委員会インフォメーション


 審判委員会
サッカー2級研修会(兼資格更新講習会)
2月18日、東京都・国立競技場で2006年度サッカー2(S2)級審判研修会(兼更新講習会)が行われ、参加者は筆記テスト、講義、フィジカルテストなどに取り組んだ。今回からフィジカルテストが2006ドイツワールドカップの審判団にも実施された新方式に変更された。フィジカルテストのどこが新しくなったのかを、JFA審判チーフインストラクター・小幡真一郎氏に解説していただいた。


スタート地点はAとB。200メートルのうち、150メートル(赤矢印)
をダッシュしてから、50メートル(青矢印)をウォーキング

右上/40メートルを6秒4以内(女性は6秒8以内)で6本走るスピードテスト(インターバルは1分30秒)。
左上/持久力テストは150メートルを30秒以内(女性は35秒以内)に走る。
左 /50メートルを40秒以内(女性は45秒以内)に歩く。これを20セット繰り返す。


現代サッカーでは審判にもスピードが求められる

 これまでの2級審判員のフィジカルテストはクーパー走(12分間走)を規定の距離以上走るというものでした(男子33歳以下2800メートル・34歳以上2600メートル、女子33歳以下2300メートル・34歳以上2200メートル)。それが今回からスピードテストとして40メートルダッシュを6秒4以内(女性は6秒8以内)、1分30秒のインターバルで6本走る。持久力テストとして200メートルのうち150メートルを30秒以内(女性は35秒以内)に走り、50メートルを40秒以内(女性は45秒以内)に歩く。これを20セット行うという新方式になりました。
 なぜ変わったのかというと、現代サッカーではダイレクトプレーと呼ばれる、ゴールからゴールへと直結するプレーが増えていて、レフェリーにもよりスピードが求められるようになったからです。レフェリーもサッカーの変化についていかなくてはいけません。新フィジカルテストでは走る、止まるを繰り返すので、より試合中の動きに近くなり、審判としての適合性を見ることができます。
 従来のクーパー走の基準は、極端なことをいうと、体力に自信があれば70〜80%で走ってもクリアすることができました。しかし、新しい方式では短い距離を何本も走るので、トレーニングをしていないとクリアすることができません。普段のトレーニングがダイレクトに結果に表れます。先日のクラブワールドカップでもフィジカルテストをパスできず、帰国を余儀なくされた審判がいたほどですから。
 審判にとってスピード、持久力は正確な判定をするために必要不可欠なもの。どんなにプレーを見極める目があったとしても、プレーが起こっている場所から遠く離れていては説得力がありません。いい判定をするためには、いいポジションを取るためのフィジカルが必要になります。 審判の皆さんにはゲームで生かすための基礎体力作りに取り組んでいただきたいと思っています。

ステップアップのためにはまず足元を固めて欲しい

 現在、日本では世界のサッカーをテレビで簡単に観ることができます。これだけ情報量が増えている中で、審判にとって大事になるのは、根本的なところを一つひとつしっかり抑えるということです。
 スペインの審判がこうしていたから、イタリアの審判がこうしていたから、というのを安易に取り入れても、ゲームのレベルもスピードも異なるので、実際にはうまくいかないことも多い。どうしても審判としてのテクニックに目がいきがちですが、まず、「サッカーという競技がどういうものなのか」を再確認するべきだと思います。
 最もわかりやすい例としては、アドバンテージが挙げられるでしょう。例えばドリブルで持ち込んでいた選手がファウルで倒されたけど、ボールは味方につながってシュートチャンスになりそう、という場面。そこでファウルの見極めだけに頭がいきすぎていると、プレーを止めてしまい、選手にストレスを与えることになってしまう。
「いい判定」というのは決してファウルをとることだけではありません。ゲームの次の展開を予測する力、選手の心理を読む力なども大事になります。
 今後、審判トレセンなどで一緒にやらせていただきますが、東京都の審判は全国的にもレベルが高いと感じます。だからこそ、審判としての足元を固めることが、これからのステップアップにつながるはずです。


(財)日本サッカー協会
審判チーフインストラクター
小幡真一郎

1952年7月21日、京都府京都市生まれ。93年Jリーグ開幕戦などの主審を務める。2002年よりJFA審判インスペクター、JFA審判インストラクターを歴任。04年1月よりJFAカレッジマスター、05年12月より現職
 

 2006年度昇級者インタビュー
 S2級研修会(兼資格更新講習会)が行われたこの日、あわせて2006年度のS2級昇級者13名(2名欠席)が紹介された。その中から3人にS2級審判員としての意気込みを聞いた。

金田 康秀
審判の資格を取ったのは大学2年生です。大学でもサッカーをしていましたが、将来的に何かしらの形でサッカーに関わりたいと思い、審判に興味を持ちました。自分にとってベストなレフェリングはプレーヤーが納得できることです。選手の年齢に近いこともあるので、プレーヤーの気持ちを汲み取れるように心掛けています。まだまだ未熟な部分が多々ありますが、2級としての自信を持って、上を目指したいです。

桜井 芳江
自分自身がサッカーをしていたので、チームの帯同審判員として資格を取ったのが審判を始めるキッカケです。そして、子どもが所属するチームのコーチから『持っているなら』と声を掛けていただき、地元の八王子市の少年大会でも審判をすることになりました。八王子市には女性審判員は皆無でしたが、東京都の大会では女性の試合を女性が笛を吹くのは当たり前。これからの目標は、1度でいいので『なでしこリーグ』の副審をすることです。

坂本  琢
審判を本格的に志すようになったのは、2002年の日韓ワールドカップのとき。決勝の主審を務めたピエルルイジ・コリーナさんの素晴らしいレフェリングに感銘を受けてからです。自分の出来不出来の目安は、試合終了後の選手の表情です。勝敗に関わらず選手がスッキリとした表情で握手をしてくれたときは嬉しいです。今は2級のワッペンの重みと責任を感じていますが、これからふさわしいレフェリーになれるようにがんばりたいです。