広報誌

Vol.23 2015年9月発行

女子国際審判員対談 山下良美さん × 坊薗真琴さん 「目の前の試合を積み重ねる」

PROFILE

坊薗真琴(写真右) ぼうぞの・まこと

1980年8月5日生まれ、東京都立川市出身。埼玉県立川越女子高校、東京学芸大学卒業。2009年に女子1級審判員を取得し、2015年より女子国際審判員(副審)に。

山下良美(写真左) やました・よしみ

1986年2月20日生まれ、東京都中野区出身。東京都立西高校、東京学芸大学卒業。2012年に女子1級審判員を取得し、2015年より女子国際審判員(主審)に。

2015年、2人の国際審判員が誕生した。東京都出身の坊薗真琴さんと山下良美さんだ。大学時代の先輩後輩でもある2人に、審判になったきっかけや、心掛けていること、今後の目標を聞いた。

審判を始めたきっかけは?

坊薗
大学の頃にサッカー部に所属していて、当時から「審判をやらないか」と声をかけて下さる方はいたんですけども、全くその気はなくて(笑)。でも、卒業後に改めて声をかけていただいて、審判という視点もあるのかなと思うようになりました。東京都はトレセンなどが充実しているので、そこに参加して、最初は教えられたことを、見よう見まねでやっていきました。その中で、だんだん「もっと上を目指したいな」と思うようになりました。
山下
私は大学の先輩の坊薗さんに無理矢理連れられて、大会に行ったのがきっかけですね(笑)。2級の推薦をもらった時、自分自身も社会人チームでプレーを続けていたので、自分が試合をする日と審判をする日が重なることもあるので、そこへの踏ん切りはなかなかつきませんでした。悩みましたが、女子サッカーにもっと関わりたい、自分が何かしらの力になりたいと感じるようになって2級をとりました。

審判としてレベルアップするには?

坊薗
とにかく、与えられた試合を一つひとつ全力でこなしていくことです。恐らく、審判員の方はみなさん、そういう気持ちで取り組まれているのではないかと思います。正直、審判をやっていて「楽しい」と思える瞬間はそう多くありません。選手から文句を言われることも多いですし、普通にやるのが当たり前で、ミスをしたら批判をされます。でも、東京都はたくさんの仲間がいるので、お互いに話をしたりして次に頑張ろうと思えます。
山下
私はサッカーの社会人チームに所属していて、その練習にも参加しながら、他にもトレーニングしています。私にとってはサッカーをやることが何よりのフィジカルトレーニングです。なおかつ、試合中に選手がどんな感覚でプレーしているのかがわかるので、プラスになっています。

国際審判員の活動とは?

坊薗
女子1級になって、なでしこリーグなどを担当して、そこで実績を積んでから、国際審判員に推薦されます。国際審判は主審と副審に分かれていて、私は副審、山下さんは主審です。毎年2月にマレーシアでアジアの国際審判員が集まる研修があって、その後は各大会にアポイント(指名)されます。3月には早速アポイントをいただいて、リオ・オリンピックのアジア1次予選でヨルダンに行ってきました。国際大会では日本人同士ではなく、他の国の人とコンビを組むので、コミュニケーションは英語です。
山下
坊薗さんが言われていた2月の研修は「AFCエリート審判」に選ばれた方が参加するもので、そこへ参加した方が大会にアポイントされます。私はまだエリートに選ばれていないので、2015年は国際審判員としての活動はありません。私が担当する日本での試合をAFCのアセッサーの方が見に来て、それによって来年度のエリートになれるかが決まります。

東京の審判員へのメッセージは?

坊薗
まずは更新を忘れずに、ということですね(笑)。東京の女子審判員の登録数は約1500人で全国の中でも一番です。ただ、試合数の多さに対し、実際に活動されている方はそこまで多くないのが現状です。アクティブに活動できる審判員を増やしていきたいですし、大学生など若い方になってほしいと思っています。
山下
確かに今のサッカーではフィジカル面やスピード面が求められるようになってきているので、若い方のほうが審判をやるには適していると思います。世界的にも若い審判がとても多くなっています。審判の魅力は試合を誰よりも近くで見られること。サッカーが好きな人で、選手と違った形で関わりたいと思っている人には、ぜひ志してもらいたいです。

今後の目標は?

坊薗
とにかく、日本の女子国際審判員でやってこられた方は本当に偉大で、女子ワールドカップにも毎回参加されていますし、それ自体が本当にすごいこと。当たり前のようになっていますが、当たり前ではなくて。そういった方が築いた歴史を守るのが使命だなと思います。国際審判員としてレベルアップできるように1日1日やっていきたいです。
山下
将来、ワールドカップで笛を吹きたいという目標がないわけではありませんが、とにかく目の前の試合をしっかりとやることが何より大事です。遠い目標よりも、次の試合のことを考えて、全力で頑張っていきたいと思います。

女子国際審判員対談 山下良美さん × 坊薗真琴さん 「目の前の試合を積み重ねる」 写真1

第2回女子審判員サポートプログラム

7月15日、東京都の女子審判員が対象の「第2回女子審判員サポートプログラム」が開催された。大会参加報告や、オフサイドの判定基準の確認、試合の状況を想定したグループディスカッションが行われた。