試合レポート


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東京-ソウル親善サッカー定期戦2009
2009年8月25日、27日 東京都・駒沢陸上競技場
 


〝チーム一丸〟となって
最後の試合で勝利を飾る

 今回で13回目を迎えた、東京都とソウル特別市のU―15、U―18サッカー定期戦。〝永遠のライバル〟である日本と韓国の首都同士による交流戦は、将来を担う若い選手たちにとって貴重な国際経験となってきた。8月25、27日の2日間で4試合が行われ、25日のU―15カテゴリーでは、東京都中体連選抜とソウル特別市中学校選抜が対戦した。
 ソウルは「昨日来たばかりで体が重く感じて慣れていない」(金仁洙監督)とコンディション的には万全の状態ではなかったそうだが、疲れを感じさせないプレーを見せた。キャプテンのMF呉晙赫を中心に、一人ひとりのスキルの高さを生かして優位にゲームを運んでいく。
 個人技ではソウルに上回られた東京だったが、1人目がかわされたとしても2人目がすぐにフォローするチャレンジ&カバーを徹底し、決定的なシーンをほとんど作らせない。スコアレスで30分ハーフの前半を折り返し、後半に臨んだ。
 すると36分、東京は後半から出場したFW西川駿がペナルティーエリア右で縦パスを受けると、ゴール前でDFとGKを右にかわす。その際にバランスを崩しかけたが、何とか持ちこたえて右足でシュート。このボールがゴールネットを揺らした。「チームのために絶対に決めるという気持ちで打ちました」という中体連選抜の〝スーパーサブ〟が先制点をもたらす。
 ここからタイムアップまでが東京の真骨頂だった「チームの大きな柱になっているのが〝一丸〟になること。苦しいときこそ頑張れるチームになろうと、メンタル面に力を入れてきました」と清水大史監督が語ったように、ソウルの猛攻をチーム一丸となって跳ね返した東京が1―0で勝利を飾った。
 決勝点を決めた西川は「僕自身は何本もチャンスがあったのに決められなかったんですけど、チームが勝てたことはすごくうれしい」と苦笑いをしながらも充実感を漂わせた。このチームにとって今回の試合は選抜として最後の活動だ。これから新しいフィールドにチャレンジしていく彼らにとって、同年代のライバルに競り勝ったことが、大きな財産となるのは間違いないだろう。


ソウルの〝気合い勝ち〟
お互いに貴重な経験に

 U―18カテゴリーでは帝京高校とソウル特別市高校選抜が対戦した。前半に挙げたゴールを守り切ったソウルが1―0で勝利した。
「相手の声を張り上げるスタイルにちょっと戸惑ったところがあったかもしれない」と帝京の廣瀬龍監督が振り返ったように、帝京はワンプレーごとに大きな声を出して味方を鼓舞し、相手に威圧感を与えるソウルの気合いに押されてしまう。
 ソウルの李元哲監督が「相手のテクニックを抑えるために声を出してプレッシャーをかける。それを子供たちがしっかりとやってくれました」と語ったように〝気合い作戦〟が当たったといえるだろう。
 そして18分、帝京はソウルにゴール前でFKを与える。このFKをソウルは朴畯秀が右足でシュート。強烈なボールが一直線にゴールネットに突き刺さって、ソウルが先制点をゲットする。
 1点を失った帝京は22分、平石直人が左サイドからドリブルで突破してシュートを打つがGKに止められる。32分には、町田直樹がゴール正面でDFを左にかわしてシュート。だが、これもGKの正面を突いて決めることができない。
 帝京は後半もソウルゴールを攻め立てるが、ゴールをこじ開けられないまま時間が過ぎていく。ロスタイムに突入し、右サイドからのクロスにゴール前で3人がフリーになっていたが、ボールを枠に飛ばすことができずにタイムアップ。
「外国の相手と戦えるのは1年に1回か2回あるかないか。日本ではなく韓国の相手と試合をできたのは良い経験になったと思います」(帝京・廣瀬監督)
「日本の優秀なチームに勝って、自信につながるし、チームとしてレベルアップできると思います」(ソウル・李元哲監督)。
 両監督の言葉からは自国の相手とはスタイルの異なるチームと戦えたことによる収穫の大きさがうかがえる。
 8月27日の第2戦では東京都U―15選抜が2―1でソウル特別市中学校選抜に、東京ヴェルディユースが2―0でソウル特別市高校選抜に勝利し、3勝1敗で勝ち越した。

 
 



第33回東京都大学サッカー連盟1・2部春季対抗戦
2009年5月3日〜7月5日 埼玉県・立正大学熊谷キャンパスグラウンド他


1点が分けた勝敗の行方
1部の國學院大学が優勝!

