広報誌

Vol.23 2015年9月発行

第70回国民体育大会 関東ブロック大会/埼玉県・浦和駒場スタジアム、埼玉スタジアム2002、熊谷スポーツ文化公園陸上競技場 他 8月15日〜17日(70分)

第70回国民体育大会 関東ブロック大会 写真1

埼玉県で開催された「第70回国民体育大会関東ブロック大会」。東京都は全カテゴリーで9月下旬から和歌山で行われる本大会出場を果たした。全カテゴリー出場は2013年の東京国体を除けば2005年以来のこと。

第70回国民体育大会 関東ブロック大会 写真2

9人になった初戦を乗り越えて

第70回国民体育大会 関東ブロック大会 写真2

 前年度、本大会出場を逃した成年男子は、エリースFC東京から熊谷寛を新監督に迎えてチーム作りを行ってきた。だが、初戦の神奈川戦で逆風に見舞われてしまう。
 41分に朴世訓、72分に佐々木陸と2人が退場し、9人での戦いを強いられたのだ。それでも「8人でもコンパクトにブロックを作れば守れる自信はあった」(熊谷監督)と東京は11人の神奈川の攻撃をチーム全員で防ぎ、前後半、延長戦でもゴールを許さず、PK戦に持ち込んだ。東京都はPK戦の直前にGKを「PKになったら行くぞと言っていた」(熊谷監督)明治学院大学の小林拓矢にスイッチ。この小林がPK戦で2本を止めて、5-3で勝利。9人になりながらも初戦を突破した。
 前日の試合で退場処分を受けた朴、佐々木を欠いた群馬戦は0-3で敗れ、茨城県との第3代表決定戦に回った。本大会出場の最後の一枠をかけた戦いが、熊谷スポーツ文化公園陸上競技場で行われた。
 出場停止から復帰した朴、佐々木がスタメンに戻った東京は、前半から2人が積極的にゴールを狙っていった。前半のアディショナルタイムにはDF小島暢明のフリーキックがバーに当たって得点はならず、スコアレスで折り返す。
 待望のゴールが生まれたのは52分。決めたのは「初戦で退場してチームに迷惑をかけてしまった。その分、強い気持ちで臨んだ」という佐々木だった。右サイドの小松聖音のパスをきっかけに山本恭平と佐々木がワンツー。一度は相手に引っかかったものの、こぼれ球を佐々木が思い切り良く左足を振り抜いた。東京にとって今大会初ゴールは、本大会出場を決める貴重な1発になった。
 2年前の東京国体では粘り強い戦いで強敵を次々に撃破して準優勝という結果を残し、サッカー競技の総合優勝に大きく貢献した成年男子。社会人リーグを中心に精鋭が集まったチームが、和歌山の舞台でも大暴れしてくれることを期待したい。

I N T E R V I E W

成年男子 / 監督 熊谷 寛

成年男子 / 監督 熊谷 寛 写真

 本大会出場を決めることができてほっとしています。チームとして、試合を重ねるごとにまとまっていった。初戦で2人も退場者を出すなどの厳しい経験をしたことを、さらなる成長につなげて、和歌山に向かっていきたいと思います。

監督・・・熊谷 寛 / エリースFC 東京
PosNo.氏名所属チーム
GK1小林 拓矢明治学院大学
DF2園田慎一郎エリースFC東京
MF3小島 暢明日立ビルシステム
DF4安藤  謙エリースFC東京
DF5金  秀奎FC KOREA
MF6小松 聖東京海上日動火災保険
DF7加藤 正樹エリースFC東京
FW8藤波 大登日立ビルシステム
FW9山本 恭平東京23FC
MF10朴  世訓FC KOREA
MF11佐々木 陸早稲田ユナイテッド
GK12康  成宇FC KOREA
FW13和田 勇樹明治大学
FW14田村  聡東京23FC
MF15川田 悠介LB-BRB TOKYO
DF16黄  永宗FC KOREA

劇的な勝利で本大会の切符をつかむ

第70回国民体育大会 関東ブロック大会 写真3

 昨年、全国大会で3位になった女子。今年度のチームを任されたのは慶應義塾体育会ソッカー部女子の岩崎陸監督。岩崎監督は「今年はもう完成された選手というよりも、この先の伸び代があって、この舞台で成長できる選手を選んだ」と若い選手で2年連続の本大会出場を目指した。
 「相手との力関係は五分五分かなと思っていた」(岩崎監督)初戦の茨城戦。前半から優勢に試合を運ぶものの、ゴールが決まらず、延長戦に突入した。勝負が決まったのは77分、海老澤がペナルティエリア内の混戦から放ったシュートが決まって、1-0で勝利した。
 2回戦の相手は昨年のなでしこリーグ王者・浦和レッズレディースとユースの選手で構成された埼玉。全国大会でも優勝候補となるチームとの試合では、立ち上がりから5分、13分、16分、19分と4連続失点を喫した。その後も前半は浦和の息の合ったボール回しに振り回され、全く良いところが出せず。0-4で大敗した東京は翌日、最後の切符をかけて山梨県との試合に臨むことになった。
 「埼玉戦は何もできなくて悔しかったので、悔しさを吹き飛ばそうと思っていた」という今井裕里奈を中心に、ミドルレンジから積極的にシュートを放っていった。守備でもDFラインを高く保ち、コンパクトにしながらプレスをかけ続ける。だが、ゴールネットを揺らすことはできず、スコアレスのまま試合は推移していく。
 延長戦突入かと思われた69分、東京にゴールが生まれる。左サイドバック・宮田あずさからのライナー性のパスを、右から市川実季が折り返す。これを佐藤美月がシュート、ボールは相手に当たったが、こぼれ球を藤原加奈が押し込んだ。その直後にタイムアップの笛が鳴った。
 「やっぱり、昨年の3位があるので、そこをまず目指す。そこは選手、スタッフが変わっても、東京として目指さないといけないスタンダードという認識です」(岩崎監督)。3位を越えた先には、昨年果たせなかった日本一がある。

