試合レポート


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クラブ
第10回東京都クラブユースサッカー(U-17)選手権大会
2009年2月8日 東京・駒沢陸上競技場

 
決勝


明るく、楽しく! 三菱養和SCが東京一に!

 10回目を迎えた「第10回東京都クラブユースサッカー(U-17)選手権大会」の決勝は、浦和レッズや日本代表でもプレーした永井雄一郎(清水エスパルス)など、数多くの名選手を輩出している三菱養和SCと、トップチームがJFLに所属する名門クラブチーム・横河武蔵野FCのカードになった。
 準決勝では三菱養和がFC東京を、横河武蔵野が東京ヴェルディを下した。全国トップレベルにあるJユースクラブを破って決勝に進出しただけあり、どちらも優勝に向けてのモチベーションは非常に高い。試合前の両陣営からは「これに勝てば東京一だぞ!」という声が聞こえてきた。
 前半から主導権を握ったのは三菱養和だった。攻撃陣に豊富なタレントをそろえるチームは、アタッキングサードでの細かいパス交換と個人技で横河武蔵野ゴールをこじ開けにかかる。特に左MFの田中輝希が見せるドリブル突破は相手の脅威になった。
 それでも横河武蔵野はGKを中心に我慢強く対応し、ゴールを許さない。攻撃時には1トップの石場大豊に素早くボールを集めてカウンターを仕掛けていく。決勝らしい緊迫した展開は、90分間をスコアレスで終えた。
 20分間の延長戦でも決まらなかったゲームの行方はPK戦に委ねられることになった。
 PK戦で先に失敗したのは三菱養和のほうだった。1人目が共に成功して迎えた2人目の先行で蹴ったシュートはGKに止められる。しかし、後攻・横河武蔵野のシュートはコースを狙いすぎて枠外へ。がけっぷちから蘇った三菱養和が2人連続でGKの逆を突いてゴール隅に決めたのに対して、チャンスを逃した横河武蔵野はまさかの3人連続失敗。
 横河武蔵野のPKが外れて優勝が決まると、三菱養和はサブの選手も一緒になって優勝を喜んだ。三菱養和のサブの選手は試合中から大きく、明るい声でピッチで戦っている選手たちを盛り上げていた。
「チームはいつもこんな感じです。それが養和の持ち味です」と笑いながら話すのは斉藤和夫監督。試合に出ていない選手もチームの一員として一緒になって戦う――まさしく全員で勝ち取った〝東京一〟だった。
 敗れはしたものの、優勝まであと一歩に迫った横河武蔵野。この悔しさが彼らにとって大きなエネルギーになるはずだ。

 
 
3位決定戦


1点を守り抜いたFC東京が3位に!

 FC東京と東京ヴェルディ。ご存知の通り、東京に本拠地を置くJリーグクラブの両雄である。今季は東京ヴェルディがJ2に降格してしまったためリーグ戦で対戦することはないが、両者の直接対決は〝東京ダービー〟として毎回ヒートアップする。そして、それは下部組織も例外ではない。
「第10回東京都クラブユースサッカー(U-17)選手権大会」の3位決定戦で実現したユース同士の〝東京ダービー〟は、3位決定戦とは思えないような、ライバル意識をぶつけ合う白熱した展開となった。
 前半は風上に立った東京ヴェルディが一方的に攻める。特筆すべきはFWの兄・高木俊幸と縦関係の2トップを形成した高木善朗だ。アルゼンチン代表のリオネル・メッシを思わせる、キレのある高速ドリブルで果敢に切れ込み、ゴールが見えれば素早くシュート。前半は高木善が何度もチャンスを演出していた。
 一方、風下に立ったFC東京は「前半はプレッシャーがかからなかった」と倉又寿雄監督がいうように、高い位置でボールを奪って攻撃に転じる形ができなかった。それでも、先制点はFC東京に転がり込む。前半終了間際の43分に、ゴール前で一瞬フリーになったFW三田尚央が打ったシュートの跳ね返りを、MFの梅内和磨が押し込んだのだ。
 エンドが変わった後半、FC東京は「本来のプレーができた」と倉又監督がいうように、ペースをつかむ。ボールを細かくつなごうとする東京ヴェルディに対して、数的優位を作ってプレスをかけていく。そして、ボールを奪ってからは素早く前に運んでシュートを打つ。シンプルかつアグレッシブなサッカーは、トップチームと共通するスタイルだ。
 1点を追いかける東京ヴェルディだったが、前半のような攻撃の形を作ることができず、前線で高木兄弟が孤立しがちになってしまう。何度か訪れたチャンスも、決定力を欠いてゴールに結びつけることができなかった。
 1-0で東京ヴェルディを下して、3位になったのはFC東京だった。倉又監督は、「チームはまだ準備段階。4月からプリンスリーグが始まるので、そこで結果を出して高円宮杯に出るのが今年の目標です」と語った。両チームには、今シーズンも東京に本拠地を置くライバルとしてお互いに高めあっていくことを期待したい。

