一つになった個性が最高の結果をつかむ
――国体のチーム作りについて教えて下さい。
山下 前回大会から国体少年男子のカテゴリーがU-18からU-16になって、メンバー選考におけるトレセンの重要性が高まった。チームの主体となる高校一年生という年代は、ほとんどの選手が自分のチームで試合に出ていないわけだから。
田中 また、東京にはJクラブのユースも、強豪高校もあるので、新年度の段階で他県・外部からかなりの人数が入ってきます。そこは東京トレセンのスタッフである我々が把握しきれていないところなので、高校、クラブと情報交換を密にしていかなければいけません。その点で今回のスタッフは2種、3種、クラブの人間がバランス良くいるので連携がスムーズでした。
――関東ブロック予選までの強化スケジュールはどのようなものでしたか?
田中 3月から5月までは月2回、選手を集めて練習&セレクション。最初に50人ぐらいの「ラージグループ」を作って、関東トレセンマッチデー(関東の選抜チームによる練習試合)を何度かやって、メンバーを絞り込んでいきます。5月までの第1次選考で約30名になって、6、7月に最終的なメンバー18名(登録は16名)を決めます。
――関東ブロック予選大会で出場権を獲得しましたが、東京都としては、本大会の目標はどこに設定していたのでしょうか。
山下 優勝です。チームマネージメントは、選抜チームと自分のチームとでは全然違います。国体というのは選ばれた選手の集まりだから、目標はいちばん高いところに置かなくてはいけない。自分のチームだったら冷静に実力差を分析して「相手のほうが強い」という話もするけど、国体でそういう話は一切しない。彼らは「東京」の名前を背負っているわけですから。
――初戦の相手は鹿児島でした。
田中 初戦はいちばん怖い。何が起きるかわからないし、緊張もしているし、独特の雰囲気がある。そんな中で最初にウチが失点してしまった。その後はかなりシュートを打ったのに、ことごとく入らなかった。
山下 完全な負けパターン。最初から押しっ放しだったのに、前掛かりになったところでカウンターを食らって決められて。後半の35分が過ぎて「もう負けだよ。帰ろうか」なんて話をしていた。
田中 残り5分ぐらいで、DFを外して、田中を入れて3トップにした。ロスタイムになったところで、高木のシュートをGKが弾いたところを、その田中がつめて同点に追いついた。こういう大会では、「ラッキーボーイが必要だ」と山下強化部長がいっていましたが、まさにその通り。田中は延長戦でハットトリックまでしてしまった。
――2回戦では3点を先取しながらも、2点を取られて最終的には1点差で逃げ切りました。
田中 3-0になって、次の試合のために選手を代えようかと思っていた矢先に失点した。
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