広報誌

Vol.24 2016年3月発行

第94回全国高校サッカー選手権大会 東京都大会 決勝/東京都・味の素フィールド西が丘 2015年11月14日(土) 80分(延長20分、PK戦) / 主 催:(公財)東京都サッカー協会、東京都高等学校体育連盟、日本テレビ㈱ / 主 管: 東京都高等学校体育連盟サッカー専門部

全国高校サッカー選手権の切符をかけた東京都大会の決勝が11月14日に行われ、駒澤大学高校が5年ぶり2回目、國學院久我山が3年連続7回目の全国出場を果たした。

駒澤大高、國學院久我山が全国大会へ

走力を武器に勝利をつかむ

第94回全国高校サッカー選手権大会 東京都大会 決勝 写真1

 Aブロック決勝は、駒澤大学高校と堀越高校の一戦となった。駒澤大高は、U-18東京都1部リーグ2位の東久留米総合高校を、堀越は同リーグ1位で夏の全国高校総体ベスト4の関東第一高校をそれぞれ破ってたどり着いた舞台。
 11月14日、味の素フィールド西が丘には細かい雨が降り注いでいたが、スタンドは、両校を応援する観衆で埋め尽くされた。
 鋭い立ち上がりを見せたのは、駒澤大高だった。前半14分、敵陣でこぼれ球を拾ったDF高橋勇夢のクロスをMF竹上有祥がシュート。この場面は堀越GKに防がれたが、野本克啓の左コーナーキックから、高橋が頭で合わせて先制に成功した。堀越にチャンスが訪れたのは前半終了間際。ゴール前でこぼれ球を拾ったFW照井基也がフリーで抜け出したが、シュートは右ポストに嫌われた。堀越は、関東第一戦で直接フリーキックを決めた副主将のDF東岡信幸が累積警告で欠場と苦しい戦力事情の中、堅守から好機をうかがった。

第94回全国高校サッカー選手権大会 東京都大会 決勝 写真25年ぶり2回目の全国出場となった駒澤大高。
チームの持ち味は攻守両面のハードワーク

 後半に入ると、駒澤大高は積極的な選手交代で運動量を上げて追加点を狙った。試合終了間際、駒澤大高は途中出場の岩田光一朗が追加点。2-0で駒澤大高が勝利を収めた。
 駒澤大高は、夏の高校総体予選に敗れた後、一気に下級生主体のチームに切り替わった。この試合も3年生の先発メンバーは4人のみ。しかし、2得点とも2年生が挙げるなど、下級生が大会を通して頼れる戦力へと成長。5年ぶり2回目の全国大会出場に大きく貢献した。
 全国大会の開幕戦に登場した駒澤大高は、阪南大高校に勝利して1回戦を突破、2回戦で尚志高校、3回戦で松山工業高校を下してベスト8まで勝ち進んだ。

駒澤大学高校 / DF2 高橋勇夢

 少ないチャンスからゴールできて良かったです。ヘディングは中学時代から時間をかけて練習していたので、努力の成果が出たと思います。下級生が多いので、2年生でもリーダーシップを持つように心がけています。

第94回全国高校サッカー選手権大会 東京都大会 決勝 写真3

一進一退の攻防はPK戦での決着へ

第94回全国高校サッカー選手権大会 東京都大会 決勝 写真4

 Bブロック決勝は、3年連続の全国出場を狙う國學院久我山と名門復活を目指す帝京の顔合わせとなった。國學院久我山は、前年度まで指揮を執っていた李済華監督がJ3・FC琉球のGMに就任し、今季はコーチから昇格した清水恭孝・新監督の下で歩みを進めてきた。
 一方の帝京は、戦後最多タイ6度の優勝を誇る、言わずと知れた名門。近年は全国大会から遠ざかっているが、昨年度から日比威監督が就任し、新体制で浮上。5大会ぶりに都予選の決勝に駒を進めた。
 試合は、互いに一歩も譲らない激戦だった。國學院久我山が先に主導権を握り、前半11分に右サイドから攻め込んでMF鈴木遥太郎がフリーでシュート。前半27分には、MF名倉巧が的確なターンで前へ運び、フェイントで相手をかわしてゴール右隅へシュートと好機を作り出していった。一方の帝京は、右ウイング長倉昂哉のドリブルなどで反撃を狙ったが、ゴールが遠かった。

第94回全国高校サッカー選手権大会 東京都大会 決勝 写真5李前監督の退任後、コーチから昇格した清水監督の下で
全国出場を果たした國學院久我山

 一進一退の戦いは80分、そして20分の延長戦でも勝負がつかず、決着はPK戦に委ねられた。共に1番手が失敗する波乱の出だしとなったが、その後は両チームとも外さず、サドンデスに突入。7番手で先攻の國學院久我山がキックを成功させたのに対し、後攻の帝京は大庭健人が蹴ったボールがクロスバーを越えて失敗。勝利の女神がどちらに微笑んでもおかしくない接戦だったが、PK戦6-5で制した國學院久我山が都予選3連覇で全国大会の出場権を手中に収めた。
 迎えた全国大会では、國學院久我山は東京都代表として17年ぶりの決勝進出を果たした。東福岡との決勝は0-5で敗れたものの、準優勝という結果を残した。

