試合レポート


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  2連覇の夢絶たれる… まさかの全種別敗退
 第61回 国民体育大会 関東ブロック大会
8月12・13・15・16日、第61回国民体育大会関東ブロック大会が栃木県で行なわれた。昨年度の「晴れの国おかやま国体」で総合優勝を果たした東京だが、今大会では成年男子、成年女子、少年男子の全種別で敗退し、関東ブロック代表の座を勝ち取ることはできず。なお、関東ブロック代表のチームは9月30日から始まる「のじぎく兵庫国体」に出場する。

昨年の本大会総合優勝から一転、全種別で敗退するという厳しい結果に
 
 
成年男子


立ち上がりのまずさが響き
神奈川のカウンターに沈む

 成年男子の1回戦は昨年度も初戦で当たっている神奈川。このときは3-2で勝利したものの、実力差はほとんどないと言っていい。
 東京は嶺岸浩二監督が「立ち上がりは間延びしていた」と振り返るように、DFラインとFWの距離が広がってしまい、ほとんどのセカンドボールを神奈川に拾われ攻撃の糸口をつかめない。また、“間延び”の影響で「相手のボランチ(大塚真澄)をケアしようと話していた」(嶺岸監督)こともできず、ボランチのタテパスにFWを走らせる戦術を徹底してやってくる神奈川の一方的なペースに。
 そして20分、自陣右サイドのスペースに出されたボールに東京DFはオフサイドを主張するが、フラッグは上がらない。そのスキに攻撃を展開され、神奈川・須田浩章に先制弾を許してしまう。得点後に審判に選手が抗議するなど、微妙な判定だったとはいえ手痛い失点をしたことに変わりはない。
 1点を追い掛ける東京は後半11分、攻撃的MFの垣本右近を入れて神奈川ゴールをこじ開けにいく。後半21分、その垣本が右CKをヘディングで狙うが、わずかにゴールマウスから逸れる。その2分後にも左サイドバック津田和樹のクロスを垣本がドンピシャのタイミングで合わせるも決まらない。嶺岸監督も「決めるときに決めなければ勝てない」と嘆いた。
 その後、東京はFW岩田朗、本来はDFだが長身の玉井智久を前線に投入し4トップでゴールを目指すが、最後まで1点が遠く無念のタイムアップ。玉井は「申し訳ない気持ちで一杯です……」とガックリ肩を落とした。「晴れの国おかやま国体」では総合優勝に貢献したものの、成績はベスト8止まり。「兵庫での国体は絶対に勝ちたい」(嶺岸監督)と意気込んでいただけに残念でならない。それでも、嶺岸監督は「若いチームだから次につながれば」というように希望はある。1年後の成年男子の「リベンジ」に期待したい。

interview
成年男子 MF 8  垣本右近

自分たちがやりたいのはつなぐサッカーだけど、雨でグラウンドが悪いのでロングボールを蹴り合う、あまり意図がないサッカーになってしまった。神奈川との実力差はそんなになかったと思う。ここ(1回戦)を勝てれば本大会に出場できる可能性は高かったと思うから余計に悔しい。

 
成年女子


準備期間の少なさを露呈し
千葉の「個の力」に屈する

 1回戦で山梨を8-0という大差で下した東京は、千葉との代表決定戦に臨んだ。昨年度の成年女子は関東ブロック大会を悠々と突破し、「晴れの国おかやま国体」でも優勝を成し遂げ、東京都に総合優勝をもたらしている。それだけに「今年も」という期待が掛かったが、結果的には千葉に0-2で敗れて本大会に辿り着くことはできなかった。
 とはいえ、単純に昨年と今年を比較することはできない。
 昨年のチームは日テレ・ベレーザ(下部組織の日テレ・メニーナ含む)の単独チーム。ほとんどの選手が日本代表経験者で、なおかつ、クラブでのコンビネーションをそのまま移植することができる。いわば「優勝して当然」ともいえる陣容だった。
 それに対して、今年のチームは早稲田大学、東京女子体育大学など大学生が中心のチーム。戦力的には昨年より明らかに見劣りする中で、モックなでしこリーグディビジョン2所属のジェフユナイテッド市原・千葉レディースの選手で構成される千葉と渡り合ったことは、十分に健闘と呼べるのではないだろうか。
 東京・福井真司監督は千葉のカウンターサッカーのカギを握る快速FW清水由香に対して、守備能力の高い山本りさをマンマーク気味につける。山本は期待に応えて清水を良く抑えたが、前半10分、後半21分、どちらも「山本以外が対応したとき」(福井監督)にゴールを許してしまう。 東京はFWの選手が下がってきて2列目が飛び出す、右のスペースを空けて攻撃力のある右サイドバック後藤史をオーバーラップさせるなど、狙いのある攻撃も見せた。しかし、福井監督が「形を浸透させるのに時間が掛かって、質を上げられなかった」というように、選抜チームの弱点であるコンビネーション不足は否めず。リードして守りを固める千葉DFを切り崩せずに完封された。成年女子が本大会に出場できないのは第2回以来のこと。来年こそは東京に再び歓喜をもたらすことを期待したい。

