試合レポート


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第29回東京都専門学校秋季サッカー大会
2010年11月8日 東京都・駒沢第二球技場
 


2年連続7回目の優勝を果たした日本ウェルネススポーツ専門学校

後半だけで5ゴール! ウェルネスが2連覇果たす!

 第29回東京都専門学校秋季サッカー大会は、日本ウェルネススポーツ専門学校が大原簿記法律専門学校立川校を下し、2年連続7回目の優勝を果たした。
  昨年度は春季大会、秋季大会、会長杯の〝3冠〟を達成したウェルネスだったが、春に行われた春季大会は準々決勝でまさかの敗戦。自他共に認める専門学校界の〝常勝軍団〟にとって、非常に悔しい結果だっただろう。それだけに秋季大会にかける気持ちは強かった。
「今年はチームとしてなかなかうまくいかなくて、まだタイトルを獲れていなかったので、最後にこういう形で終われたので言うことなしです」とウェルネスの10番・郡司滋比古は喜びを語った。
  前半は昨年も決勝を戦った大原簿記法律立川校を崩し切れず、ボールを支配しながら0─0のスコアレスで折り返した。ハーフタイム、「トップのボールの収まりが悪かったから」と佐々木善監督は郡司をFWから左サイドハーフにポジションを変更する。
  これがズバリ当たる。45分、ペナルティーエリア左サイドでスルーパスを受けた郡司がシュートを決めて先制点。それから8分後、右サイドからのクロスに左から郡司が飛び込み、2点目を決めて突き放す。
「ハーフタイムに監督からはもっと裏を狙うように言われていたのでうまく入れた。監督に言われたことをチーム全体で意識することができて良かった」(郡司)。
  点を取られて前掛かりになった大原立川の薄くなったディフェンスを突いて、ウェルネスが追加点を挙げる。76分に高橋翔太、78分に前川夏輝、80分にオウンゴールからゴールネットを揺らし、5─0で勝利。
  近年は専門学校全体に共通する学生不足の影響によって、ウェルネスといえども、かつてのようなチーム力を維持するのは難しくなっている。佐々木監督が「力の差がなくなっている」と語るように、チームの実力は拮抗しており、どこにも優勝のチャンスがある混沌とした状況は今後も加速化していくだろう。
  苦しい状況の中でウェルネスが勝ち取った今回のタイトルには、これまで以上の大きな価値がある。
  大原簿記法律立川校は前半までは本来はMFの原島直也をDFに起用し、守備を固める作戦が奏功。前線で起点を作らせずに無失点に抑えていたが、後半の立ち上がりに先制されてからは、中川誠斗が「体力と集中力が切れてしまった」と語るように、一方的に失点を重ねてしまった。
  とはいえ、スポーツ系の専門学校ではないにも関わらず、準々決勝、準決勝と1点差の接戦を制して勝ち上がってきた大原簿記法律立川校の粘り強さは驚異的の一言。2年連続で決勝まで勝ち上がった実力は確かで、これからが楽しみなチームの一つといえる。
  ウェルネスを倒すチームは現れるのか、それともウェルネスが王者を守り続けるのか。これからも注目していきたい。

 
準優勝の大原簿記法律専門学校立川校
 
 
interview

大原簿記法律専門学校 立川校
MF 8 中川誠斗

みんなで支え合ったから
          ここまで来ることができた

決勝戦は2年連続で2回目です。去年もウェルネスに負けたのでリベンジの気持ちで臨んだんですが……。後半になって体力と集中が切れてしまったのが残念です。優勝することはできませんでしたが、決勝まで来ることができたのは、チームのみんなで支え合ったり励ましあったりすることができたからこそ。キャプテンとして本当に感謝の気持ちで一杯です。来年は優勝してくれるようにOBとして応援していきたいです。
   
日本ウェルネススポーツ専門学校
FW 10 郡司滋比古
最後にこういう形で
          終われて良かった
今年はチームとしてなかなかうまくいかずタイトルを獲れていませんでした。しかし、最後にこういう形で終われたので、言うことなしです。ハーフタイムに佐々木監督からもっと裏を狙うようにと言われて、チーム全体で意識してやれたのがゴールにつながって良かったです。チーム内に実力差はありましたけど、そんな中で力を合わせたことは人間的成長につながるはず。個人的にはサッカーをもうちょっとやっていきたいです。

