒沢第二球技場
 

1得点1アシストで優勝に導いた暁星中・増永裕輔
 
落ち着いた試合運びで暁星中学校が12回目の優勝
 50回目の開催となる東京都中学校総合体育大会(兼東京都中学校サッカー選手権大会)の決勝戦が、7月30日、駒沢第二球技場で行われた。
決勝のカードは優勝回数11回の暁星中学校と、今回が初の決勝進出となる多摩大学目黒中学校。勝つのは名門か、それとも新星か──。東京一の称号をかけた試合がキックオフされた。
 どちらもシステムは4─4─2。両サイドに突破力のある選手を配置し、シンプルに相手のサイドを突いていく暁星中に対して、多摩大目黒中はFWとサイドハーフの4人が流動的にポジションチェンジをしながらゴールをうかがう。
 一進一退の立ち上がりの中、先制点はセットプレーから生まれる。8分、暁星中・西川大樹が右サイドから入れたライナー性のコーナーキックを、増永裕輔がニアサイドで合わせた。
 「1人がニアからファーに抜けて、空けた場所に他の選手が入っていくパターンで、うまく決まって良かったです」と増永はしてやったり。多摩大目黒中の遠藤雅貴監督は「セットプレーは警戒していたが、やられてしまった」と悔やんだ。
 試合を決める2点目が生まれたのは41分。暁星中・増永がペナルティーエリアの右サイドでドリブルを仕掛けてDF2人の間を突破。中央のスペースへマイナスにクロスを入れると、2列目から走り込んだ西川が正確なシュートを決めた。1点目とは反対に、増永が西川のゴールをアシストする形となった。
 2得点に絡んだ増永は「宮川(大史)からボールを受けたとき、前を向いて1対1で仕掛けられると思ったので仕掛けたらうまくかわせた。西川が中に入って来たのは見えていました」と胸を張った。
 0─2となってからも、多摩大目黒中は一矢報いようと最後まであきらめずにゴールに迫った。しかし、暁星中の素早い攻守の切り替えの前に決定打を繰り出すことはできず、タイムアップ。強豪校らしい落ち着いた試合運びを見せた暁星中が、2─0で多摩大目黒中を下して12回目の優勝を果たした。
 決勝を戦った暁星中と多摩大目黒中の両校は同大会の関東大会に出場する。関東、そして全国の舞台でも、この2チームが自分たちの持ち味を出してくれることを期待したい。

3位決定戦レポート
国分寺市立第五中学校 2-1 駿台学園中学校
(前半2-1、後半0-0)

FKから決勝点を挙げた国分寺五中・大庭哲朗

国分寺五中、鮮やかな逆転勝利
 前半から駿台学園中が圧倒的にボールを支配すると、右サイドから佐々木裕太が打ったシュートをゴール前で西田健がコースを変えて先制する。先制された国分寺五中だったが、徐々にペースを引き戻すと29分、浜野岳のミドルシュートで同点に追いつくと、1分後には大庭哲朗がフリーキックを鮮やかに突き刺して2?1。決勝ゴールの大庭は「相手のパス回しがうまくて厳しかったけど、勝ててうれしいです」と語った。3年生たちにとって最後の試合となる大会を勝利で終えた。
 
interview
 
苦戦の連続で感じたやりきることの大事さ
暁星中学校 荒木弘監督
 今年のチームは歴代の中でも技術的にはレベルの高い選手が揃った学年です。しかし、春の大会では1回戦で敗退するなど、試合になったときに脆さを見せてしまうことが課題でした。
  実際に今大会に入っても調子がなかなか上がらず、苦戦に次ぐ苦戦の連続でした。ほとんどの試合で先制され、ロスタイムに追いついて勝ったという試合もありました。その中で選手たちは、サッカーで大事なのはうまいへたではなく、しっかりとやり切ることが大事なんだと、身を持って学んだはずです。それこそが最大の収穫だったと感じています。
 
3年計画の3年目で結果を出せた
多摩大学目黒中学校 遠藤雅貴監督
 選手たちは疲労がたまっていたと思いますが、良く頑張ってくれました。3年前にこの子たちを見るようになって、そのとき1年生で入ってきた選手の最後の学年で、こういう結果を出せたことは大きいなと思っています。
 暁星中との間に感じた差は、まず決勝の雰囲気に慣れているなということ。僕たちのチームは疲労もあったとはいえ、本来のサッカーが全然出すことができなかったのは、経験不足だったと感じました。 関東大会でも今までやってきた、相手コートでボールを奪って攻めて行くサッカーを変えずに臨みたいと思います。

