試合レポート


← 前ページ  次ページ →

第18回東京都・埼玉県社会人サッカー連盟選抜交流試合
2010年1月17日 埼玉県・熊谷スポーツ文化公園陸上競技場
 


東京都1部リーグの優秀選手で構成された東京都社会人選抜だったが埼玉県選抜に完敗

決定力不足が響いて埼玉に5失点完敗

 東京都、埼玉県のサッカー競技の向上と両社会人連盟の親睦をはかる「東京都・埼玉県社会人サッカー連盟選抜交流試合」が1月17日、快晴に恵まれた埼玉県・熊谷スポーツ文化公園陸上競技場で行われた。
 昨年度の東京都1部リーグの優秀選手で構成された東京都選抜だったが、前半で埼玉県選抜に3点差をつけられてしまう。
 1失点目は30分。左サイドからのクロスがDFに当たってペナルティーエリア内にこぼれたところを押し込まれてしまった。42分にはゴール前で跳ね返ったボールをDF同士が〝お見合い〟。わずかなスキを突かれてミドルシュートを決められた。それからわずか1分後の43分、DFラインの裏に蹴られたロングボールから失点して3点差となった。
 0-3で迎えたハーフタイム、東京は5人の選手を交代して後半に臨んだ。後半開始早々の50分、埼玉GKのミスからオウンゴールで東京に1点が転がり込む。早い時間帯で1点を返したことで反撃ムードが盛り上がったが……。
 その後、東京は警視庁サッカー部のMF天野雅紀がコーナーキックから精度の高いボールで何度もチャンスを演出する。だが、東京選手のヘディングはことごとく枠をとらえられず。逆に前掛かりになったところをカウンターで突かれて2失点を喫して1-5で大敗した。
「即席チームなので喋りながらプレーしようと試合前に話したのですが……。埼玉のほうがコンビネーションもコンディションもよかった」と原靖監督が語ったように、東京都社会人選抜は、実質的にはぶっつけ本番で臨んでいた。それによって、選手同士のコンビネーションが噛み合わない場面が多々見られた。
 特にコンビネーション不足が顕著だったのがDFライン。前半の3失点は初めてコンビを組んだCBの2人のズレが招いたもの。後半から出場したGKの勝部和気も「個々の選手のポテンシャルはあるけど、コンビネーションが取れていなかった」と失点の要因を分析する。
攻撃面では前半は槻木清道、後半は根本知治という長身ストライカーにボールを集めたものの、2列目の選手がうまく絡めず、単発の攻撃に終わることが多かった。MF鳥井勇作は「攻め手が少なかったです。チーム全体の連携や運動量がないから、1人で2人を相手にしなければいけなかった」と悔やんだ。
 スタンドから視察した社会人連盟の杉山委員長は「東京は走るチーム。テクニックでは埼玉のほうが上だが、運動量で上回れなければ難しい」と話したが、ほとんどの選手がチーム始動前のために本来の走るサッカーができなかったのが大敗の要因となったといえるだろう。
 この結果、交流戦の通算成績は東京の6勝3分8敗と2つ黒星が先行している。来年度は東京の〝ホーム〟で戦うだけに今回の大敗の屈辱を晴らしたいところだ。

天野は正確なキックでチャンスを演出 中盤の底で走り回った大谷
CKから訪れた決定機を生かせず 積極的な仕掛けを見せた鳥井
 
 
 
interview

東京都社会人リーグ選抜
原靖監督


僕は5年ぶりに交流戦に来たのですが、こんなに差がつくのかというのが正直な感想です。 チームとしてではなく、個々のプレーになってしまうところが多かった。 ボールを持った選手へのサポートの部分で埼玉のほうが上だった。 「4点」の差はないと思うのでこの経験を生かして来年は勝ちたいです。
 
 



第19回TAFA会長杯争奪戦 決勝
2009年12月17日 東京都・駒沢補助競技場


8年連続優勝の日本ウェルネススポーツ専門学校

〝王者〟ウェルネスが激戦を制して8連覇!