 
 



第10回東京都自治体職員サッカー連盟フットサル大会
2009年1月18日 東京・府中市総合体育館


ボールを蹴ることで〝同僚〟から〝仲間〟に

 1月18日、自治体連盟主催によるフットサル大会が府中市総合体育館で行われた。
 自治体連盟は、日本サッカー協会に登録している都内の自治体職員で組織するサッカーチームによって構成されている。現在の加盟チーム数は22団体だ。
「東京都には23区26市3町1村があります。その数からすると加盟チーム数はもっと増やしていかなければいけません」と課題を口にしたのは、自治体連盟幹事長を務める伊藤茂男氏だ。
 この大会は自治体連盟加盟チームが出場できる3大会の中の一つ。ただし、夏の全国自治体選手権大会予選、秋の関東自治体職員選手権大会予選という2つのサッカー大会はどちらもトーナメント方式で行われるため、1年間で2試合しかできないというチームも出てきてしまう。試合数の少なさが加盟チーム数増加のネックになってきた。


 そのため、フットサル大会ではリーグ戦形式を採用。1チームが最低3試合はできるようにした。競技人数が5人と少ないため、1団体が複数チームで出場することも認めている。
「コートが狭くて11人とは勝手が違うので、いつも勝っているチームが必ず勝てるとは限らない。サッカーだと勝てないであろうチームが勝つということも意外と起こるんです。そういったこともあって人気の高いイベントになっています」。
 伊藤氏の言葉を裏付けるように、今大会では参加17団体のうち、9団体が2チームに分かれて出場し、参加チーム数は大会が始まって10年で最多の26チームとなった。
 予選リーグは4チーム×4グループ(A〜D)、5チーム×2グループ(E・F)で行って、A〜Dの上位2位、E・Fの上位3位までと、ワールドカード2位までの16チームが決勝トーナメントに進出する。
 16分(8分ハーフ)のゲームは2分のインターバルを挟んでテキパキと行われていった。特に目についたのが、各チームのマナーの良さである。民間のフットサル大会でよく見られるような悪質なファウルや判定への執拗な抗議などがほとんど見られない。また試合間隔が非常に短いにもかかわらず、ほぼスケジュール通りに進んだことにも驚かされた。この点は選手たちが〝自治体職員〟であることと無関係ではないだろう。伊藤氏はいう。
「常日頃からサッカーのプレーヤーである前に公務員だというのは、連盟の中でもいっています。各選手に『自分たちは自治体の代表だから』という意識はあると思います。また、次のチームを2試合前にコイントスをして、ユニホームを決めて、前の試合が終わったらすぐにコートに入れるようにしています」。
 この大会の趣旨は楽しくボールを蹴ることだ。女性プレーヤーが男性に交じってボールを追いかける姿も数チームで見られた。
「この大会は親睦を深めるという意味合いが強いですし、楽しくやろうというのが根底にあります。また自治体同士の情報交換の場にもなっています」。
 優勝したのは大本命の東京消防庁だった。東京消防庁は夏の全国予選、秋の関東大会も優勝しており、2008年度〝3冠〟を達成した。左足の強烈なシュートでチームを引っ張ったエースの高橋幸祐は、喜びの表情を見せた。
「新年になって初めての集まりだったので、コミュニケーションを取って楽しみながらやろうと思っていました。前回は2チームに分かれて出場して、片方のチームが勝ち上がりましたが準優勝でした。今回は優勝することができてうれしいです。今年のチームの目標は、3年連続で全国大会の決勝で藤枝市役所に負けているので、今年こそは日本一になりたいと思っています」。
 その東京消防庁と決勝戦で1-2の熱戦を演じたのが東京都庁Aだった。「若いメンバー」で構成されたAチームのキャプテン、齋藤圭祐は自治体サッカーについて、「同じ職場の人間と、仕事だけじゃなくて、スポーツを通して交流を深められることがすごく大きいことです。それによって仕事の上でも働きやすくなります」と語った。
 この言葉には東京消防庁の高橋も同意する。「消防庁は東京都内に80署あるんですが、サッカー部で他の署と交流ができます。同じ目標に向かって仲間とサッカーをやれるのが醍醐味だと思います」。
 サッカーやフットサルを一緒にプレーすることによって、職場の〝同僚〟が〝仲間〟になっていく――それこそが自治体サッカーの最大の魅力だろう。