interview
成年女子 DF 4 山本りさ

もっと頭を使ってサッカーをしなければならなかった。相手の狙っているところにしかボールを出せなかったし、「あそこに入れたら取られる」というところに入れて取られていた。だけど、ベレーザやレッズのようにずっと一緒にやってるチームではないので、攻め手がなかった。
 
少年男子


敗戦から見えてくる課題を
次にいかにつなげられるか

 今年度より少年男子の出場資格はこれまでの18歳(高校3年生)以下から、16歳(高校1年生)以下へと引き下げられた。また、少年男子は関東枠が「4」あるため、代表の決定は変則トーナメントで行われる。まず関東U-16トレセンリーグの各グループ1位と2位の試合の勝者が代表となり、その試合の敗者と各グループ3位と4位の勝者が対戦し、その勝者が代表になる。
 関東U-16トレセンリーグでBグループ1位の東京は、Aグループ2位の神奈川と1回戦で対戦した。ユース日本代表候補に送り込んでいる選手数から神奈川の優勢も予想されたが、東京のタレントも決して見劣りはしない。試合前、田中康嗣監督は「アプローチを早くする。チャレンジ&カバーを徹底する」ことを確認したという。だが開始5分、神奈川・金井貢史にいきなり先制点を決められてしまう。「ゲームへの入り方が悪かった」とキャプテンの滝浪祐磨が認めるように、神奈川の出足の良さに圧倒され一方的に畳み掛けられた格好だ。
 33分、神奈川のエースFW齋藤学にドリブルシュートを決められると、前半ロスタイムにはDFとGKの連携ミスからオウンゴールを献上。後半にも2失点を喫して0-5という結果に終わった。それでも、田中監督は選手たちに「最後まで諦めないで戦ったことは評価できる。気持ちを切り替えよう」と話し、滝浪も代表決定戦に向けて「初めに流れを持って来られるかがカギ。自分たちの力を出せれば勝てると思います」と抱負を語った。
 ところが、翌日の埼玉戦は3分に高橋拓也のゴールで幸先良く先制しながら、3連続失点を喫して最終的には2-4で敗戦。この結果、全種別で東京は本大会への出場権を逃すということになった。それでも少年男子については結果よりも「いかに次につなげるかが大切」(田中監督)。これからの東京、そして日本のサッカーを担う選手たちだけに、この敗戦を糧に大きく成長してもらいたい。

interview
少年男子 DF 8 滝浪祐磨

ゲームの入り方が悪かった。(プレスに)行くところは行って、行かないところは行かない、そういう判断がハッキリしなかった。神奈川は上手いだけじゃなくてまとまりもあった。(代表決定戦では)初めに流れを持って来られるかがカギ。自分たちの力を出せれば勝てると思います。
 