全日本女子サッカー選手権大会 東京予選
2011年7月31日 東京都・駒沢補助球戯場
 
十文字高校が危なげない試合運びで優勝

十文字高校・横山久美は3得点全てに絡む活躍
 7月31日、駒沢補助球技場で第33回全日本女子サッカー選手権大会の東京都予選が開催された。高校、ユース、社会人チームなどカテゴリーを問わず女子サッカーチームが出場するこの大会。決勝に勝ち上がったのは十文字高校と文京学院高校となった。
 前半立ち上がりからU─17ワールドカップ日本代表メンバーの横山久美を中心とする十文字高校が試合のペースを握る。しかし、文京学院高校も全員が良く声を出してプレーし、相手の強力な攻撃を跳ね返す。
 こう着状態となっていた試合が動いたのは前半終了に差し掛かった35分、左サイドからのフリーキックを横山がゴール前に入れると、元井穂乃花が合わせて十文字高校が先制した。
後半、石山隆之監督から「もっと自分からアクションを起こしていこう」と指示を受けた十文字高校は、前半以上に積極的なプレーを展開し、文京学院高校を押し込んでいく。追加点が生まれたのは58分、相手のゴールキックを横山が高い位置でカットすると、前線に素早くつないでカウンターから有田佳予がゴールネットを揺らした。
 62分、「トップ下なのでシンプルにプレーすることを心掛けている」とワンタッチ、ツータッチでボールをさばいていた横山が得意のドリブルを仕掛けて2人をかわして、右サイドから落ち着いてシュートを決めて3点目。十文字高校がエース・横山の活躍で試合をほぼ決めた。
 3点差となったものの、この試合が3年生にとって最後の試合となる文京学院高校は試合を投げずに最後まで十文字高校に立ち向かっていく。その気持ちが実ったのは75分、ペナルティーエリアの外から池田紗弓が打ったミドルシュートが見事ゴールに決まり、3年間の高校サッカー生活を締めくくった。
 FIFA女子ワールドカップでなでしこジャパンが優勝したことによって、女子サッカーの注目度は大きく上がっている。3得点すべてに絡んだ十文字高校の横山は「すごくモチベーションになる。自分もあのピッチに立てるようになりたい」と気持ちを新たにしていた。
3位決定戦レポート
東京都立晴海総合高校 0-0 立川FC
(前半0-0、後半0-0、延長前半0-0、延長後半0-0、PK4-2)

PK戦に勝利して喜ぶ晴海総合高校の選手たち

晴海総合高校がPK戦に勝利
 決勝戦に先立って行われた晴海総合高校と立川FCによる3位決定戦は、どちらもチャンスを作りながらも決められない、我慢の展開となった。立ち上がりはしっかりとパスを組み立てる社会人チームの立川FCが優勢だったが、運動量で上回る晴海総合高校が徐々に反撃に転じる。80分間で決着がつかずに延長戦に入るも、ここでも決まらず勝負はPK戦へもつれ込む。1人目、3人目が外した立川FCに対して、晴海総合高校は5人中4人が成功。粘り強い戦いで接戦を制した。

interview
 
日本一になるためにはレベルアップが必要
十文字高校 石山隆之監督
 今日は試合内容に関しては決して良いとはいえませんでした。全国高校女子サッカー選手権大会で優勝を逃してしまったショックからまだ立ち直れていませんでしたね。
 それでも、選手たちは気持ちを切り替えて精一杯頑張ったことはほめてあげたい。「高校選手権に出られなかった3年生を送り出そう」という目標を持って、早い時間で点差をつけてくれました。
  今後の目標は、東京で一番になり続けること、そして日本一になることです。そのためには技術面、精神面の両面でレベルアップすることが必要だと感じています。
 
最後を笑顔で締めくくれて良かった
文京学院大学女子高校
床爪克至監督
 十文字高校とは、こういった大会の決勝でよく当たっていて、割と勝つことが多かったのですが、今日は完敗でしたね。守備の要の宮田あずさが不在だったことも影響したかもしれません。
 試合前に注意していたのは横山久美選手のパス、右サイドの元井穂乃花選手のドリブル。全体的にはしっかりと守れていましたが、ここというところでやられてしまったという印象です。
 3年生の選手は今日の試合を持って引退します。勝つことはできませんでしたが、最後に1点取り、笑顔で終わることができて良かったですね。
 
TOPICS
 
全国大会における東京都チームの活躍を紹介します。
 
《クラブニュース》
adidas CUP 2011 第35回日本クラブユース
サッカー選手権(U-18)大会

優勝:東京ヴェルディユース

「adidas CUP 2011 第35回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会」は、東日本大震災の影響により、群馬県前橋市に開催地を移して7月22日から7月31日まで行われた。東京ヴェルディユースはグループリーグを2位で勝ち上がり、決勝ラウンドに進出。準々決勝で浦和レッズユースに5-0で大勝すると、準決勝では柏レイソルU-18を3-1で退け、決勝へ。ヴィッセル神戸U-18との決勝では8分に南秀仁のゴールで先制すると、1点を守り切り、日本一に輝いた。
 
《高校》
第21回全国高等学校定時制通信制サッカー大会
優勝:町田高校定時制サッカー部

1月5日、「第19回全日本大学女子サッカー選手権大会」の決勝が国立競技場で行われ、前年度優勝の早稲田大学が武蔵丘短期大学を4-1で下して、大会2連覇を果たした。関東第一代表として出場した早稲田大学は、予選リーグ(3試合)では引き分けが一つ、1点差勝利が一つと苦しんだが、決勝トーナメント以降はチームの歯車が噛み合い、準決勝6得点、決勝4得点と攻撃力が爆発した。
 
《女子》
第20回全日本高等学校女子サッカー選手権大会
第3位:十文字中学高等学校

静岡県磐田市で7月23〜29日に開催された「第20回全日本高等学校女子サッカー選手権大会」。東京都から出場した十文字中学高等学校と修徳高等学校は共に準決勝へ進出する。しかし、十文字高校は大阪桐蔭高校に延長戦で敗れ、修徳高校も優勝した常盤木学園高等学校に0-9で敗れた。なお、この大会には東京都から2チーム以外に東京都立晴海総合高校、村田女子高等学校、成立学園中学・高等学校の3チームが出場した。
 
《シニア》
第10回全国シニア(50歳以上)サッカー大会
第3位:トヨペットクラブ

6月25〜27日、「第10回全国シニア(50歳以上)サッカー大会」が静岡県藤枝市で開催された。東京都から出場したトヨペットクラブはグループリーグを1位で突破。決勝トーナメントの準決勝では優勝候補筆頭の静岡県選抜50と戦い、1-1の同点のまま勝負はPK戦へともつれ込む。PK戦では敗れてしまったが、3位という結果を勝ち取った。
 


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