巻頭特別企画

(財)東京都サッカー協会の現状と課題
すべての面において、サッカーを広く普及させていきたい
(財)東京都サッカー協会会長 安田一男

 私ども、東京都サッカー協会がおもに行なっているのは、都内で開催される国際試合等の運営、たとえばJFAからオリンピックの試合を受託したり、FC東京と東京ヴェルディ1969に関連したJリーグチームの試合についても運営の協力をしています。具体的には、記録の作成、マッチコミッショナーの補助、マルチボールの対応、担架要員の提供等ですね。
 全日本フットサル選手権大会なども東京でずっとやっていますので、JFAが主催で、東京都サッカー協会は主管、つまり試合に関するグラウンドの運営を担っています。
 また組織を構成する委員会のひとつである技術委員会が、「東京トレセン」を担当しています。おもに17歳未満を対象に選抜し、選手のレベルアップを図る。より細かく目を配るために、東京を7地域に分けて各地域ごとにトレセンを行い、その中で優れた選手を東京トレセンに集めます。そのなかでもレベルの高い選手については関東トレセンに上げて、その先にJヴィレッジのナショナルトレセンが待っているわけです。
 選手だけでなく、もちろん指導者の育成も行なっています。C・D級指導者の養成や講習会、時には海外研修に派遣することもあります。毎年約800人のC・D級の指導者を新しく育成しています。協会として、今後も力を入れていく分野ですね。
 東京都の一番の問題は人口に対する体育施設の少なさです。建物は建てるけどグラウンドをつくらない。しかもグラウンドをつくったとしても、サッカーだけで使えるわけではない。環境が整わないかぎり、プレーする機会は訪れませんからね。
 各区市にもそれぞれにサッカー協会があるのですが、JFAに加盟すると登録費が高くなることもあり、現状では独自に運営している場合がある。もし区市がグラウンドを持っていても区市民に優先権が与えられ、広く都民が使える施設になりえないのです。この点からも、私たちは区市ともっと密な連携をとりたいと考えています。
 こうしたグラウンド問題を少しでも緩和させるために、東京都サッカー協会では去年から駒沢公園の第二と補助グラウンドに人工芝を張り、夜間照明を設置する計画を進めています。駒沢は都民にとって立地もいいし、照明があれば利用頻度も増える。また、補助グラウンドにはクラブハウスがなかったので、新たにつくろうとしています。これを契機に区市のグラウンドにも夜間照明をつけてもらえるとうれしいですね。平成25年には東京国体が控えていますので、それまでにグラウンドをできるだけ増やしていきたい。この問題は協会の力だけではどうしようもないんです。仮に土地を買ったとしても、税金の問題もあって維持するのが難しいですから。グラウンドについては今後、区市と連携しながら増やしていきたいですね。
 また、駒沢公園の整備を完成させて、トレセンも充実させたい。環境をよくすれば選手のモチベーションも上がるでしょう。あわせて、指導者の質を上げていくことが急務です。なにより、さまざまな問題を解決するためには、まずすべての面においてサッカーをもっと普及させることが大事だと、東京都サッカー協会としては考えています。