第12回全日本フットサル選手権大会東京都大会


激戦区を勝ち抜き日本一の奪還を

 フットサルの日本一を決める大会、全日本フットサル選手権大会の東京都フットサル連盟予選がスタートした。一部では「関東予選を勝ち抜くよりも難しい」といわれるほど、そのレベルは高い。7月29日、3部、オープンに所属するチームによる予選を戦い終えて、8月13・20日には7月29日の予選を通過した8チーム+1部、2部のチームで東京都決勝大会の出場枠14を争った。
 その結果、勝ち抜いた14チームはヤマノヤフットサル、グッドウィルユナイテッドBSC、ガロ☆FC東京、小金井ジュール、サンパチオFC、C.A.ボンボネーラ、カフリンガ/セラ/フットボールフィールド、ヴィオフットサル八王子、十条FC、ヴィゴーレ、白金FC、BRB/タンタラス、カミーザ、ゾット。
 これに専門学校サッカー連盟から1チーム、地区サッカー連盟から1チームが加わる。そして、関東リーグ所属の6チーム(カスカヴェウ東京、ボツワナFC目黒、ファイルフォックス、フトゥーロ、シャークス、府中アスレティックFC)から、関東大会にシードされる前期リーグ(1stステージ)成績上位4チームを除くチームが参戦してくる。決勝大会が始まるのは10月21日から。関東大会への出場枠「3」をどのチームが勝ち取るのか、興味は尽きない。
 本大会においては、一昨年はファイルフォックスが優勝、昨年はフォルサヴェルヂが準優勝という好成績を残している。東京都フットサル連盟松村栄寿幹事長は「全てにおいて東京が1番になる」ことが連盟の目標だという。東京都代表として出場するチームには、関東予選、本大会を突破して日本一を目指して戦って欲しい。
 なお、今大会は「東京都フットサルカップ」の予選リーグも兼ねており、決勝トーナメントは来年の3月に開催される予定。東京都フットサルカップとは、その名の通り東京一を決める大会である。こちらでも全日本フットサル選手権大会と同様に実力伯仲の熱戦が繰り広げられるはず。多数の実力者が切磋琢磨していること-それこそが東京フットサルの最大の魅力といえるだろう。

 

第45回東京都中学校総合体育大会 決勝
(第59回東京都中学校サッカー選手権大会)
私立暁星中学校 4-0 江東区立第二砂町中学校


自分たちのサッカーで
全国大会出場を目指す

 4対0で江東区立第二砂町中学校(以下二砂)を下した私立暁星中学校(以下暁星)の荒木弘監督は決勝をこう振り返る。「正直、点差ほどの開きはなかった。やられてもおかしくないという場面は何度もあった。それでも持ち応えられたのは、後ろ(DF)3枚の安定が大きい。ウチはこの1年間、崩されて失点してないんです」
 反対に敗れた二砂の金子哲郎監督はサバサバとした表情で言う。「押し込んでいたときに決められなかったのが全て。最後の3失点はCBを1枚上げて、攻めに出た結果だから仕方ない」
 試合は前半12分(30分ハーフ)、暁星の岩崎秀がFW平戸奨眞からのパスを右サイド前方で受けると、GKのポジショニングを良く見てループシュート。これが鮮やかに決まり、暁星が先制点を奪った。
 だが、7月24日から(25、28日を除く)続く連戦の疲れがここに来て出たのだろう。20分過ぎからパタッと暁星の足が止まり、その後は「技術的には都内でもトップレベルだと思う」(金子監督)という二砂が、ショートパスをつないでゲームを優位に展開。暁星の山下恒聖キャプテンも「1点取ってからの流れが悪くて、正直焦ってた」というように、苦しい時間帯が続く。
 それでも55分、残り10分から同点に追いつくために二砂がCBの秋月利彦をMFに上げ、ディフェンスが手薄になったところを突いて、カウンターから百合川一成が値千金の追加点を決める。これで二砂の集中が切れたのか、ロスタイムの60分、61分にも立て続けにゴールが飛び出し、終わってみれば4点という大差で勝利。この結果、暁星の優勝は7年ぶり10度目となり、最多記録を更新した。
 なお、両校は関東大会も見事に勝ち抜き、関東代表として8月19日より愛媛県を中心に行なわれる全国大会に出場。暁星、二砂共に1回戦を突破しベスト16という結果を残した。

interview
私立暁星中学校 MF 5 山下恒聖

1点取ってからの流れが悪くて、正直焦りました。体力的にもきつかったし、相手はうまいし、中盤からパスをよく回してくるので、いつ失点してもおかしくなかった。そこを0点で守り切れて良かった。関東大会の目標は? もちろん優勝です。このチームならいけると思う。チームの中に統一意識があるのが強みです。
 

