広報誌

Vol.25 2016年9月発行

東京都サッカー協会70周年記念事業

東京都女子海外トレーニングキャンプU-16・U-14 ドイツ遠征

活動報告 サッカー漬けの充実した日々を過ごす

 2016年夏、東京都サッカー協会女子海外トレーニングキャンプ(U-16・U-14)という一大事業が行われた。杉山揚二東京都サッカー協会副会長を団長に、桑津昇太郎女子連盟委員長、監督、コーチ、審判、トレーナー、選手総勢45名がドイツへ派遣された。
 遠征は波乱の幕開けとなる。出発予定日の8月22日、大型台風9号の影響で飛行機が欠航となってしまったのだ。困惑と不安の中、役員、参加選手、また家族が協力しあい、翌日に予定の羽田空港を成田空港に変更し、何とか全員が無事に出発することができた。しかし出発が一日遅れたことにより、予定された初戦のSGSエッセンとの試合は残念ながら中止せざるをえなかった。ただ、イレギュラーな判断と対応は役員陣にとっても良い経験となった。
 ドイツ滞在中は天気にも恵まれ、試合、クリニック、試合観戦とまさにサッカー漬けの充実した日々となった。度重なる移動や慣れない食事と環境といった試練も含めて、全てが貴重な経験となったことだろう。
 また、選手たちは各自小さな"日本のおみやげ"を持参し、親善試合の相手チーム選手との異文化交流にもチャレンジ。サッカー選手としてだけでなく、多感な10代の学生としても大きな刺激を受けたに違いない。

実施にあたって 女子サッカーの発展のために

 この事業は、昨年度の東京FA女子活性化プロジェクトの中で、女子連盟から将来の女子サッカーのためにぜひ海外遠征を実施したいという意向を受け、東京FAの創設70周年記念事業として実施を決めたものです。
 そのため、できるだけ多くのチームから選手を選考し、指導者も帯同審判も女性の方で構成し、大いに研修してもらおうと考えました。
 場所の選定にあたっては、1964年の東京オリンピックに向けた強化のために日本代表チームが合宿したデュイスブルクのスポーツシューレを選び、Jヴィレッジなどの原点となった環境を体験してほしいと思いました。
 また選手の年齢構成や実施時期についてはドイツ国内の事情に合わせて設定しました。このトレーニングキャンプに参加した選手たちが何かしら掛け替えのないものを感じ、これからの女子サッカーの発展のために活躍してほしいと願っています。

東京都サッカー協会会長/上野二三一

東京都女子海外トレーニングキャンプ U-16・U-14 ドイツ遠征

選手たちの行動は素晴らしかった

選手はもちろん参加したスタッフにとっても貴重な経験となった選手はもちろん参加したスタッフにとっても貴重な経験となった

 ドイツでは、親善試合3試合と現地コーチによるトレーニングを遠距離移動、不規則な時間(夜遅くの食事)などでコンディションを損ないかねない環境の中、参加選手は、しっかりとした規律正しい行動で毎日を過ごすことができた。選手たちの行動は、大変素晴らしいものがありました。
 親善試合では、慣れないドイツ選手が相手だったが、ボールに対する執着心、相手選手に必死に食い下がる姿勢など日に日に成長が見られた。
 技術はすぐにはうまくならないが、試合の中でいかにして相手に勝つか、立ち向かうかは、試合の結果より大切であり、選手の成長という面では大変有意義なキャンプであったと思っている。
 今後も、東京都の女子サッカーにこのような機会が増え、東京都の女子サッカーのレベルアップにつながることを期待します。
 最後に今回の海外キャンプ実現にご尽力いただいた女子連盟に感謝申し上げます。

団長/東京都サッカー協会副会長/杉山揚二

毎日の試合で成長を感じられた

 東京都サッカー協会女子連盟としての初めての海外キャンプ、8日間のドイツ遠征は、参加選手のみならず、監督、コーチ、審判員、トレーナーなどスタッフも貴重な体験を得ることができました。
 今回の遠征に参加したのは、これからの東京都における女子サッカーのさらなる発展を担う選手たちです。スタッフ、各チームの監督・コーチ、そして審判員、トレーナーも女性の方で構成されました。
 現地での元ドイツ女子代表選手、インカ・グリングスさん(MSVデュイスブルク監督)からのトレーニング指導は大きな刺激を与えられました。また、1FFCフランクルト、ボルシア・メンヘングラッドバッハ、バイヤー・レバークーゼンとの国際交流マッチ、同世代の海外のトップレベルに位置する女子サッカー選手との交流も大変貴重な体験でした。試合を重ねるたびに、選手の成長がうかがえました。
 U-14、U-16という多感な、感受性の強い年代の選手にとって、今回の海外キャンプは必ずや将来のかけがえのない大きな宝物になるものと確信いたします。選手たちは夢を新たにし、自己の持つ無限の可能性に挑戦してくれることと期待しています。
 私も地元のノルトライン・ヴェストファーレン州のサッカー協会のスタッフの方、地元でのスポーツクラブの指導者の方との懇親を持ち、情報交換をすることができました。今回初めての海外キャンプの経験を、次代の選手たちにもとの夢の実現に向けて、今回の体験を生かしてまいりたいと考えます。
 最後に、このような貴重な体験の機会を与えていただきました東京都サッカー協会、関係の皆様に厚く御礼・感謝申し上げます。