 33回目を迎えた1・2部春季対抗戦は、東京都1部リーグ、2部リーグに所属するチームによって争われるカップ戦で、各大学にとっては秋季リーグ開幕前の貴重な真剣勝負の場となっている。
 決勝は昨季1部リーグを10チーム中8位で降格を免れた國學院大学と、10チーム中9位で今季から2部でプレーする明治学院大学というカードになった。どちらも優勝して〝本番〟の秋季リーグ戦に弾みをつけたいところ。
 立ち上がり、快調に飛ばしたのは明治学院大学だった。明治学院大学は細かいパス交換と豊富な運動量をベースにした、〝つなぐサッカー〟を武器に準々決勝(東京大学戦)は5点、準決勝(亜細亜大学戦)3点と大量得点で勝ってきた。4月に就任した大嶽直人監督による練習の成果が表れているようだ。
 一方、國學院大学の決勝の勝ち上がりは明治学院大学と正反対。準々決勝は帝京大学に1―1でPK戦勝利、準決勝の立正大学戦は1―0勝利と接戦をモノにしてきている。
 そんな國學院大学にアクシデントが起こったのは35分のこと。ボランチとして攻撃の組み立てを担っていた、キャプテンの望月大嗣が負傷退場。國學院大学は早い時間で中心選手を失うことになった。
 前半はお互いに1回ずつチャンスを迎えたが決められず、スコアレスで後半に突入した。
 ゲームが動いたのは50分だった。國學院大学の左からのクロスを野本将樹が頭で中に折り返すと、これを佐藤祥平がジャンピングボレー! アクロバティックなゴールで國學院大学が先制に成功する。
 明治学院大学は62分、國學院大学のGKがクリアしようとするところにFW前田拓哉が猛烈なプレス。GKの蹴ったボールが前田の顔面に当たって跳ね返り、そのままゴールイン。献身的なプレーがゴールを呼び込み、同点に追いついた。

 しかし、均衡状態はわずか4分で終わる。66分、自陣から野本が放り込んだロングボールがゴール前でバウンド。前に出てきたGKの目の前で佐藤祥が頭で押し込んだ。2ゴールの佐藤祥はボールへの反応の速さと、バネのある体の使い方が目立った。
 このゴールが決勝点となって、國學院大学が明治学院大学を2―1で下して優勝を飾った。
 明治学院大学は「点を取り返した後に簡単に失点したのが大きな敗因」とキャプテンの板垣秦が悔やんだように、1点の重みを改めて痛感することになった。板垣は「優勝を狙っていたのでかなり悔しい……。2部では全勝で優勝を目指してやっていきたい」と気持ちを切り替えた。
 國學院大学の石渡源治監督が勝因に挙げたのは〝耐える力〟だった。これまでの國學院大学は1点を失った後に、バタバタと連続失点を喫して崩れることが多かったという。しかし、この試合ではアクシデントのような失点後も慌てずにプレーし、勝ち越しゴールをゲットした。準々決勝、準決勝で苦しい試合を粘り強く勝利した経験が、決勝の舞台で生きたといえるだろう。
 2ゴールの佐藤祥は「チームにとって初めてのタイトルなのでうれしいし、自信になる」と顔をほころばせた。「秋のリーグ戦に勝って、関東2部に上がって、来年は関東2部でプレーしたい」と國學院大学は昨季8位からのジャンプアップを狙っている。
 春季対抗戦を制した〝春の王者〟が、秋季リーグで〝秋の王者〟になれるのか――注目が集まる。

 


