連盟ニュース

 
 東京都高等学校体育連盟サッカー専門部
地域ごとの連携を密にして補欠ゼロを実現したい
東京都高等学校体育連盟
サッカー専門部委員長
大倉 健史

 東京都は約320の加盟校を8つの地区に分けているので、一つの地区だけで40校ぐらいになります。これは他県の全校数に匹敵することもあるぐらいの数です。
 高体連が主催している大会は1年間に3つあります。もちろん強い高校だけではないので、全て1回戦で負けると、1年間で公式戦を3試合しか経験できないことになりますよね。
 また、強豪校になると100名以上の部員を抱えているところも多い。補欠の選手だと、3年間で練習試合しか経験できないまま引退する選手もいます。
 そこで高体連としては、東京都サッカー協会が主催する強化を目的としたトップリーグへのチーム参加による協力はもちろん、地域ごとによる高校とクラブユースのチームで構成するリーグ戦を来年度も実施する考えを持っています。
 普段は試合に出ることの少ない選手のために真剣勝負の場を作って、日本サッカー協会が提唱している「補欠ゼロ」を実現したいと思います。
 このリーグ戦は公式戦ではありませんが、MVPや得点王を表彰するなど工夫して、限りなく近い雰囲気を味あわせてあげたいですね。
 昨今、東京都の高校は全国大会で目立った成績を残せていません。様々な要因が考えられますが、優秀な選手が分散していることが最も大きいでしょう。
 現在はサッカーに力を入れている高校が地方にも数多く存在します。それにクラブユースも加わるわけです。昔のように「サッカーをするために東京に来る」という時代ではなくなっている。全体的なレベルは落ちていませんが、選手が集まりにくくなっているのは事実です。
 そういった状況を踏まえると、指導のレベルアップも課題の一つになります。
 高校の場合は一時期、教員の採用数が減ったこともあり、中堅年代の指導者がいません。
 これからは大会ごとに指導者が集まってディスカッションをして、教える目を養う努力をしていきたいです。
 また、リーダー研修という各学校の代表やキャプテンを集めて、ライセンスを持つ指導者による研修会も行っています。
 そこで教わったことをチームに戻ってフィードバックすることで、東京都のサッカーの実力を底上げすることが狙いです。
 公立と私立で事情は異なりますが、高校サッカーの指導者は学校でも接しているので、選手の人間的な面も指導することができます。部活動を含めて、子供たちにはサッカーが上手くなるためには学校生活も大切だとわかって欲しいですね。



 
 東京都専門学校サッカー連盟
高校でも大学でもない専門学校としてのサッカー
東京都専門学校サッカー連盟
副理事長
横山 重明

 専門学校のサッカーは大学や高校などの流れとは異なる位置づけにあると考えています。全体的なレベルが高校や大学に比べて劣っているのは事実です。
 まず練習量に違いがあります。専門学校でグラウンドを持っているところは皆無なので、基本的には自分たちでグラウンドを借りて練習することになります。毎日のように練習しているというチームは少ないので、形態としては大学のサークルに近いと言えるでしょう。
 また、専門学校は基本的に2年制なので、チームとしての成熟が難しいという面もあります。そのため、1年ごとにチームの戦力が大きく上下するのも特徴です。ちょっと前までは強かったのに、新チームになった途端に弱くなることもあります(笑)。もちろん、その逆もあります。
 それでも、スポーツインストラクターを養成する学校など、いわゆるスポーツ系の学校は安定して高い実力を誇っていますね。そのため、数年前までスポーツ系の学校と文科系の学校が対戦したときに、点差が開きすぎてしまうことが目立ちました。それを防ぐために現在は加盟チームを1部(2004年度は8チーム)と2部(2004年度は29チーム)に分けています。
 1部にはスポーツ系の学校が多く集まっているので、今までよりもレベルの近いチーム同士が対戦する機会が増えました。結果的に専門学校サッカーのレベルもアップしていると感じます。
 ただ、最近は学校名だけでは判断できない場合も多いですね。文科系の学校でもスポーツに関係する科ができれば、そこにサッカー経験者が集まって強くなったりしますから。
 来年度から実施したいアイデアとしては、高校との交流試合です。10チームぐらいの高校を招待して、専門学校のチームと試合をする、サッカーフェスティバルのような形にすることを考えています。高校は試合数が多いので、常勝チームの出場は難しいと思います。それでも、サッカーを通じて高校との交流を深めることは積極的に行っていきたいですね。
 来年度で20回目を数える試みとして、東京都専門学校選抜を結成しての韓国遠征を行っています。選手にとってはモチベーションになりますし、他分野の学校から学生が集まるので、それぞれの親交を深めるという意味でも意義があります。
 専門学校生の多くは2年という短い間に、必要な資格を取ったり、就職活動をしたりしなければいけないわけです。その上で部活に入ってサッカーをすることは、学生生活を密度の濃い充実したものにしてくれると思います。まさに「文武両道」といったところでしょうか。