試合レポート


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 東京都社会人サッカー連盟
第第15回 埼玉県・東京都社会人サッカー連盟選抜交流試合
2007年1月21日(日) 東京都・駒沢陸上競技場
東京都、4年ぶりの勝利ならず

第15回埼玉県・東京都社会人サッカー連盟選抜交流試合が1月21日、東京都・駒沢陸上競技場で行われた。通算成績では4勝2分7敗と負け越している東京都。4年ぶりの勝利を目指して、埼玉県ゴールに迫ったものの0-2で敗れた。

 

東京都社会人の課題は
「決定力不足」

 リーグ選抜に先立って行われた、役員選抜による「前哨戦」は東京都が2-0で快勝。これで弾みをつけてリーグ選抜も4年ぶりの勝利といきたいところだったが……。
 15回目を迎える交流試合で東京都が埼玉県に勝利したのは、4年前の第11回大会までさかのぼる。過去3年の成績は0勝2分1敗、通算成績(第12回は降雪のため中止)でも4勝2分7敗と負けが先行している。
「ここ最近は勝っていないだけに、今回はどうしても勝ちたかった」(社会人連盟・杉山揚二委員長)。
 だが、東京都は前後半に1点ずつを許してしまい、またも勝利することはできなかった。
 今回のリーグ選抜16人は都1部リーグ優勝の日立ビルシステムから5人、3位のFC新宿から3人、5位の警視庁サッカー部から2人、全部で9チームから選出されている。
 埼玉県は県リーグ優勝の与野蹴魂会が7人、浦和レッズアマチュアから4人という、所属チームでのコンビネーションを重視したメンバー。
 前半は両者ががっぷり四つで組み合う展開となった。東京都は中盤の4人を起点として、埼玉DFの裏を岩田朗、安桂一郎の2トップがスピードを生かして突いていく。
 19分、東京都に最初の決定機が訪れる。スローインのボールを受けた清田哲也がアウトサイドでスルーパス、これをななめに走り込んだ岩田がGKの直前でシュートしようとするが、空振り。
 27分には左サイドからのFKを末本直太が直接狙うもGKに弾かれる。29分、31分にはMFの天野雅紀が立て続けチャンスに絡んだが、ゴールネットを揺らすことはできなかった。
 東京都は飯島幸嗣監督が「フィニッシュの精度をもっと上げないといけない」というように、シュートまでは持ち込むものの、ゴールという結果に結び付かない。
 いわゆる「決定力不足」は、社会人連盟・杉山委員長も「勝負弱い」と認めるように、東京都が抱えている大きな課題だといわざるをえない。

国体出場権獲得は「至上命題」

 昨年は8月の国民体育大会(国体)関東大会で1回戦敗退の憂き目に遭っている。2007年は国体の出場権獲得が「至上命題」になるだけに、決定力アップは重要なテーマとなるだろう。
 前半30分以降からは、ゲームの主導権を埼玉県に明け渡すことに。33分、左サイドからクロスを上げられ、相手FWのシュートを1度はGK寺地廉が弾くも、こぼれ球を谷大樹に押し込まれて先制点を献上する。
 東京都は後半24分、FWから右MFにポジションを移した岩田がドリブルで2人をかわしてシュートしたが、枠を捕えることはできず。
 その1分後、末本の右CKをファーサイドでフリーになった清田が右足で打ちに行くが、これは相手GKがファインセーブ。
 1点のビハインドのまま迎えた87分、カウンターから埼玉県・森田信之に追加点を決められて万事休す。
「後半になって運動量が落ちてきて下がってしまった」とは岩田。中盤が走り負けたことで後半はカウンターでも数的有利を作り出すことはできなかった。また、飯島監督が「差」として挙げたのが「埼玉の方が勝つ意欲が強い」ということ。選手全員が貪欲に勝利を目指せば「個人的にはこっちの方が上」(飯島監督)の東京都が何年間も勝てないということはなかったのではないだろうか。
 8月の国体関東大会に向けて、多くの課題を突き付けられた交流試合。この日の悔しさをバネにして、「成年男子」カテゴリーには国体出場権を獲得してもらいたい。

 
interview


東京都社会人リーグ選抜
監督
飯島 幸嗣

いいゲームができたと思うけど、シュートの精度はもっと上げないといけない。前半はシュートの場面を何度も作れていたので、そこは決めなければいけない。4年連続未勝利? チームのレベルそのものは変わらないと思うし、個人的にはこっちの方が上だと思う。埼玉の方が勝つ意欲が強かったのかもしれない。




 東京都高等学校体育連盟サッカー専門部
第85回 全国高校サッカー選手権大会
東京都からは久留米、暁星が出場した「第85回全国高校サッカー選手権大会」。2007年度に統合される久留米は3年生32名の部員で全国出場という快挙を達成。暁星も進学校としてサッカーと勉強を両立しながら全国のキップを勝ち取った。惜しくも両校とも1回戦で敗れたが、記憶に残る戦いを見せてくれた。
 