TOPICS

全国大会における東京都チームの活躍を紹介します。

《フットサル》
第22回全国選抜フットサル大会
東京都選抜、3年ぶりの優勝!
7月17日〜19日に、第22回全国選抜フットサル大会が石川総合スポーツセンターで開催された。東京都選抜は1次ラウンド3試合全て2桁得点で勝利を重ねて、準決勝で大阪府を5―4、決勝で広島県を6―0で下して3年ぶりの優勝を飾った。
《自治体》
第39回全国自治体職員サッカー選手権大会
東京消防庁、4年ぶり2回目V!
第39回全国自治体職員サッカー選手権大会が7月24日〜29日、群馬県・前橋総合運動公園陸上競技場で行われて、東京都代表は決勝に勝ち進み、過去38回の大会で25度の優勝を誇る〝常勝軍団〟藤枝市役所と対戦。3対2の激闘を制して、4年ぶり2度目の優勝を達成した。
《クラブユース》
第33回日本クラブユースサッカー選手権(U―18)大会
FC東京、惜しくも優勝をのがす
7月24日〜8月2日、第33回日本クラブユースサッカー選手権(U―18)が行われた。FC東京U―18は高い技術と豊富な運動量を生かしたサッカーで決勝に勝ち上がったが、セレッソ大阪U―18に0―1で敗れて、惜しくも準優勝に終わった。
《少年》
第33回全日本少年サッカー大会決勝大会
横河武蔵野FC、快進撃で3位に
8月1日〜8日、第33回全日本少年サッカー選手権大会の決勝大会が東京都・西が丘サッカー場などで行われた。横河武蔵野FCジュニアが全国各地の強豪チームを次々に撃破して3位に入賞。ひたむきなプレーが評価され努力賞にも選ばれた。
《女子》
第18回全日本高等学校女子サッカー選手権大会
十文字高校が全国3位に輝く
静岡県・ヤマハスタジアムなどで7月25日〜8月1日に行われた、第18回全日本高等女子サッカー選手権大会。東京都からは関東代表として十文字高校、成立学園高校、村田女子高校の3チームが出場。十文字高校が3位という高成績を収めた。
第14回全日本女子ユース(U―15)サッカー選手権大会
女子ユース3位はスフィーダ世田谷
8月7日〜11日、福島県・Jヴィレッジで開催された第14回全日本女子ユース(U―15)サッカー選手権大会で、NPOスフィーダ世田谷FCが3位に輝いた。今大会の準決勝の4チーム中3チームが関東代表と、関東のレベルの高さを証明した。

 
 



東京都クラウン(O-60)サッカーリーグ/東京都ロイヤル(O-70)サッカーリーグ プレマッチ
2009年7月20日 東京都・大井埠頭中央海浜公園第二球技場


7月20日、CWL(東京クラウンリーグ)の第4節が行われた。クラウンリーグは、60歳以上(O-60)のチームによるリーグ戦。
 昨年度から始まって、2年目となる今年度は8クラブが参加した。来年以降もチーム数の増加が予想されている。
 さらに、来年度からは新しいカテゴリーの70歳以上(O-70)のチームによるCRL(東京ロイヤルリーグ)も始まる予定で、同日にはプレマッチが開催された。
 年を追うごとに熱が高まっている東京のシニアサッカーについて、東京都シニアサッカー連盟の事務局長・小林久士氏とシニア連盟常任委員・中條満氏に聞いた。