 
Profile


(財)東京都サッカー協会
自治体連盟 幹事長

伊藤 茂男

 



専門
第18回全国専門学校サッカー選手権大会
2008年10月27〜31日 東京都・駒沢陸上競技場他


専門学校日本一を決める
専門学生達の「選手権」

 専門学校の日本一を決める全国専門学校サッカー選手権大会が、10月27日から31日までの5日間に渡り、駒沢陸上競技場を中心に行なわれた。今年度で18回目となる同大会は、専門学校サッカー部にとって唯一の全国規模の大会であり、専門学生にとって最大の目標である。
 13年ぶりの東京都開催となった今大会には、予選を勝ち抜いた19校が参加し、東京からは日本ウェルネススポーツ専門学校、東京スポーツ・レクリエーション専門学校、東京工学院専門学校、東京YMCA社会体育・保育専門学校の4校が参加した。
 昨年、一昨年と2年連続で準優勝のウェルネスは、第10回大会で初優勝し、その翌年の第11回大会を除き、全ての大会に出場している大会常連校だ。練習は週4回。約40名の部員達は、午前中に授業を受け、午後は部活という日々を送っている。
「勝つことを目指して体育会の形でやってい ます。ただ、僕らができる限界はあるので、選手の特徴は壊さないように心がけています」と、佐々木善監督が話すように、大学のサークルよりも高校の部活動に近いスタンスだ。
「地元東京開催の今年こそ」と意気込んでいたウェルネスだったが、準決勝で甲賀健康医療専門学校に0-3で敗れ、悲願の優勝は達成できなかった。それでも3位決定戦では、札幌リゾート&スポーツ専門学校に4-0できっちりと勝利し、3位で大会を終えた。
「夏の厳しい合宿とかも乗り越えてやってきたので、決勝の場で戦いたかったですが、最後の大会で、最後の試合ですし、メンバーに入れなかった2年生もいるので、その選手達のためにも最後に勝ててよかった」と、ウェルネスの尾上司主将は振り返った。2年生のほとんどが同大会で引退し、今後は指導者などサッカーに特化した仕事に進むべく就職活動を始めるという。
 なお大会は、甲賀健康医療専門学校が、3連覇を狙った履正社学園コミュニティ・スポーツ専門学校を、延長戦の末2-1で破り4度目の優勝を果たして幕を閉じた。

 
 



社会人
第17回埼玉県・東京都社会人サッカー連盟選抜交流試合
2009年1月18日 東京都・駒沢陸上競技場


交流戦3度目のドロー
先制許すも追いつく!