久留米高校(東京都A代表)
1回戦 久留米1-2作陽 得点者=(久)新宅龍 (作)桑元剛、桜内渚

現校名最後の年の晴れ舞台
敗北は新たな歴史の始まり

 統合によって来年度から東久留米総合高校に生まれ変わる久留米にとって、現校名では今大会が最後の全国大会出場となる。初戦の相手は「けが人がいるせいもあってベストチームではないけど一人ひとりが力を持った」(齋藤登監督)選手権常連校の岡山県代表・作陽だった。
 久留米は序盤こそ互角の勝負を演じたが、18分にCKからのこぼれ球を押し込まれて先制点を許すと試合の主導権は作陽へ。洗練された組織とテクニックを有する作陽の前にボールキープ率で劣った久留米だが、相手守備陣の隙を突いて小気味良いパスワークからシュートチャンスを捻出。30分にはFW野村啓介からのボールをFW新宅龍が狙う惜しいチャンスを作り出した。これで流れをつかむかに見えた久留米だったが直後の32分、自陣左サイドを突破されてそこからの折り返しを決められてしまう。
 前半で2点のビハインドを背負った久留米が意地を見せたのは後半開始から間もない45分のこと。前半から度々チャンスを作り出している野村がスローインを受けて右サイドを単独突破。野村が放った深い位置からのクロスに飛び込んだのは2トップの相棒・新宅だった。「都大会からやってきた粘りをここでも見せられた」(齋藤監督)得点によって久留米は1点差に迫る。しかし、あと1点が遠かった。相手に3点目を与えなかった守備陣は秀逸の出来だったが、後半のシュートは得点場面の1本のみ。これでは同点ゴールを望めるべくもなく、久留米は健闘しながらも1回戦負けとなった。
 それでも久留米にとっては決して悲観する内容ではなかった。前述の統合によって部員全員が3年生という異色のチームは、それを“チームワーク”という長所に変えて全国大会という晴れ舞台に勝ち上がったのだ。「最後の年に久留米という名前が、メディアの皆さんを通じて、全国に活字や言葉となって知れ渡ったことを幸せに思う」と齋藤監督が満足気な表情を見せたのも決して強がりではない。「いろいろな感動をもらった『久留米高校』という名前に一つ恩返しができたかなと思う」と齋藤監督は最後に述べたが、それは新たな歴史のスタート合図でもある。

 
暁星高校(東京都B代表)
1回戦 暁星0-2滝川第ニ 得点者=(滝)多田高行〈2〉

文武両道で選手権出場
全国に夢を与えた暁星

 試合終了後、暁星の林義規監督は試合前に立てたゲームプランを明かしてくれた。「相手に試合を支配されるだろうと思っていたので、守ることに特化して試合に臨みました」。06年度の高円宮杯を制した強豪・滝川第二と対峙する場合、それは極めて現実的な采配だった。
 前半は林監督の狙いが奏功した。滝川第二に対してボールサイドで積極的なプレスを敢行し、この試合のテーマである守備で一定の成果を収めた。それは一つの決定機も与えずに前半を無失点で終えたことが如実に示している。逆にカウンターから2年生FW風間荘志を中心に相手ゴールを脅かし、スタンドに詰めかけた大応援団を沸かす場面もあった。個人能力で上回る滝川第二に対し、暁星は組織的かつ粘り強い攻守で対抗したのである。
 だが、後半に入ると身体能力で上回る滝川第二の前に劣勢を強いられる。最初の失点は前半から再三苦しめられていたハイボールが原因となり、左サイドからのクロスに飛び込んだ相手MF多田にゴールを許す形となった。その後、立て続けに招いたピンチはGK阪口智哉の攻守と、シュートがポストを直撃する幸運によってなんとか1点差で終盤を迎えたが、75分に決定的ともいえる追加点を許して万事休す。暁星は13年ぶりの大舞台で奮闘したものの、強豪校にわずかに力及ばず1回戦で姿を消すこととなった。
 それでも林監督は敗れた選手たちに賛辞を送ることを惜しまなかった。「勉強も大事にするという方針はこれからも変えないつもりです。ウチみたいなチームが全国に出られるのは本当に稀なので全国の高校の励みになると思う。素晴らしい子どもたちだなと思います」と目元を潤ませながら現行スタイルを貫くことを宣言。また、主将のMF寺島尚彦は「暁星で最高のサッカー人生を送ることができたので、いつか暁星を強くするために指導者として帰ってきたい」と誓いを立てた。
 敗れはしたが、高校生活の大きなウェイトを占める「部活動」として賞賛されるべき姿勢を披露した暁星。だからこそ、それをより印象付けるために、暁星が来年以降も全国の舞台で躍動することを期待したい。




 東京都女子サッカー連盟
第2回 東京都女子ユース(U-14)研修大会
2007年2月12日(月・祝) 東京都・駒沢陸上競技場
“本番前”にそれぞれの収穫と課題
2月12日、東京都・駒沢第一球技場で第2回東京都女子ユース(U-14)研修大会の最終日が行われた。今大会の目的は春に開催される全日本女子ユース(U-15)選手権大会に向けて、新チームとしての実戦機会を増やそうというもの。そのため、5位以下の順位決定戦も行われている。
 