公式戦で真剣勝負が
できるのが最大の魅力

――シニアサッカーでプレーする方々はどのような人が多いのでしょうか?
中條 サッカー未経験者というのはわずかですが、高いレベルでプレーなさった選手はたくさんいます。シニアサッカーには元日本代表クラスの選手もいますから、自分たちが見ていた選手と一緒のピッチに立てるというのもうれしいですね。
小林 本当にその通りです。例えば、WKU(早稲田・慶応ユナイテッド)というチームには元日本代表で日立でも活躍した松永章さんが所属しています。ご覧になればわかると思いますが、松永さんのプレーは本当にすごい。この年齢になってからでもトップレベルの選手のすごさに触れて、サッカーの面白さを感じられるというのは、本当に貴重なことです。
――シニアチームの成り立ちはどういったものが多いのでしょうか?
中條 50年以上の歴史がある四十雀クラブ東京は、インターハイや高校選手権に出た人たちの集まりだったそうです。OBには故・長沼健さん、岡野俊一郎さんなどがいます。ただ、基本的には大学のOB、高校のOBなど学校単位で結成しているチームも多いですね。シニアでは地区よりも学生単位のところが多いように思います。
――みなさん、どのような目的でサッカーをしているのでしょうか。
中條 勝ち負けにこだわらないよという人が半分、こだわってやりたいという人が半分ではないでしょうか。私自身は後者ですね(笑)。
小林 どんな人でもサッカーをやる以上は勝ちたいという思いは絶対にあると思います。公式戦で真剣勝負ができるということが、シニアリーグの最大の魅力ですから。
――東京のシニアサッカーの普及度は全国的に高いのでしょうか?
小林 日本サッカー協会の登録数は一つの目安になりますが、チームは約70チーム、選手は1800人以上。これは全国的にもダントツの数字です。
中條 お隣の千葉県もかなり力を入れていて強くなっています。ただ、東京のように審判も外部から呼んできてやっているところはほとんどないと思います。


来年はO-70の活動が本格化します

――昨年度からスタートしたO―60のリーグ戦「クラウンリーグ」をやろうと思ったきっかけは何だったのですか?
小林 O―40、O―50でプレーしていたメンバーの年齢は、当たり前ですがだんだん上がっていきます。60歳以上でもまだサッカーをやりたいという声が増えてきたので、リーグ戦を立ち上げることにしました。
中條 60になっても70になってもボールを蹴りたい人は蹴りたいものです。確かにリタイアしていく人もいますが、ずっとボールを蹴っていたいという人のほうが多いですね。
――来年度からO―70の「ロイヤルリーグ」もスタートするそうですが。
中條 O―60でずっと続けていらっしゃるかたで、年齢が上になって出るチャンスが少なくなっている人がいるんです。それでも蹴りたいという人たちがいる。30代の5歳違いと我々世代の5歳違いではかなり差が大きくなりますから。
――ちなみに、70歳以上のリーグ戦というのは世界的にも前例はあるのでしょうか?
中條 具体的なことはわかりませんが、O―70でリーグを作ろうという機運があるのは日本だけでしょう。先日、韓国に行ったのですが、韓国の関係者もこのことを驚いていました。「日本では70歳以上でもボールを蹴っているのか」と。
――これからのシニアサッカー連盟の活動について教えて下さい。
小林 O―60のリーグ戦ができて、今年は8チームで来年は増えます。そして、来年はO―70の活動が本格化します。シニアサッカー連盟の目的は、生涯スポーツとしてサッカーをやっていける環境を作っていくこと。楽しい部分と勝ち負けにこだわる部分をうまく融合してやっていけたらと思っています。また、全国大会に東京代表として優勝したチームを送り出すわけですが、金銭的な問題もあるので、できるだけバックアップしていきたいです。それから、O―40の1部リーグで優勝したチームが今年初めて韓国に行って日韓戦をするんです。O―50、60でも日韓戦をやりたい。定期戦というか公式大会にしていけたらと思っています。
中條 これまでは、40代、50代で活躍していた人たちが、60代になったらその先にリーグがなかったんです。こうやってO―60のリーグが立ち上がったことは、50代の人たちは相当励みになっているはず。年齢制限を設けることによって、より楽しめます。サッカーという素晴らしいスポーツと、楽しく、長く付き合っていくためのサポートをしていきたいですね。

第13回全日本女子ユース(U-18)サッカー選手権大会 東京予選
2009年9月6日 東京都・晴海総合高校
 


引き分けで逃げ切り、飛鳥が2年連続優勝!

