巻頭特別企画

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第68回 国民体育大会 サッカー競技/少年男子
東京都・味の素スタジアム他 2013年9月29日〜10月3日
激戦を制して東京都が“日本一”に!


決勝は苦しみながらも小松駿太が決勝ゴール

日本一プロジェクトが最高の形で実を結ぶ

奥原崇監督の体が宙に舞った。サッカー競技の最後に行われた少年男子の決勝。味の素スタジアムで東京都が大阪府を1-0で下して、見事日本一に輝いた。少年男子のカテゴリーで開催地のチームが優勝するのは実に39年ぶりのこと。5年前に発足された「国体強化プロジェクト」で「日本一を目指して戦おう」と誓い合ってきた選手たちが、有言実行を果たした。

滑り出しは決して良いものではなかった。1回戦では宮城県に先制しながら追いつかれ、後半アディショナルタイムに何とか勝ち越した。「前半はみんなびっくりするぐらい固くて……。大丈夫かと思った。」(小松駿太)

2回戦の徳島県戦は3-1で勝利したもののエンジンはかからず。奥原崇監督は試合後に涙を流して、「敗者のためにも自分たちのサッカーをしよう」と選手たちに語りかけた。「あの言葉でチームが一つになった。」(相馬勇紀)


準決勝は延長で神谷優太が決勝ゴール

優勝候補、地元開催というプレッシャーにも慣れたチームは、準々決勝で強豪の埼玉県に3-0で快勝。スコアもさることながら、チームが目指してきたゴールへの貪欲な姿勢を出せたことが最大の収穫だった。


相馬勇紀はチーム唯一の2年連続出場

雨の味の素フィールド西が丘で行われた準決勝・京都府戦は延長戦にもつれ込む接戦となった。勝負を決めたのは79分、エースの神谷優太だった。神谷のゴールはサイドからのクロスに頭から飛び込んで決めたもの。「ヘディングが苦手」という神谷の起死回生のダイビングヘッドが東京都を決勝の会場・味の素スタジアムへ導いた。

決勝の相手は大阪府。奥原監督は「実力的には自分たちより一枚も二枚も上手」と分析し、試合前に「粘り強く戦っていこう」とアドバイスを送った。その言葉通り、前半から東京都は大阪府にボールを回される展開となった。

それでも、48分、高い位置でボールを奪って、素早く仕掛けると、井上潮音のスルーパスにボランチの小松が飛び出す。小松がGKとの1対1で落ち着いてボールを流し込み、優勝に大きく近づく。その後、大阪の猛攻にさらされながらも、全員で凌いで1-0のままタイムアップを迎えた。

「最後に僕が監督をしたが、優勝できたのは5年間の取り組みがあったから。このチームに関わった、たくさんの人たちに感謝したい。」(奥原監督)

地元開催の日本一は東京都の底力を見せつける結果となった。


RESULT 70分(35分ハーフ)延長20分(10分ハーフ)
※(  )は前半のスコア
1回戦 vs 宮城県 ○3-1(1-0) 得点者:田代蓮太(20分)、神谷優太(70+1分)、小松駿太(70+5分)
2回戦 vs 徳島県 ○3-1(1-1) 得点者:小松駿太(19分)、神谷優太(42分、70+1分)
準々決勝 vs 埼玉県 ○3-0(1-0) 得点者:神谷優太(8分)、田代蓮太(53分)、大熊健太(70+3分)
準決勝 vs 京都府 ○2-1(1-0)
 (延長1-0、0-0)
得点者:田代蓮太(23分)、神谷優太(79分)
決勝 vs 大阪府 ○1-0(0-0) 得点者:小松駿太(48分)

背番号 POS 選手名 所属チーム
1 GK 山口 康平 FC東京U-18
2 DF 相原 克哉 FC東京U-18
3 DF 鴻巣 良真 國學院大學久我山高校
4 DF 渡辺 拓也 FC東京U-18
5 DF 柳 貴博 FC東京U-18
6 MF 小松 駿太 横浜F・マリノスユース
7 MF 田代 蓮太 東京ヴェルディユース
8 MF 大熊 健太 FC東京U-18
9 FW 相馬 勇紀 三菱養和SCユース
10 MF 佐藤 亮 FC東京U-18
11 FW 神谷 優太 東京ヴェルディユース
12 GK 松嶋 克哉 FC東京U-18
13 FW 郡 大夢 東京ヴェルディユース
14 MF 井上 潮音 東京ヴェルディユース
15 MF 安部 柊斗 FC東京U-18
16 DF 岡崎 慎 FC東京U-15 深川

COACH'S VOICE

少年男子
監督 奥原崇

国体を何度か経験してきて、優勝するにはまとまりがないとダメだと思っていました。サッカーの実力と同じぐらい、そこを大事にしてメンバーを選考しました。チームにとって大きかったのが1・2回戦。僕たちに負けた県の国体に対する想いを感じたことが、選手たちを成長させてくれました。所属チームで試合に出ている選手も多いので、これからも各自の環境で実力を磨いて、7年後の東京オリンピックも目指していってほしいと思います。



PLAYER'S VOICE

少年男子
6 小松駿太

決勝ではゴールを決めることができて良かったです。ゴールを決めるとしたら、ショートカウンターだと思っていたので、狙い通りでした。個人的には横浜F・マリノスの下部組織に所属していて、国体は出身地の東京都と所属チームがある神奈川県の2つの選択肢があったのですが、小学校・中学校と自分を育ててくれた東京都に恩返しをしようと思って、東京都で出ることを選びました。国体で得た自信を所属チームにつなげていきたいです。






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