2006友好都市交流・ベルリン&東京
東京U-12ドイツ遠征


サッカー&文化の交流を深める

 8月4日、「2006友好都市交流・ベルリン&東京」に参加する東京都U|
12選抜のメンバー18名は、大勢の保護者に見送られる中でドイツ・ベルリンへと出発した。
 今遠征ではお互いの交流を深めるため5日、6日の2日間、選手はドイツの家庭にホームステイをして過ごした。最初のうちは「ドイツ語が分からない」という不安もあっただろう。しかし、異国の家庭の温かさに触れたことは、選手たちにとって一生の思い出になったようだ。
「ベルリンの友だちに『明日の試合、頑張ろうな』と言いました。勝っても負けても一生の友だちです。日本の家族も大事ですが、ドイツの家族もとても大事です。この思い出は絶対、忘れません」(山下由都)
 7日、8日は東京都選抜Ⅰ、Ⅱの2チームで、8人制の大会に参加した。会場は2006FIFAワールドカップでブラジル代表が練習会場として使用した場所である。この8人制サッカーは11人制よりもたくさんボールを触ることができるため、ドイツでは少年期に盛んに行われているそうだ。大会は参加10チームが2つのグループに分かれて行われた。
 大会後の9日は観光日に充てられ、ベルリンの壁、戦禍の残る教会、建物、ベルリン・オリンピック・スタジアム(2006FIFAドイツワールドカップの決勝会場)などを見学。在ドイツ日本大使館にも表敬訪問。観光の途中で選手たちはお土産も購入したが、やはりサッカーグッズが人気を集めていた。
 9日の夕方からホームステイ先の保護者を交えて交歓会(お別れパーティー)が催された。選手たちは催し物として踊り「八木節」を披露し、ドイツの選手へ伝授するなど心温まる光景もあり、保護者の皆さんも満足気だった。
 そして10日、ベルリン市サッカー協会の方々にも見送られながら帰国の途へ着いた。選手たちはもちろん、引率した指導者にとっても大変勉強となるドイツ遠征だった。
       選手団 団長 高山清(東京都少年サッカー連盟副委員長)

 

第25回 東京都専門学校春季大会 決勝
東京YMCA社会体育・保育専門学校 1-3 日本ウェルネススポーツ専門学校


圧倒的なスタミナ&フィジカル
ウェルネス、3年連続5度目V

 発足25周年を迎える専門学校連盟の春季大会決勝は、3年連続で東京YMCA社会体育・保育専門学校(以下YMCA)と日本ウェルネススポーツ専門学校(以下ウェルネス)のカードとなった。過去3年間の対戦成績ではウェルネスが2勝1敗でリードしており、YMCAは「打倒ウェルネス」を合言葉に日々の練習に励んできたという。
 先制点は“挑戦者”のYMCA。右サイド、横田昌佳のFKを今坂健太朗が敵と競り合いながら頭でコースを変えると、ボールはファーサイドネットに吸い込まれた。しかし35分、ウェルネスもFKから小野紳吾がダイビングヘッドを叩き込み、前半は1-1で終了した。
 後半のキックオフからわずか2分だった。ウェルネスの「2タッチで回して、マークをズラして、ゴール前を崩していく」(斉藤誠)という狙い通りのゴールが決まる。中央の高橋太樹が右サイドのスペースにパス、小野からの折り返しをペナルティエリア内で浴田貴寛がダイレクトで合わせて逆転に成功した。
 春季大会の通常の試合時間は35分ハーフだが、決勝のみ、全国大会と同じ45分ハーフで行われる。気温30度にも迫る炎天下でのプレーでYMCAは運動量が低下し、後半はスタミナで上回るウェルネスがゲームを有利に展開。その上、ウェルネスは70分までに交代枠5人を使い切るなど、フレッシュな選手を次々と投入して貪欲に追加点を狙いにいく姿勢を打ち出す。70分、途中出場の松水隆憲が個人技から決定的な3点目を奪い、ウェルネスが磐石の戦いぶりで3年連続優勝を達成した。
 しかし、斉藤キャプテンは「目標は全国優勝です。でも、まだまだ走れてないし、プレッシャーも掛けられていない」と優勝にも浮かれたところはない。この春季大会の優勝を皮切りに、「専門学校日本一」を目指して突き進んでいく。

interview
日本ウェルネススポーツ専門学校 MF 6 斉藤 誠

1点取ってからの流れが悪くて、正直焦りました。体力的にもきつかったし、相手はうまいし、中盤からパスをよく回してくるので、いつ失点してもおかしくなかった。そこを0点で守り切れて良かった。関東大会の目標は? もちろん優勝です。このチームならいけると思う。チームの中に統一意識があるのが強みです。
 


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