 今年で19回目を数える「TAFA会長杯争奪戦」。この大会は春季大会、秋季大会と並んで専門カテゴリーの3大大会の一つ。優勝したチームは東京都サッカートーナメントの学生系の部に出場することができる。
 12月17日の決勝に勝ち上がったのは日本ウェルネススポーツ専門学校と東京メディカルスポーツ専門学校。この2校には共通点がある。どちらもスポーツトレーナーやスポーツインストラクターを目指す学生が集まった専門学校なのだ。専門学校カテゴリーではスポーツ系の学校が上位の常連となっている。
 その中でもウェルネスは別格的な存在だ。この大会でも7年連続で優勝しているように、専門学校サッカーの絶対王者と言ってもいい。そのウェルネスに、2009年に日本スポーツレクリエーション専門学校の医療系学科が発展して独立した新設校がどのように挑むのかに注目が集まった。
「就職活動で何人かメンバーが変わったことでチーム力は落ちたので、こういう試合展開は予測していました」と佐々木善監督が語ったように、ウェルネスは1-1のPK戦で勝ち上がってきた準決勝同様に、この試合でも苦戦を強いられることになる。
 ウェルネスのファーストチャンスは1分、DFラインの背後に飛び出した加賀達也がゴールを狙っていくが、シュートはゴールマウスをとらえられない。
 一方、GK三ヶ尻恭平を中心とした堅い守備からの速攻に勝機を見い出そうとするメディカル。前半終了間際の38分、FW志村直哉から右サイドの森貴徳につながり、ドリブル突破からシュートを放ったが、これはサイドネット。0-0で前半を折り返す。
 後半、数少ないチャンスをモノにしたのは王者・ウェルネスだった。44分、ストライカーの斉藤一輝が左から切れ込みゴール前で右足一閃。GKの逆を完璧に突いたシュートがゴールネットを揺らして待望の先制点をゲットした。
 失点を許したメディカルは必死の反撃を見せるが、ゴール前での落ち着きを欠いてシュートを決められない。ウェルネスはゴールを決めた斉藤をセンターバックに回してシャットアウトした。
 苦しみながらも8連覇を達成したウェルネスが天皇杯予選に挑むことになったが、大学を相手に大敗も予想される。それでも、「公式戦で大学と真剣勝負をできるのは大きい」と佐々木監督が語るように、トップレベルのチームと戦うことはスポーツトレーナーなどを目指す彼らにとって貴重な経験になることは間違いないだろう。


準優勝の東京メディカル・スポーツ専門学校


優勝監督コメント

日本ウェルネススポーツ専門学校
佐々木善 監督


8年連続優勝ということでうれしく思っています。 大学に行く子どもが増えてチーム力が落ちているので、昔のように簡単には勝てなくなっています。 専門学校は特殊なカテゴリーです。 2年制なのでチーム編成も難しい。天皇杯予選は来年の6、7月なので新チームで戦うことになります。 公式戦で大学と真剣勝負をできるのは大きい。 サンドバックになるかもしれないけどその後につながる。1点を取るというテーマで戦いたい。




 
 
 



第12回東京都フットサル1部リーグ
2010年1月30日 東京都・江戸川区総合体育館
 


全勝で優勝を果たしたデルソーレ中野

激しい優勝争いを制したのは“デルソーレ中野”

 東京都1部リーグの最終節が1月30日、江戸川区総合体育館で行われた。12節終了時点ですでに優勝を決めていたデルソーレ中野が、最終戦も勝利して見事全勝優勝を達成した。
 前年度4位のデルソーレ中野には、日本フットサルリーグ「Fリーグ」から松浦英、西野宏太郎、竹井宏真と3人の元Fリーガーが加入していた。東京都1部リーグの中では別格の3人を中心にしたチームは、戦前の予想通りに連勝街道を突っ走っていく。
 序盤戦、サプライズを起こしたのは平均年齢が東京都1部リーグで最も若いCAエボルシオンだった。開幕から4連勝を飾って一時は首位に立った。だが、5試合目で初黒星を喫すると、その後は黒星が先行して順位を落とした。若く可能性があるチームなので来年度が楽しみだ。
 昇格チームながら、優勝候補の一角に挙げられていたのが情熱ロンリネス。開幕戦でデルソーレ中野に敗れたものの、その後は順調に勝利を重ねて1部初挑戦で3位と大健闘を見せた。CAエボルシオン同様に来年度の飛躍が期待される。
 その後、優勝争いはデルソーレ中野とBRBタンタラスの2チームに絞られる。BRBタンタラスは昨年度の優勝チーム。2年連続優勝を狙って9節まで全勝で突き進んだ。だが、10節で小金井ジュールと引き分けて一歩後退する。
 そして迎えた12節、9勝のデルソーレ中野と8勝1分けのBRBタンタラスの直接対決が行われた。デルソーレ中野は勝てば優勝が決まるが、BRBタンタラスが勝てば順位がひっくり返る。優勝をかけた大一番は壮絶な打ち合いになった。10-6という点の取り合いを制して優勝したのはデルソーレ中野だった。
 デルソーレ中野の中心選手の松浦は「経験のある選手がいるので勝ち方を知っていることが優勝の要因だと思います。今年度は東京都1部優勝と関東2部昇格を目標にしていたのでまずは良かった。関東2部に上がることが目標なので勝てるように頑張りたい」と気持ちを引き締めた。