決勝
北区さくらガールズ 0-4 F.C.SFIDA世田谷A



前半22分、さくらガールズのGK木村彩がペナルティーエリア内でFW中村を倒してしまい1発退場。このPKを中村がしっかり決めてスフィーダが前半で2点差をつける。ハーフタイムに「最後まで自分たちのサッカーをやり続ける」ことを確認しあったスフィーダは、後半、10人の相手に対しても真面目にプレー。攻撃では2点を追加、守備では0点に抑えて大会2連覇を飾った。

 
3位決定戦
ESPERANZA・17多摩 0-4 フィオーレ武蔵野FC


豊富な選手層を誇るフィオーレが、前後半を通じて主導権を握った。縦に速いサッカーで前半からエスペランサを自陣に釘付けにすると、7分にFW小田部が先制点。後半、交代出場のFW二村が2度の決定機を冷静に決めれば、40分にはCKのこぼれ球を小田部が押し込み、この日2点目をゲット。疲れの見えるエスペランサから後半3点を奪って快勝した。
 
 ベスト4チーム監督インタビュー 
 
優勝 F.C.SFIDA世田谷A
設立:2001年 活動拠点:世田谷区 監督:川辺健一

東京都最大規模の女子クラブ

 私たちスフィーダはトップからU-18、U-15、ママさんチームまである、東京都最大規模の女子クラブだと自負しています。設立は2001年ですが、その頃は世田谷区に女子チームはなく、少女サッカーの指導をしていた私が、地域に根差した女子クラブを作るために設立しました。幸いにも現在はセレクションなどによって、世田谷区以外からも質の高い選手が集まってきてくれています。
 この大会には2チームで出場しています。昨年はA、Bのどちらも決勝まで勝ち上がり「スフィーダ対決」になりました。ただし、今大会は春の全日本女子ユース(U-15)選手権大会への前哨戦なので、勝つかどうかよりも、自分たちのサッカーができるかどうかの方が大事です。昨年は関東大会で敗れて全国大会に行けなかったので、今年は日本一を目指して頑張ります。
 
準優勝 北区さくらガールズ
設立:2001年 活動拠点:北区 監督:鈴木良彦

選手育成型クラブとして

 北区さくらガールズは設立6年目の女子クラブです。始めにできたカテゴリーはU―12(小学生)で、1期生の子供たちが卒業するにあたってU―15(中学生)を、そして今年度からU―18(高校生)をつくりました。もともと北区は少女サッカーが盛んで、北区内でも女子リーグも行われていたのですが、子供の減少によって活動が先細りになってきたため、東京都サッカー協会にチームとして登録して、東京都の大会に活動の場を移しています。
 私たちは選手育成型クラブを目指しています。北区サッカー協会とも連携して、東京北東地域の女子サッカーを盛り上げていきたいと思っています。また、さくらガールズのように小中高のカテゴリーがあるところはかなり少ないと思います。小さいうちからサッカーの楽しさを感じてもらい、高校、社会人とつなげていってほしいです。
 
3位 フィオーレ武蔵野FC
設立:1995年 活動拠点:武蔵野市 ヘッドコーチ:大沼哲郎

U-15女子の中心的存在

 フィオーレは今年で12年目を迎えます。当初は武蔵野市在住者のみのチームでしたが、現在は色々なところから選手が集まり、「全国大会出場」を目指して活動しています。現在の在籍人数は中学生が総勢で35人、高校生が4人、大学生も2名います。U-15以上の選手を中心に東京都女子リーグにも参加しています。現在の活動は週2回、土日の練習とナイター設備のある小学校を借りて平日に自主練習会です。
 12年前から比べると全体的に中学生のレベルは上がっています。特に2年前ぐらいからチーム数が増えてきて、選手の実力差はそんなになくなってきています。以前は強いチームと弱いチームにハッキリと分かれていましたから。2年前に全日本女子ユース(U-15)選手権大会の本大会に出場したので、今年も絶対に出ようとチーム一丸になっています。
 
4位 ESPERANZA・17多摩
設立:1992年 活動拠点:多摩市 監督:唐木田徹

“なでしこ”の先輩を目標に

 今大会にはエスペランサと17(セブンティーン)多摩の合同チームとして出場しました。メンバーの主体となっているエスペランサが出来たのは1992年、今から15年前です。私は小林弥生(日テレベレーザ、元なでしこジャパン)もプレーしていた多摩市選抜(エスポアール)の監督をしていたのですが、多摩市には小学校卒業後もサッカーをやりたいという女の子の受け皿が17多摩しかなかった。それが設立のきっかけで現在は中学生から社会人まで幅広い年齢層がチームでプレーしています。
 今大会では全日本女子ユース(U-15)選手権大会に向けてのチーム作りと、もう1つ、スフィーダ、フィオーレなどの強豪とどれぐらいやれるかというのがテーマでした。上位の3チームはどこもメンタル面が強いので、本番までに強化できればと思っています。





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