試合レポート


← 前ページ  次ページ →

第13回東京都サッカートーナメント
決 勝
(第88回天皇杯全日本サッカー選手権大会東京都代表決定戦)

2008年8月30日 東京都・西が丘サッカー場
 

“カテナチオ国士舘”、天皇杯出場!


開始4分の1点を最後まで守り切る

 国士舘大学と横河武蔵野FC―。昨年同様に大学vs社会人のカードとなった、東京都サッカートーナメント決勝。勝てば天皇杯東京都代表。東京一の称号と天皇杯出場権を手にするのは、果たしてどちらのチームか。
 開始早々の4分、左サイドのFKで吉野峻光が右足で入れたボールを、混戦のゴール前でDF川邊裕紀がわずかに触ってコースを変えた。これが決まって国士舘大学が先制点を手に入れた。
「相手は1点取ったら守備が堅いのはわかっていた」と横河武蔵野FCキャプテン・小山がいうように、今年の国士舘大学は粘り強さがウリ。準決勝の町田ゼルビア戦でも前半の早い時間に奪った”1点“を守りきり、決勝に駒を進めている。
 それでも、国士舘大学の武岡優斗の「チームとして出来が良かったかといえばそうではない」という言葉通り、試合全体でペースを握っていたのは横河武蔵野FCのほう。中盤での細かいパスワークから裏のスペースを突く攻撃でゴールを狙っていく。
 後半1分、横河武蔵野FCに決定的なチャンスが訪れる。完全にDFラインの裏に抜け出したFW金子剛がGKとの1対1でシュートを放つ。しかしこれを国士舘大学GK山田賢二が阻止。金子は後半32分にも、GKとの1対1を迎えるも、決められず。
 雨の中、最後まで応援を続けたサポーターのためにも勝ちたかった横河武蔵野FCだが、1点が遠かった。「決めるべきところを決めないとこうなるということ」と小山は肩を落とした。横河武蔵野FCが天皇杯に出場したのは、横河電機時代の第80回大会(2000年)が最後だ。それ以降の5度の決勝は全て敗れている。
 前半4分に挙げた1点を守りきった国士舘大学が、第82回大会(2002年)以来6年ぶり14回目の天皇杯出場を決めた。一昨年の法政大学、昨年の明治大学、今年の国士舘大学とこれで天皇杯東京都代表は3年連続で大学チームとなった。
 細田三二監督は「粘り強いサッカーができるようになってきた」と、苦しい試合を制した選手たちの頑張りを称えた。「勝因は運が良かったところが一つ。それから、最後まで足を止めなかったこと。足を止めたらやられていたと思う」。FWからのアグレッシブなプレスと、ゴール前での体を張ったブロック。泥臭いプレーを90分間やり続けたことによって、勝利をつかみ取った。
 エースナンバーを背負う武岡は「本大会では真剣勝負のJ1チームとやりたい」とチームメートの気持ちを代弁した。

 
 
interview

国士舘大学
FW 10
武岡優斗


早い時間に先制できたのは良かったけど、チームとして出来が良かったかといえばそうではない。 もちろん2点目を取りたかったけど、失点を0に抑えられたことはチームとしては大きい。 天皇杯では一つひとつ自分たちができることを全部出して、できるだけ上にいきたい。 真剣勝負でJ1のチームと戦ってみたいです。
 
interview

横河武蔵野FC
DF 2
小山大樹


立ち上がりにああいう形で失点してしまって……。 立ち上がりを除けばそこまでやられた感はなかっただけに、何とも悔しい負け方です。 相手は1点取ったら守備が堅いのはわかっていた。 こっちが決めるべきところを決めないとこうなってしまうということ。 すぐに気持ちを切り替えてリーグ戦(JFL)に臨みたい。
 



2008東京国際ユース(U-14)サッカー大会
2008年4月26〜28日
東京都・味の素スタジアム、アミノバイタルフィールド、
多摩市立陸上競技場、稲城中央公園総合グラウンド
 

 
世界中から集まった”次世代のスター“たち

 ベルリン、ジャカルタ、ロンドン、モスクワ、ニューサウスウェールズ、パリ、サンパウロ、ソウルという海外8都市のチームと、地元・東京から2チームを加えた10チームによって開催された「2008東京国際ユース(U-14)サッカー大会」。世界各国の14歳以下の選手が東京に集結し、お互いの実力を競い合った。
 5チームが2つのリーグに分かれて1回戦総当り方式でリーグ内の順位を決定。それを元に同順位チーム同士による順位決定戦が行われた。
 開催都市・東京都から出場したのが、東京トレセンの主力選手を中心に結成された東京都選抜と、Jリーグ・FC東京の下部組織であるFC東京むさし。東京都選抜はグループAで2位になり、3位決定戦に回るとパリに5-0で大勝。グループB3位のFC東京むさしは5位決定戦でPK戦の末にサンパウロを下した。
「この年代で世界のチームと戦うのは、ものすごくいい経験になったと思う」と東京都選抜の岩本慎二郎監督がいうように、サッカー選手にとって大事な10代前半の時期に積んだ国際経験は、彼らにとって大きな財産となっただろう。
 この大会の目的は技術向上だけではない。サッカーを通じて海外の仲間との友情を育むことも重要なテーマになる。象徴的な光景が見られたのが、大会最後に行われた決勝戦のスタンドだった。
 試合途中で自分たちの試合を終えた他のチームの選手たちが、両チームの応援を始めたのである。2チーム、3チーム、4チーム、5チーム……自然発生的に応援の輪は広がっていった。国籍や人種の違いを超えて友情を深められるのは、「サッカー」という共通言語があるからだろう。
 世界中から東京に集まった”次世代のスター“たち。彼らの中からトッププレーヤーが生まれることを期待したい。

