試合レポート

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第17回東京都サッカートーナメント 決勝
(第92回天皇杯全日本サッカー選手権大会東京都体表決定戦)
東京都・味の素フィールド西が丘 2012年8月25日
横河武蔵野FC 2-2(PK5-4) 東京23FC


東京都トーナメントの優勝は12年ぶり2度目

2度の同点劇に見えた横河武蔵野FCらしさ


延長後半、起死回生の同点弾を決めた上田陵弥

東京都サッカートーナメントの決勝は久しぶりの“社会人対決”となった。近年、社会人は大学やユースに押され気味だったが、横河武蔵野FCは東京ヴェルディユースを、東京23FCは専修大学を下して、決勝へと駒を進めた。

試合の構図としては、JFLの横河武蔵野FCに関東2部リーグの東京23FCが挑戦する格好だが、実際に主導権を握ったのは東京23FCのほう。東京ヴェルディなどで活躍した元日本代表DF米山篤志監督の下、速いテンポでパスを回しながら仕掛けていく。

「前半は硬くなってしまった。相手のモチベーションが高くて、どうしても受けに回ってしまうところがあった」(依田博樹監督)。前半、横河武蔵野FCの見せ場は左サイドの加藤正樹が何度かスピードで突破した場面のみ。カテゴリー上では2つ下の東京23FCを圧倒できない。

試合が動いたのは71分だった。左サイドから三沢慶一が入れたグラウンダーの低いクロスに、ファーサイドで待っていたのは、後半からピッチに送り込まれた山本孝平! 東京23FCが先制ゴールを奪って天皇杯出場へ近づく。


PK戦で勝利が決まって走り出す横河武蔵野FC

ここから横河武蔵野FCはFWを投入し攻勢を強めていく。「横河武蔵野らしい粘り強さ」(岩田啓佑)が実を結んだのは87分、FW関野達也がゴール前で倒されPKを獲得。これを関野が自ら決めて土壇場で試合を振り出しに戻す。

20分間の延長戦で先手を取ったのは東京23FC。100分、「点が欲しいときのオプション」(米山監督)CB中山のオーバーラップから、中山がミドルシュートを決めて2-1。

だが、横河武蔵野FCは最後まであきらめない。タイムアップの笛が鳴ろうかという109分、左サイドバックの上田陵弥がワンツーからペナルティエリア内に侵入し、ゴールネットを揺らして、再び同点に追いつく。


東京23FCは2度のリードを守り切れず……

決勝戦の勝敗はPK戦に委ねられた。明暗が分かれたのは5人目、先行の横河武蔵野FCの矢部雅明が決めたのに対して、後攻の東京23FC・山下亮介のシュートは無情にもバーの上。2度のビハインドを追いついた横河武蔵野FCが、“社会人対決”を制して天皇杯の切符を勝ち取った。

なお、横河武蔵野FCは本大会の2回戦でJ1のFC東京を破る快挙を成し遂げた。


 
 interview

横河武蔵野FC MF岩田啓佑

横河武蔵野FCがクラブチーム化してから天皇杯に出場したことはなかったので、目標を達成できてうれしいです。今日の試合の勝因は横河武蔵野らしさ、最後まであきらめないところが出せたからじゃないかと思います。天皇杯はカテゴリーに関係なく自分たちの成果をぶつけられる場所。本大会では一つでも上に行きたい。





2012東京国際ユース(U-14)サッカー大会 決勝
東京都・駒沢陸上競技場 2012年5月5日
サントスFC 3-0 東京都トレセン選抜


優勝したサントスFCの選手たちが喜びを爆発させる

要所で試合を締めたサントスFCが優勝

東京に世界中の若い才能が集結し、実力を競い合う、東京国際ユース(U-14)サッカー大会。2008年に第1回が開催され、今年は4大陸13都市が参加して行われた。

決勝に進出したのはブラジルの名門クラブ、サントスFCのユースチームと、東京トレセンで活動する選手を中心に結成された東京都トレセン選抜。駒沢陸上競技場のピッチで両チームが優勝を争った。

立ち上がりから、試合を優勢に進めたのはサントスFC。1タッチ、2タッチで素早くパスを回しながら、ここぞというタイミングで個人技を発揮する。そして5分、後方からのロングボールを受けたイゴールがDFと競り合いながらシュート。一度はGKに阻まれたが、こぼれ球を押し込んで先制点を奪う。


サントスFCのイゴールが先制ゴールを決める

東京都トレセン選抜としては、先に点を取って相手を慌てさせたいところだったが、出鼻をくじかれてしまう格好となった。1点を取ったことで余裕が生まれたサントスFCは、DFの選手も攻撃参加していく。28分には、左サイドバックのプヨールがペナルティーエリアの外から豪快なミドルシュートを突き刺し2点目。前半を2-0でリードして折り返した。

まずは1点――。後半になると東京都トレセン選抜は積極的にゴールに迫っていく。40分には戸張颯太が左サイドからシュートを狙うが、クロスバーに嫌われてしまう。その後も、澁谷雅也がGKと1対1の場面を迎えると、ドリブルでかわしにかかるがシュート打てず。

後半アディショナルタイム、サントスFCは途中出場したサントスFCのFWヴィトンがファーストタッチでゴールを決めて、試合を締めくくった。ブラジルのクラブの優勝は2009年のサンパウロFC以来、2度目のこと。ユース年代においても世界トップレベルの技術の高さと試合運びのうまさを見せつけた。


スピードに乗った突破を見せた澁谷雅也

東京都トレセン選抜のキャプテン、辻真太郎は「相手より早く走り出したり、判断したりしないと外国のチームには勝てない。良い経験をしたので、チームの人にも伝えたい。今日できなかったことをできるようになりたいです」と、この大会で学んだことを今後につなげることを誓った。

なお、今大会には東日本大震災の被災地である岩手県、宮城県、福島県、茨城県それぞれのトレセン選抜が参加。宮城県トレセン選抜は3位入賞を果たした。



準優勝の東京都トレセン選抜



復興支援の一環による招待で出場した宮城県トレセン選抜


 
 interview

サントスFC バリオ 監督

日本のチームから受けたのは「規則正しいな」というものです。ブラジルではもっと自由度が高いやり方をします。例えば、4万人のスタジアムでは、監督がどれだけ大きな声を出しても届かないことがあります。自分で判断する力が必要だからです。コーチ陣はヒントを与えることはありますが、「こうしろ」と言うことはありません。

東京都トレセン選抜 南英昭 監督

このように海外や東北のチームと試合をできたのは貴重な経験になったと思います。今日のようにプレッシャーが強い相手には“表面的な技術”では通用しません。そういう面ではまだまだですね。サントスFCの印象はショートカウンターが上手だなということ。こちらのバランスが崩れたところを見逃さない、したたかさがありましたね。





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