委員会インフォメーション


 委員会解体新書:技術委員会編
東京都から世界で通用する人材を輩出する

これまで委員会INFORMATIONでは技術・審判・フットサルの各委員会の活動を取り上げてきた。 今号から3回に渡り、各委員会の目的や活動概要、今後の課題など組織としてのあり方を掘り下げていく。 初回は、技術委員長・小泉氏に話を聞いた。


技術委員会の主な役割

 技術委員会の主な役割は①国体(選抜)チーム強化、②ユース育成、③指導者養成の3つです。この3本柱はそれぞれ独立しているのではなく、お互いに連動しています。優れた指導者の養成は、優れた選手の育成につながり、東京都のサッカーの強化に結びつきます。どこか一つが突出してもうまくはいきません。それでは、一つずつ、具体的にどんなことをしているのかをお話します。


① 国体(選抜)チーム強化

 東京都選抜が出場する国体(関東・全国)には、成年男子(18才以上)、女子(15才以上)、少年男子(16才以下)の3つのカテゴリーがあります。
 競技スポーツですので、もちろん勝ち負けは大事です。しかし、我々としてはそこだけにとらわれず、長期的なスパンで取り組んでいます。
 そのために重要視しているのが「フィードバック」です。国体などでの戦いを踏まえて、技術委員会のスタッフが分析や評価を行います。そこで課題を抽出して、その課題を克服するためのシナリオを作成して、強化方法を工夫して課題の克服に励みます。そして、また国体に臨むというサイクルです。
 昨年度は東京から全国大会に1チームも出場することができなかったので、何度も何度も検証を行いました。そこで話し合われたのはピッチの中よりもむしろ外のこと。「練習会の時間や曜日の設定」など練習環境の向上は、選抜チームにとっては非常に大事になってきます。
 選考方法については、成年男子はチームや選手の事情でベストの布陣を組むのは難しいですが、関東リーグ、東京都リーグから選んでいます。女子は日テレ・ベレーザの単独チーム参加もありますが、昨年、一昨年は大学生中心に構成しています。少年男子は関東トレセンリーグからピックアップする形を取っています。
 他県ではいわゆる「単独チーム」で参加するところも多いですが、東京都の場合はできるだけ複数チームで構成するようにしています。単独チームとして戦うのは実はいちばん簡単なんです。普段のチーム練習がそのまま選抜練習にもなるわけですし、コンビネーションも確立されているので実力的にも計算ができる。
 しかし、いろいろなチームから選ぶことによって、各選手がその経験をチームに持ち帰ってくれる。これは大きな意味での「育成」といえると思います。「単独チーム」よりも「選抜チーム」にしていることのメリットはそこにあります。


② ユース育成

 ユース育成のための活動としてはトレセンリーグ、東京トレセンの実施があります。
 活動をする上で大事にしているのが「プレーヤーズ・ファースト」ということ。つまり選手の目線に立った環境作りです。東京都では、U-15のトレセンリーグを一昨年からスタートしています。U-13カテゴリーでは地域トレセン(7地域)による交流大会も行っています。また、東京都選抜として関東U-16トレセンリーグにも参加しています。
 リーグ戦を増やすことによって、「勝った・負けた」の結果に一喜一憂するのではなく、MTM(マッチ・トレーニング・マッチ)というサイクルを作り上げるという狙いがあります。
 ただし、現在はユース年代の選手たちのスケジュールは非常にタイトになってきています。特に選抜や代表に選ばれるような優秀な選手については、「過密日程」といえるほどです。
 ですので、U-12、U-13・14、U-15・16の各カテゴリーで行っている東京トレセンではその時点での実力だけにとらわれず、「あいつは面白そうだな」「化けるかもしれない」という”原石“を意識的に選ぶようにしています。トレセンに選ばれることによって、その選手のレベルアップのきっかけになればと考えているのです。
 東京都として特別なスタイルのサッカーをやろう、というのはありませんが、技術委員会としては選抜チームの指導者のスタイルがコロコロと変わらないようにする、コンセンサス(共通認識)を取るようにしています。


③ 指導者養成

 ユース育成と指導者養成は密接にリンクしています。いい選手を育てるためには、いい指導者が必要不可欠だからです。
 東京都協会の主管で行っているJFA指導者養成事業は、JFA指導者養成講習会のC級・D級、JFAリフレッシュ研修会のA・B・C級、そしてキッズリーダーです。
 現在、東京都のJFA公認指導者の数はD級3900人、C級2200人、B級142人、A級42人、S級45人です。この数は全国的にも多いほうです。講習会に定員以上の申し込みが来ることも珍しくありません。
 指導者養成講習会ではさまざまなコースを用意しています。今夏に行われたC級では4泊5日でJヴィレッジに宿泊して、集中的に受講する短期型コースを行っていました。また、最近は「熱中症対策」が重要になっているので、大塚製薬さんにご協力をいただいて講義をしてもらうこともあります。
 リフレッシュ研修会の目的は、公認A・B・C級コーチを対象に「自身のコーチングを点検・レベルアップする」ことです。2004年度より4年に1度の資格更新にポイント制度が導入され、リフレッシュ研修会を受講することで更新に必要な40ポイントが付与されます。つまり、常に勉強しなさいということです(笑)。
 キッズリーダーについては、キッズ(U-6)及び(U-8・10)を対象にしたサッカーを含めた体を動かす「遊び」の正しい方法を教えるのが目的です。
 すでに資格を持っている人、これから資格を取る人には「東京のために」という気持ちを持ってもらいたいと思います。自分自身のチームのことだけでなく、もっと広い視野で東京のサッカーに貢献する人材を育ててきたいと考えています。

 


PROFILE


(財)東京都サッカー協会
技術委員会委員長
小泉 修