 
 
 
3位決定戦
東京都選抜 5-0 パリ


5試合連続無失点
攻守が噛み合った結果

 東京都選抜がパリに5-0で完勝した。 4分、右MFの松岡啓太が大柄な敵と競り合いながらも、シュートを決めて先制した。 パリのFWケヴィン・クリバリのスピードと身体能力に何度か手を焼いたが、粘り強いディフェンスで食い止めると、東京のゴールラッシュが始まった。 26分、31分、37分とFW天野将平が3連続ゴール。 ピッチを広く使ったサイド攻撃が機能して、次々とゴールが生まれていく。 53分には、清水貴明が右からのクロスを落ち着いてゴールに流し込み、5-0。 ハットトリックで勝利の立役者となった天野は、「無失点に抑えてくれたDFのおかげ。 みんなが一つになれたと思います」と語った。5試合で失点0。 大会最高の堅守を誇った東京都選抜が3位に輝いた。

 
決 勝 戦
ベルリン 3-0 ソウル


完成度の高さを見せたベルリンが優勝!

 基礎技術の高さに裏打ちされたパスワークが持ち味のベルリンに対して、スピード豊かな選手を揃えたソウルがカウンターで応戦する構図になった決勝。 前半はソウルがベルリンDFの裏を突いて何度かチャンスを迎えたが、先制ゴールを決めたのはベルリンだった。 ズベン・ライマンがソウルDFの空振りでこぼれてきたボールを落ち着いて流し込んだ。 後半開始早々の30分には、ファビアン・キューネマンの強烈なシュートがポストを叩く。 すると34分、スルーパスに抜け出したパスカル・ボロフスキーが2点目をゲット。 ボロフスキーは56分にもワンタッチのループシュートでゴールネットを揺らした。 ブンデスリーガの強豪クラブ、ヘルタ・ベルリンのユース選手を中心にしたベルリンが完成度の高さを見せつけた。

 



第63回 国民体育大会 関東ブロック大会
 

 
女子、少年男子が大分国体出場!

「第63回 国民体育大会 関東ブロック大会 サッカー競技」が、山梨県で8月16、17日に成年男子と女子、8月19、20日に少年男子が行われた。
“ミニ国体”と呼ばれる関東ブロック大会からは、成年男子と女子は8チーム中2チーム、少年男子は8チーム中4チームが、9月27日〜10月7日に開催される「チャレンジ!おおいた国体」に出場することができる。
今年は成年男子のみ惜しくも出場はならなかったものの、女子と少年男子が出場権を獲得。
全国の舞台での、東京の選手たちの素晴らしいプレーを期待したい。
 
 



成年男子
2008年8月16、17日 韮崎中央公園陸上競技場&芝生広場


魔の時間帯で3失点
3年連続敗退

「こんな負け方をするとは思っていなかった。ショックは大きいです」。嶺岸浩二監督が唇を噛む。
 0-1で迎えた後半16分だった。東京は右サイドの中野遼太郎のクロスを反町一輝がつなぎ、天野雅紀が決めて1-1に追いついた。
 前半こそ群馬のパスワークの前に、高い位置からのプレスが機能しなかった東京だが、後半になると次第に自分たちのリズムが生まれてくる。後半から出場した18歳の吉田堅太郎が積極的なプレーでチームに勢いをもたらした。
 勝てる――。誰もが思った、その直後だった。
 東京の同点ゴールから4分後、群馬の左からのクロスをクリアしたボールが、ペナルティーエリア中央のポッカリと空いたスペースにこぼれる。ここへ群馬のボランチ氏家英行が走り込み強烈なシュート。地面を這うようなボールがゴールに突き刺さり、群馬が再び勝ち越す。
 その3分後、またしても群馬のゴールが決まる。小仁所洋平が約30メートルの距離から打ったミドルシュート。「あれは個人の技術」とキャプテンの岩間耕平も脱帽するしかなかった。
 1-3。これで東京の成年男子は3年連続で関東ブロック大会敗退となった。嶺岸監督は「前半の出来が悪すぎた。それがいちばんの敗因」と語った。試合の立ち上がり、そしてゴールを決めた直後というサッカーにおける”魔の時間帯“での失点が、試合の流れを決定づけた。
 この敗戦からチームとしての課題を抽出、克服して、次こそは全国の舞台へと勝ち上がってほしい。

 
interview

成年男子
DF 5
岩間耕平


国体は35分ハーフと短いので、その中での戦い方をしないといけない。 去年も前半の立ち上がり早々に失点したが、最初に失点してしまうとゲーム運びが難しくなる。 それでも、前半を1失点で凌いで、後半に同点にしたところまではプラン通り。 だけど、そこで仕留められなかったのは課題。 将来性のあるチームなので来年こそは全国へ行きたいです。
 



女 子
2008年8月16、17日 押原公園天然芝グラウンド&人工芝グラウンド


”東京なでしこ“が2試合連続ミラクル!