競技力だけでなく
運営力も大事な要素

 今年度は1位のデルソーレ中野、2位のBRBタンタラス、3位の情熱ロンリネスの上位3チームが4位以下を引き離す結果になりました。そういう点では上位とそれ以外の差は開いたのですが、4位から12位までの勝ち点差はかなり詰まりました。
 例年の1部リーグの結果を見ていると、落ちるチームは0勝、1勝しかしていませんが、今年度は3勝しても残留が確定しないぐらいでした。
 個人的には、これから1、2年で上から下まで全部が詰まるのではないかと予想しています。今、2部や3部で戦っている実力のあるチームが上がってくれば、数年のうちに上位と下位の実力差がほとんどない「大混戦リーグ」になるのではないでしょうか。
 東京都フットルリーグは1部、2部、3部、オープンの4カテゴリーで構成されています。一つひとつのハードルをクリアし、上のカテゴリーに上がっていくのは大変です。それぞれのリーグ戦を戦っていくことによってチーム力がついていきます。
 ただし、昇格するにはフットサルの実力だけがあればいいわけではありません。東京都リーグは「自主運営リーグ」なので、試合運営ができないチームは上のカテゴリーには昇格できません。運営ができないと他のチームや施設の方に迷惑をかけることになります。もしも運営の不手際で施設の使用ができなくなれば、リーグができなくなってしまいます。
 現実に1部のチームの中には、3部を勝ち上がりながらも運営面が未熟だったために、同じカテゴリーをもう1回やり直したところがあります。そのチームは反省して生まれ変わり、今では運営もしっかりやってくれています。オープンや3部は、運営面の教育の場という役割も果たしているのです。
 運営面における東京都リーグの“永遠の課題”が試合会場の確保です。東京都は体育館の数が絶対的に不足しているので、リーグ戦の日程から会場を確保するのは非常に大変です。今までは1日の体育館で1つのリーグだけでしたが、今年度は空いた時間に他のリーグを2試合入れたりするなど、1日をフル活用できるように工夫しています。
 Fリーグや関東リーグ、来年度からは関東女子リーグも始まるので、東京都リーグの日程を確保するのはますます大変になるでしょう。今年度のように1日の利用時間内に複数のリーグの試合を開催していく方式は変わりません。全てのカテゴリーが協力し合って、限られた利用時間を有効に活用していくことが大事になります。それと同時に、新しく試合会場となる体育館を増やすことにも積極的に取り組んでいきたいと思います。

 
 
Profile

東京都フットサル連盟
副幹事長
藤森雅義





第24回東京四十雀大会
2010年1月11日 東京都・駒沢陸上競技場


新年1発目の“蹴り初め”として行われた東京四十雀大会



シニアサッカーの〝元祖〟四十雀クラブ東京

 2010年1月11日、「第24回東京四十雀大会」が駒沢陸上競技場で開催された。
 この大会はシニア連盟の主催大会となっているが、グラウンドの確保以外の実質的な運営はシニアサッカーチーム・四十雀(しじゅうから)クラブ東京が担当している。
 四十雀クラブ東京の柳谷俊郎副会長が、大会の成り立ちを説明する。
「当初は私たち、四十雀クラブ東京の蹴り初めということで始めたのですが、紅白戦だけではもったいないと24年前から親交のあるチームに声をかけさせていただいて大会方式にしました。東京はグラウンドを押さえるのが難しいので、その点については東京都協会、東京都シニア連盟にご協力をいただいて開催しています」。
 四十雀クラブ東京はシニアサッカーチームのパイオニア的存在である。チームの設立は1952年。50年を超える歴史のあるシニアチームは全国を見渡しても皆無と言っていい。「しじゅうから」というチーム名は「四十(しじゅう)から=「40歳以上」という意味をかけたもの。全国各地に「四十雀○○」と名のつくシニアチームはたくさんあるが、最初にこのチーム名をつけたのは、四十雀クラブ東京である。
 かつては日本サッカー協会元会長の故・長沼健氏が所属し、現在も岡野俊一郎氏が会員に名前を連ねるなど日本サッカーの要人にもゆかりのあるチームは、現在も40代から80代まで幅広い年代が所属している。
 その四十雀クラブ東京が主体となって行われたこの大会は公式戦ではない。あくまでも新年1発目のサッカーをみんなで楽しもうというのが主目的である。