女子連盟委員長/桑津昇太郎

日本人の速さが武器になる

 サッカー文化の根付いた国での8日間は、選手・指導者ともに非常に刺激ある日々だった。中でも、親善試合で3試合全てに勝利できたのは、大きな自信となった。
 はじめはドイツ人の大きなストライド、速いパススピード、球際の迫力に圧倒され、思うように力を出せず苦戦したが、選手たちは試合を重ねるたびに対応力を発揮し、連動した守備からボールを奪い、多くの選手がボールへかかわり得点を重ねることができた。
 「大きくて強くて速い」というヨーロッパのイメージは、今回の遠征を通してより具体的になり、日本人の"速さ"が武器になることも実感できた。ドイツにあって日本にないものはなにか、逆に日本にしかないストロングポイントは何か、というテーマをそれぞれの立場で考え、今後のサッカー現場に還元していかなければいけないと思う。
 選考から半年間という短期間であったが、選手たちは異国の地での共同生活でお互いを認め合い、共鳴し合えるチームになり、また個人としても自信や力をつけたように感じる。

U-14監督/武末彩子

日本人の速さが武器になる

U-14
PosNo.名前所属
1GK樋口 芽依スフィーダ世田谷FCユース
2DF木村 深芳17多摩サッカークラブ
3DF/MF脇 美音子修徳中学高校女子サッカー部
4DF金子 麻希音INAC多摩川レオネッサUー18
5MF早川 千尋FC Belta
6MF佐瀬  実日テレ・メニーナ・セリアス
7MF/FW遠藤 咲良フィオーレ武蔵野フットボールクラブ
8MF間  彩祐スフィーダ世田谷FCユース
9FW久保 朱里スフィーダ世田谷FCユース
10MF谷島 利実INAC多摩川レオネッサUー18
11MF/FW奥秋  舞文京学院大学女子中学校
12GK河原 茉由INAC多摩川レオネッサUー18
13FW南平 結依欅スポーツクラブ女子サッカー部
14MF/FW木暮 若葉FRIENDLYレディース
15MF/FW小樋いちごFC駒沢女子
16MF東  樹奈FC町田ボニータ
17MF中村 清夏Feliz FC

チーム戦術の大切さを痛感させられた

 女子海外トレーニングキャンプを無事に終え、女子選手を女性指導者だけで引率するという初の試みを成功させることができて本当に良かったと思っている。
 今回参加したU-14、U-16の選手は女子サッカーの次世代を担っていくことになる。海外の選手と対戦する中で成長し、なでしこジャパンを目指しながら日本でも成長し続けてほしいと願うと同時に、今回ドイツ人指導者から学んだことやドイツのチームと対戦する中で感じたことを、今後の女子サッカー界に還元していきたい。
 今回の成果としては、海外の選手のフィジカルの強さを体感できたこと、試合を重ねるごとに選手一人ひとりが成長し、自分よりも体格の大きい選手にチャレンジする意識が高まったことだ。
 親善試合の結果が示すように、U-14までは勝てるのに、U-16になると勝てなくなるのはなぜなのか。課題はたくさんある。特にチーム戦術の大切さを痛感し、この2年間のトレーニングの差を埋めていくためにも自分自身の指導力も高めていけたらと感じた。

U-16監督/阿部麻美

チーム戦術の大切さを痛感させられた

U-16
PosNo.名前所属
1GK元久すみれ修徳中学高校女子サッカー部
2DF岩田 莉奈東京都立東久留米総合高等学校
3DF野口 由姫十文字高等学校
4MF/FW加藤 水生東京都立晴海総合高校女子サッカー部
5MF宇田川奈那文京学院大学女子高等学校
6MF福田 梨乃十文字高等学校
7DF/MF内藤花菜子東京都立飛鳥高等学校
8MF大垣 茉優十文字高等学校
9FW飯田 若奈東京都立飛鳥高等学校
10MF茂木恵琉奈スフィーダ世田谷FCユース
11FW萩原 希実府ロクレディース
12GK八木 芙有FC町田ボニータ
13FW相馬 優衣東京都立東久留米総合高等学校
14DF/MF佐藤 莉子東京都立飛鳥高等学校
15DF/FW野口ひかり17多摩サッカークラブ
16DF/MF深見 菜月東京都立晴海総合高校女子サッカー部
17DF/MF秋間 柚香17多摩サッカークラブ