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女子 / MF 今井 裕里奈

女子 / MF 今井 裕里奈 写真

 普段は浦和レッズレディースのユースでプレーしています。埼玉戦では所属チームの仲間と戦って、倒したいと思っていました。何もできずに完敗して、すごく悔しかったので、その気持ちを今日の試合(山梨戦)にぶつけました。

監督・・・岩崎 陸 / 慶應義塾大学
PosNo.氏名所属チーム
GK1鈴木佐和子浦和レッドダイヤモンズレディースユース
DF2村岡 真実都立飛鳥高等学校
DF3工藤 真子日テレ・メニーナ
DF4井久保茉桜東京女子体育大学
DF5市川 実季日本体育大学
MF6小橋えりか日本体育大学
MF7藤原 加奈都立飛鳥高等学校
MF8海老澤桃子日本体育大学
MF9有田 佳奈都立飛鳥高等学校
MF10今井裕里奈浦和レッドダイヤモンズレディースユース
FW11佐藤 美月日本体育大学
GK12木村みなみスフィーダ世田谷FC ユース
DF13田中 康子慶應義塾大学
DF14本多 彩夏日テレ・メニーナ
MF15傍田 捷子慶應義塾大学
DF16宮田あずさ慶應義塾大学

もう一度日本一へ

第70回国民体育大会 関東ブロック大会 写真4

 2013年に開催された東京国体で見事日本一になった少年男子。だが、ディフェンディングチャンピオンとして臨んだ昨年は、関東ブロック大会で初戦敗退という悔しさを味わった。
 「子供たちには頂点を目指していくということをずっと言ってきた」(坂井千明監督)。日本一に返り咲くためには、まずは関東ブロック大会で本大会の出場権をつかむ必要がある。関東U-16リーグでBブロック1位になった東京は、Aブロック2位の神奈川と、「勝てばストレートに本大会」という状況で初戦を迎えた。
 東京は前半から共にFC東京U-18に所属する品田愛斗と小林真鷹のダブルボランチを起点に攻撃を仕掛けていく。3分には吉田和拓がクロスバー直撃のシュートを打つなど幸先良いスタートを切った。しかし、何度かあった決定的チャンスを決められない。前後半、延長でもゴールが生まれず、勝敗はPK戦に。ここでも両者譲らず13人目までもつれ込んだが、最終的には11-10で神奈川に軍配が上がった。
 一夜明け、千葉と全国へ最後の切符をかけて戦った東京。前線から連動した守備で相手にプレッシャーをかけ、奪ったボールをサイドやDFラインの裏へ素早くつなぎゴールを目指す。後半は東京のプレスをうまくかわし序盤から千葉がゴールに迫るがセンターバックの篠原新汰、知久航介を中心に落ち着いて対応を見せゴールを許さない。
 そして迎えた46分、前半から献身的にボールを追いかけていた吉田が千葉DFからボールを奪い、ドルブルで追いかけるDFを振り切り、右足で落ち着いてゴールへ流し込み先制点をゲット。その後もハードワークで最後まで守備に攻撃に走り抜いた東京が勝利をつかんだ。
 坂井監督は「昨日はPKで負けたけど、選手たちが集中していたので、良いゲームができると思っていた。選手が本当にこの暑い中、2日続けてすごいハードワークしてくれたと思います」と選手たちの頑張りを讃えた。

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少年男子 / MF 品田 愛斗

少年男子 / MF 品田 愛斗 写真

 千葉に持たれることを予想していたんですけどそんなに取りに来ないのも分かっていたので自分たちのリズムはつかめると思っていました。相手のボールを奪って得点できたのは大きかった。東京らしいゴールだったと思います。

監督・・・坂井 千明 / 清瀬第四中学校
PosNo.氏名所属チーム
GK1田中  颯東京ヴェルディユース(ヴェルディSS相模原ユース)
DF2岡庭 愁人FC 東京U-18
DF3篠原 新汰FC 東京U-18
DF4長谷川光基FC 東京U-18
DF5知久 航介國學院久我山高等学校
MF6荒川 滉貴FC 東京U-18
MF7半谷 陽介FC 東京U-18
MF8池谷 祐輔川崎フロンターレU-18
FW9吉田 和拓FC 東京U-18
MF10品田 愛斗FC 東京U-18
FW11小林  幹FC 東京U-18
GK12高瀬 和楠FC 東京U-18
DF13吹野 竜司FC 東京U-18
FW14吹野 竜司日テレ・メニーナ
DF15佐々木陸生慶應義塾大学
MF16小林 真鷹FC 東京U-18