 全日本女子ユース(U18)サッカー選手権大会東京予選の決勝リーグは、前年度成績の4チームがシードされ、予選トーナメントを勝ち上がった2チームを加えた6チームによって行われる。6チームによる総当たりのリーグ戦で上位2位までが、関東大会に進出する。2つの椅子を懸けた戦いは9月6日の最終戦までもつれた。
 5試合目までの時点で1位は前年度優勝の飛鳥高校(勝点11)で、2位は前年度準優勝の十文字高校(勝点8)。飛鳥は引き分け以上で関東大会進出決定、十文字は勝てば飛鳥を上回るが、引き分け以下だとこの後に試合が行われる3位の文京学院(勝点7)の結果次第になるだけに、どうしても勝利が欲しいところ。
 東京の女子高校サッカーを引っ張る両雄の対決で先に仕掛けたのは飛鳥高校だった。立ち上がりの積極的な攻撃が実ったのは12分、ペナルティーエリア右から加藤智奈美が振り向きざまに左足で打ったシュートがゴールに吸い込まれた。
 国体関東大会で東京の女子の監督を務めた石山隆之監督が率いる十文字高校は、今年の国体メンバーにも選ばれたDF藤澤真凛とFW横山久美が中心選手。唯一の3年生である藤澤がDFラインを統率し、横山はスピードとテクニックを兼ね備えたドリブルで相手ゴールを脅かしていく。
 飛鳥高校の1点リードで迎えた42分、十文字高校は横山が左からドリブルでカットインしてシュート。一度DFに当たって跳ね返ったボールを素早く拾うと、GKを右にかわして無人のゴールに流し込み、十文字高校が1¦1の同点に追いつく。
 勝利が欲しい十文字高校は勝ち越しゴールを狙って人数を掛けて攻撃したものの、飛鳥高校の堅い守備を崩せずタイムアップ。決勝リーグ5試合を3勝2分けと無敗で終えた飛鳥高校が2年連続優勝を達成した。
 金澤真吾監督は「2年連続優勝できてうれしいです。去年は関東大会ベスト4で、あと一歩のところで全国大会を逃したので、今年こそは全国出場を果たしたい」とコメント。〝飛鳥〟が全国の舞台へ羽ばたくことを期待したい。


1枠を勝ち取ったのは
雑草軍団・文京学院高校

 最終節の第2試合は成立学園高校と文京学院高校。注目が集まったのは勝ち点7で暫定3位の文京学院高校だった。1試合目終了時点で十文字高校は勝点9。つまり、この試合で文京学院高校が勝って勝点3をプラスすれば、勝点10の2位で関東大会出場が決まるのだ。
 0―0で迎えた37分、文京学院高校に待望の先制点が生まれる。左サイドからのパスを2年生の原志帆がダイレクトで蹴り込んだボールが、ゴール左上に突き刺さった。
 1点のビハインドを背負った成立学園高校は、前半同様に国体関東大会の東京都選抜メンバーでもある10番の米本奈緒を中心に攻めるも、シュートまで持っていくことができない。41分には、ボランチでプレーしていた中心選手の野津絵里香を左サイドMFに移して、サイドアタックを強めていく。
 文京学院高校は「頑張ろう!」「先触れ!」「切り替えろ!」といった声をチーム全員で掛け合って、苦しい時間を必死に耐える。その中でも目立ったのはGK中村紘子のプレーだった。47分、相手の左サイドから上げられたクロスボールがゴールに向かってきたが、パンチングで難を逃れる。56分には小田部優里のミドルシュートがゴール前でバウンドする難しいボールになったが、落ち着いて抑えて失点を許さない。
 床爪克至監督が「中村が声を出してチームをまとめてくれた」と語ったように、文京学院高校はキャプテンの中村を筆頭にピッチの中で良く声が出ていたのが印象的だった。相手のポジションチェンジや攻撃のスタイルの変化にも、選手たちがピッチの中で柔軟に対応したことが、無失点で逃げ切った結果につながったといえるだろう。
 試合後のミーティングで感極まる場面もあった床爪監督は「ウチはタレントがいるわけではない〝雑草チーム〟。チャレンジャーに徹したことが勝因だと思います。関東大会では1、2回戦を突破して全国に行きたいです」と抱負を語った。
 関東大会には東京都代表として日テレ・メニーナ(実績・実力を考慮して東京予選は免除)、飛鳥高校、そして文京学院高校の3チームが出場する。

 




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