真剣な表情でボールを追いかける

カテゴリーを拡大する東京シニアサッカー

 近年、東京のシニアカテゴリーの充実ぶりが目立っている。40代、50代、60代……と年齢を重ねていくごとに、それぞれのカテゴリー別にリーグ戦や大会が行われるようになって、競技者数、大会数は増加の一途をたどっている。今年度からは65歳以上のカテゴリーも新設されるという。
 これは東京のシニアサッカー環境が整ってきたことが大きい。かつては「シニア」と呼ばれる年齢になるとプレーする場所は非常に限られていたが、活動チーム数が増えたことで、同じぐらいの年代同士で、モチベーションを落とさずにプレーできるようになっている。
 また、一つのチームがO-40チーム、O-50チームと複数のカテゴリーで大会に出場していることも珍しくない。同年代の選手でスタートしたチームが年齢を重ねて上のカテゴリーに上がって、下の年代の選手たちが入ってくる。四十雀クラブ東京も幅広い年代で構成されている。柳谷副会長はそれこそがシニアの最大の魅力だという。
「私たちはクラブなので自分より年齢が上の人もたくさんいます。40代の私なんてこのチームの中では〝小僧〟なわけです(笑)。人生の先輩を通じてサッカーをできたり、サッカーを通じて話をできたりするのがいちばん大きな財産だと思います」。
 150人以上が参加し、東京のシニアサッカー熱の高まりを改めて感じるものになった「東京四十雀大会」。これからも新年1発目の蹴り始めイベントとして、たくさんの人たちを楽しませてほしい。

 


TOPICS

全国大会における東京都チームの活躍を紹介します。

《大学》
第58回全日本大学サッカー選手権大会
優勝:明治大学
大学サッカー日本一を決める「全日本大学選手権」で明治大学が頂点に立った。決勝トーナメント初戦で仙台大学をPK戦の末に下すと、準々決勝でも浜松大学にPK勝ち。苦しい試合を2試合連続で乗り切ったチームは、準決勝で関西大学に2-0で勝利して決勝進出。接戦を制することでチーム力をつけた明治大学は、1月6日に国立競技場で行われた決勝でも福岡大学に2-1で勝ち、大学日本一に輝いた。
《女子》
第18回全日本大学女子サッカー選手権大会
優勝:早稲田大学
今年度の大学選手権は男子と女子で東京が「ダブル優勝」を果たした。今大会、早稲田大学は予選リーグで34-0、11-1、4-1の得点49、失点2と圧倒的な強さを見せつけて4チームによる決勝ラウンドへ勝ち上がった。全日本大学選手権(男子)と同日に行われた神奈川大学との決勝戦では、2-1と接戦を制して優勝。見事に大学女子ナンバーワンの称号を手にした。
《女子》
第31回全日本女子サッカー選手権大会
優勝:日テレ・ベレーザ
女子サッカー界の女王の座に君臨する日テレ・ベレーザが、元日行われた全日本女子選手権で貫録の3連覇を達成した。準決勝では東京電力マリーゼに苦戦しながらも2-1で制して優勝に王手をかけると、初優勝を目論む浦和レッズレディースに2-0で勝利。通算優勝回数をダントツトップの10に伸ばした(準優勝は6回)。
《フットサル》
第6回全日本女子フットサル選手権大会
優勝:FUNフットサルクラブレディース
過去5大会中、第2回〜4回の4大会を優勝しているFUNフットサルクラブレディースが前人未到の「5連覇」に挑んだこの大会。準決勝では関西代表のarco-irisに苦しめられ、PK戦で辛うじて退けた。そして迎えた最大のライバル、バルドラール浦安FS、 ラス・ボニータスとの決勝戦。大きなプレッシャーを乗り越えたFUNレディースは、決勝を2-1で制して5連覇の大偉業を達成した。
《ユース》
高円宮杯 第20回全日本ユース(U-18)サッカー選手権大会
3位:三菱養和サッカークラブ
高円宮杯 第21回全日本ユース(U-15)サッカー選手権大会
3位:東京ヴェルディジュニアユース
高校とクラブによって、「真のユース年代日本一」が争われる高円宮杯。U-18大会ではJリーグクラブが勝ち上がる中、三菱養和サッカークラブが快進撃を見せた。惜しくも優勝には手が届かなかったが3位に入った。U-15大会では、この大会の上位の常連でもある東京ヴェルディジュニアユースが期待通りの3位入賞。U-15・18の両カテゴリーで上位に食い込み、改めて東京サッカーのレベルの高さを示した。

 
 




← 前ページ  次ページ →