國學院久我山高校 / DF5 宮原直央

 前半は自分たちのペースでしたが、後半は押し込まれる展開が増えてしまいました。攻撃中も守備の準備ができるバランスの良さが今年の強み。PK戦も最後までみんなが自信を持って蹴れて良かったと思います。

第94回全国高校サッカー選手権大会 東京都大会 決勝 写真6

平成27年度ゆりーとカップ 東京都地域選抜トレセン U-13 交流大会/清瀬市内山運動公園/清瀬市下宿第三運動公園、駒沢オリンピック公園総合運動場/補助競技場 / 2015年12月20日(日)、23日(水) 1・2次ラウンド 30分1本 / 3次ラウンド 50分(25分ハーフ) / 主 催:(公財)東京都サッカー協会/ 技術委員会

U-13 世代に「刺激」を与える

平成27年度ゆりーとカップ 東京都地域選抜トレセン U-13 交流大会 写真1

東京都の選手・指導者の交流と、優秀な選手の発掘・育成を目的とした「ゆりーとカップ 東京都地域選抜トレセンU-13交流大会」が開催された。この大会で得られた収穫と、改善すべき課題とは。

優秀な選手を発掘する

 12月20、23日、「ゆりーとカップ東京都地域トレセンU-13交流大会」が開かれた。
 東京都内7つの地域では、優秀な選手の発掘と育成のために、各地域のチームから集まった選手たちのトレーニングが定期的に行われている。この地域トレセンの中から選ばれた選手が参加するのが「東京トレセン」である。東京トレセンのメンバーに、U-15年代からJクラブのユースでプレーする選手が加わって、国体少年男子(16歳以下)の東京都選抜チームが編成される。
 今年度の交流大会には各地域トレセンに加えて、招待チームとしてFC東京U-15むさし、FC東京U-15深川、東京ヴェルディJY、三菱養和SC巣鴨JY、中体連選抜を加えて、計12チームが参加した。東京都U-13チーフを務める安岡博文氏によれば、この大会には大きな目的があるという。
 「一番の目的は新しい選手の発掘です。東京トレセンU-13の選考会というのは春に行われるのですが、そこには各地域トレセンから推薦された選手が上がってきます。ただ、その時点では推薦されなくて漏れていた選手でも、この1年で大きく伸びていることがある。そういった選手を発掘してU-14年代につなげていくという狙いがあります」
 安岡氏の言葉通り、大会中は東京トレセンU-13のスタッフが全試合をチェック。どこの地域にどのような選手がいるのか、情報交換を行っていた。
 「私たちが重点的に目を光らせて観ていたのはディフェンスのできる選手です。小学校まではテクニックのある選手が目立つので、春の交流会に上がってくるのも攻撃面で目立つ選手が多い。ディフェンス面が良くてもそういう選手は埋もれやすいんです。目立たないけれどもディフェンスがしっかりできる選手を引き上げられればと思っています」

変則的なレギュレーション

 今大会は1日目に12チームが4グループに分かれての1回戦総当たり戦で、各グループの順位を決定。2次ラウンドは1次ラウンドの結果に応じて再び12チームを4グループに分けて総当たり戦を行う。2日目には2次ラウンドの各グループの同一順位チームによる順位決定戦という3次ラウンド方式で行われた。
 1日目は8人制の30分1本、2日目は11人制の50分(25分ハーフ)で行われ、1・2次ラウンドでは各チームが「α(アルファ)」とβ(ベータ)の2チームに分かれ、8対8を2面(全面の半分のサイズ)で行い、15分ごとに対戦を交代し、合計点で勝敗を決める。
 このような"実験的"な大会方式を採用した意図を、安岡氏が説明する。

平成27年度ゆりーとカップ 東京都地域選抜トレセン U-13 交流大会 写真2

 「個々の選手のパフォーマンスをしっかりと見るためにはどうすればいいかということを話し合いました。まずプレー人数ですが、中学1年生(U-13)というのは8人制から11人制への移行期です。全面ピッチでの11人制を行った場合、ピッチが広すぎてプレッシャーが甘くなってしまう。本来は90×60メートルぐらいにして11対11が良いかなと思ったのですが、人工芝でラインが引けないということもあって、8人制に1回戻してやってみようと。1・2次ラウンドで2チームに分けて試合をしたのは、出場時間の偏りをなくして、たくさんの選手のプレーを見るという目的があります」
 賛否両論もあったというが、今大会で見られた現象や、地域トレセンの指導者からの意見などもフィードバックして、来年以降につなげていくという。
 安岡氏は今大会のパフォーマンスにどのような印象を持ったのだろうか。

平成27年度ゆりーとカップ 東京都地域選抜トレセン U-13 交流大会 写真3

 「もっともっと貪欲にプレーするところが見たかったなというのが正直な感想です。ディフェンスがゴール前で簡単にシュートを打たせてしまったり、プレッシャーが十分にかけられず簡単にパスを回させてしまったりする場面が多かった。そこは技術委員会としても課題としてとらえて、今後のトレセン活動に活かしていきたいと思います」

最 終 結 果
優勝FC東京U-15むさし
準優勝FC東京U-15深川
第3位東京ヴェルディJY
第4位三菱養和SC巣鴨JY
第5位第3地域トレセン
第6位第6地域トレセン
第7位第7地域トレセン
第8位第4地域トレセン
第9位第2地域トレセン、第5地域トレセン
第11位第1地域トレセン、中体連選抜
※9/10位、11/12決定戦は引き分けのため同順位