 今年度で17回目を迎える「埼玉県・東京都社会人サッカー連盟選抜交流試合」が駒沢陸上競技場で行われた。昨年度は熊谷スポーツ文化公園陸上競技場で行われ、東京が3-0で勝利している。
 リーグ選抜戦に先立って行われた役員選抜戦は、大量5点を決めた東京が守っても埼玉を完封し、5-0の快勝。リーグ選抜もこれに続きたいところだ。
 最初の決定機は東京に訪れる。MF天野雅紀のクロスからFW金田康がヘディングシュート。ボールは惜しくもゴール右に外れるが、その後も東京がペースを握る。飯島幸嗣監督が「キーマン」と話すボランチの戸田有悟がサイドをうまく使い、そこから幾度もチャンスが生まれる。しかし、決定力を欠いてゴールを割ることができない。
 戸田はFWが落としたパスをサイドに供給し、時には自ら空いたスペースに走り込むなど、効果的な動きで攻撃の起点となっていた。
 対する埼玉はロングボールを多用し、カウンターから何度かチャンスを迎えるも、東京はGK寺地廉を中心に守り切り、前半は0-0のまま終える。
 後半の開始から猛攻を仕掛けたのは埼玉だった。飯島監督はハーフタイムに「まずゴール前に入ってくるロングボールを注意しよう」と指示を与えたが、それがうまく機能せず、後半4分にDFラインの裏に抜け出した埼玉の橋本に先制ゴールを奪われてしまう。
 その後も東京は劣勢の展開が続いたが、ボランチの2人にボールを集めることで徐々にサイドからチャンスが生まれる。後半28分、右サイドバック蔦野泰祐のクロスが流れてきたところを吉住敦がシュート。そのボールをファーサイドで途中出場の岡山洋介が押し込み同点ゴール。
 その後も両サイドの攻撃から決定機を迎えるもののキーパーの好セーブもありゴールを割ることができず、試合終了。交流戦、3度目の引き分けとなった。

 
 




 topics  ◆
 
全国大会における東京都チームの活躍を紹介します。

《フットサル》
第5回全日本女子フットサル選手権大会
FUN Ladies 4連覇達成!
11月1日〜3日の3日間、静岡県・エコパアリーナにて開催された第5回全日本女子フットサル選手権大会。大会3連覇中のFUN Ladiesが圧倒的な強さを見せ、大会4連覇の偉業を達成した。

《ジュニアユース》
高円宮杯第20回全日本ユース(U-15)サッカー選手権大会
FC東京U-15深川が初優勝!
12月29日、国立競技場にて高円宮杯第20回全日本ユース(U-15)サッカー選手権大会決勝が行われた。3年ぶりに決勝に進出したFC東京U-15深川がアルビレックス新潟ジュニアユースに1-0で勝利し、初優勝を飾った。

《女子》
第30回全日本女子サッカー選手権大会
日テレ・ベレーザ、2年連続V
1月1日、国立競技場にて第30回全日本女子サッカー選手権大会決勝が行われた。なでしこリーグ覇者の日テレ・ベレーザが安定した戦いぶりでINACレオネッサに4-1で勝利し、2年連続9度目の優勝を果たした。

《大学》
第57回全日本大学サッカー選手権大会
中央大学、16年ぶりV!
1月11日、国立競技場にて行われた第57回全日本大学サッカー選手権大会。筑波大学と中央大学という伝統校同士の対戦となった決勝は、1-2の逆転劇を演じた中央大学が16年ぶり8度目の日本一となった。

《フットサル》
PUMACUP2009第14回全日本フットサル選手権大会
FUGA MEGURO が初優勝!
3月15日、代々木競技場第一体育館にて第14回全日本フットサル選手権大会決勝が行われた。Fリーグ覇者の名古屋オーシャンズを相手に関東第1代表のFUGAMEGUROが大健闘。堅守と速攻でリズムをつかみ6-4で勝利。見事初の栄冠を手にした。

 

 
 



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