 東京の女子が2試合連続の劇的な勝利で、本大会への切符をつかんだ。初日の群馬戦ではロスタイムに同点、逆転ゴールを挙げて代表決定戦に駒を進めた。
 本大会出場の座をかけて戦うのは、ジェフユナイテッド市原・千葉レディースの単独チームである千葉。東京が2年連続で敗れている”鬼門“の相手だ。特にFW清水由香には何度もゴールを決められてきた。
 この試合でも、前半2分、その清水のアシストから千葉のFW石井千晴に先制点を決められてしまう。だが9分、左サイドバックの藤澤真凛のクロスが直接決まるというラッキーな得点で、東京が早い時間で同点に追いつく。「前半で1-1になったのが大きかった」(池田浩子主将)。
 ハーフタイムに石山隆之監督はシステムを4-4-2から4-2-3-1に変更する。「中盤を向こうに支配されていたので、中盤の枚数を増やした」(石山監督)。
 炎天下の中での2日連続の消耗戦。後半はどちらも運動量が落ちて、こう着状態に。そして、延長突入かと思われたロスタイム。
 池田のパスを受けた田中麻里菜がドリブルで仕掛けて、目の前のDFを股抜きでかわすと、飛び出してきたGKの脇下を狙ってシュート。東京が土壇場で勝ち越すと、ラストワンプレーの池田のFKまで決まって、東京が3-1で千葉を下した。
「去年はすごい悔しかったので本当に嬉しい」と池田。1年前は出場権を獲得しながら、一部選手の出場資格不備で辞退した。その悔しさというパワーが、これまで何度も負けた千葉に勝利するエネルギーになった。 本大会では「まずは1勝。なでしこリーグ主体のチームに勝ちたい」と石山監督は力強く語った。

 
interview

女子
MF 10
池田浩子


ほとんどの選手がオフなしで迎えていて、疲労的にはピークでした。 後半途中で延長戦が頭をよぎったけど、「1点取れば大分にいける」という気持ちがあのゴールにつながったような気がします。 今年のチームは(年齢が)上の人たちが、下の人たちに声をかけてくれて、仲良くなれたことが大きいです。 本大会の目標ですか?上へ上へ行きたいです。
 



少年
2008年8月19、20日 韮崎中央公園陸上競技場&芝生広場


山梨との決定戦制し2年連続本大会出場

 昨年、「秋田わか杉国体」で21年ぶり4度目の全国優勝に輝いた東京の少年男子。関東ブロック大会の組み合わせを決める関東U-16トレセンリーグのBブロックで1位になり、群馬との代表決定戦に臨んだ。
 今年の東京の特徴は「シンプルにボールを動かして、アタッキングサードではワンツーやドリブルなど自由なアイデアを発揮する」(漆間信吾監督)というもの。U-16リーグやトレセンマッチデーでは大量得点を叩き出してきた。
 しかし、自陣に引いてスペースを消してきた群馬の前に、東京は自分たちのサッカーをすることができない。ボールは圧倒的に支配しながら、決定的なシーンは作れず、スコアレスのまま前半を終えた。
 ハーフタイムに漆間監督は「相手にあれだけリトリートされたらなかなか点は取れない。相手チーム全体に対して仕掛けていかないと、ファウルもCKも取れない」と声をかけた。
 田中輝希のFKがバーを叩いた直後の56分、最も恐れていたことが起こる。群馬にカウンターでDFラインの裏を突かれて先制点を決められたのである。この失点で落ち着きを失った東京は、64分に2点目も喫して万事休す。出場権獲得は翌日の代表決定戦に持ち越しとなった。
 キャプテンの田中は「前半で点を取れなかったことでモチベーションが下がってしまった。後ろで回すばかりで、点を取るためのパス回しができなかった」と反省を口にした。
 翌日の代表決定戦、前日0-2で敗れたチームは見違えるようなサッカーを披露。3-0で山梨を下して、2年連続本大会出場を決めた。

 
interview

少年男子
MF 10
田中輝希


ボールは支配できていたけど、縦パスを入れる積極性や、最後の最後の正確さに欠けていたと思います。 失点したときに、僕はキャプテンなのに「最後まで諦めるな」という声が出せなかったのは反省点。 全体的に元気がなかったですし、全てが中途半端だったという感じです。 明日は気持ちを切り替えてやるしかありません。 (8月16日、群馬戦後)
 




← 前ページ  次ページ →