第18回東京都クラブユースサッカー(U-17)選手権大会
2011年2月11日 東京都・西が丘サッカー場
 


積極的な仕掛けを見せたヴェルディのMF杉本

雪の中でのライバル対決は FC東京が1点差で粘り勝ち!
 東京都クラブユースサッカー(U―17)選手権大会、決勝に勝ち上がったのは東京ヴェルディユースとFC東京U―18。東京都のユース大会の決勝ではお馴染みのカードだが、どんなときでも熱い試合になるのはお互いが「ヴェルディだけには負けられない」、「FC東京だけには負けられない」という特別な感情を持っているからだろう。
  試合は開始早々に動く。10分、ゴール正面でヴェルディが得たフリーキックを端山豪が意表を突いてパス、中島翔哉がワンタッチで落としたボールを舘野俊祐がダイレクトで蹴り込む。ヴェルディが鮮やかなゴールで先制する。
  FC東京もすぐさま反撃に出る。失点からわずか6分後の16分、ゴール前のこぼれ球を拾った二瓶翼が強烈なシュートを突き刺して、瞬く間に1―1のタイスコアに持ち込む。序盤からお互いの勝利への気持ちがバチバチとぶつかり合い、寒さを吹き飛ばすほどの熱気がピッチに充満する。
  FC東京に逆転ゴールが決まったのは33分。右サイドからのクロスに合わせようとした岩田拓也を東京ヴェルディDFが倒してしまい、FC東京にPKが与えられる。これを、「トップでもできる可能性がある選手」と倉又寿雄監督らチームスタッフから期待を寄せられるMF橋本拳人が落ち着いて決めて2―1とした。
  前半から降り始めていた雨は次第に雪へと姿を変え、ピッチを覆い始める。真っ白に染まったピッチでは、通常であればボールコントロールのミスが増えるところだが、そこは高いレベルの両チーム。雪のピッチの影響をそれほど感じさせないまま試合は進んでいく。65分にFC東京はDF吉田一彦が退場し、数的不利な状況に追い込まれる。しかし、10人になったFC東京は11人のとき以上の気迫を見せる。ドリブル、ミドルシュート、コンビネーションと多彩な東京ヴェルディの猛攻を跳ね返して、2―1でタイムアップ。
  決勝点の橋本は「10人になってからチーム一丸となれたのが勝てた要因。ずっとライバルとしてやってるチームで、絶対に負けられないと思っていたので勝ててうれしい」と充実した表情で振り返った。
 

第18回東京都クラブユースサッカー(U-14)選手権大会
2011年2月20日 東京都・西が丘サッカー場
 


フォルツァ’02石川のオーバーヘッドシュートが決まる

フォルツァ’02 見事、ダブル優勝!
 U―14の決勝戦に先駆けて行われた「東京都フレッシュカップ」は、東京都クラブユースサッカー(U―14)選手権大会にて下位で敗退したチームや、あまり試合に出られない選手(Bチーム)が自由に参加できる大会。決勝はフォルツァ’02のBチームと世田谷FCの対戦となった。
  試合は終止ペースを握ったフォルツァ’02が長短のパスを織り交ぜ攻めるも、世田谷FCの粘り強い守りの前にゴールを割れない。しかし残り時間5分、ゴール前にこぼれてきたボールをフォルツァ’02途中出場の市波大輝が決めて勝利した。
  決勝戦はフォルツァ’02と三菱養和巣鴨サッカークラブというカード。開始早々、三菱養和巣鴨がチャンスを迎える。関野太聖のクロスを高橋瞭斗がシュート。これは惜しくもゴールを外すも、いきなり決定的場面を迎える。三菱養和巣鴨はDFラインでボールをつなぎ、大きな展開からのサイド攻撃を見せるが、「ウチは守備のチーム」とフォルツァ’02大野監督が語るように、今大会無失点の堅守が立ちはだかる。
  そんな中試合が動いたのは26分。三菱養和巣鴨の高橋瞭斗のシュートがブロックした相手DFに当たり、ゴール前にこぼれたところをいち早く反応した伊東駿が押し込み先制。このまま前半は1―0と三菱養和巣鴨リードで折り返す。
  後半に入るとフォルツァ’02は高い位置でボールを奪う場面が多くなり、チャンスを作り出す。そして51分、フリーキックのこぼれ球を尾高弘樹がふわりとあげると、これを石川喬一が見事なオーバーヘッドシュートを決めて同点。フォルツァ’02はこの勢いのまま66分にコーナーキックの混戦からまたしても石川喬一が決めて逆転に成功する。三菱養和巣鴨はDF木脇次郎を前線に上げてパワープレーを仕掛けるがフォルツァ’02は最後まで運動量が落ちずボールに食らいつき、フレッシュカップを優勝したBチームと共に、フォルツァ’02がダブル優勝を果たした。
  フォルツァ’02大野監督は「どっちが勝ってもおかしくないような試合だったので、運をつかんだのが勝因かなと思います」と勝利を喜んだ。
 
第1回東京都・ソウル特別市シニアサッカー定期戦
2010年12月5日 東京都・北区立赤羽スポーツの森サッカー場
 
 
大韓大学サッカー連盟のピョン・ソクハ会長(左)と東京都シニアサッカー連盟の曹明委員長(右)
 
日本と韓国の新たな架け橋  シニア年代から生まれる友情
 
日本の〝永遠のライバル〟と呼ばれる韓国。アジアサッカーの仲間として、また最高の対戦相手として、深いつながりを持っている日本と韓国だが、その中でも両国の首都であり、姉妹友好都市でもある東京とソウルの結びつきは強い。
サッカーでは、1996年からは両都市のサッカー協会の友好親善を目的とする「東京―ソウル親善サッカー定期戦」が毎年交互に開催されている。
そして、今年度からは東京とソウルの結びつきをさらに強めるイベントがスタートすることになった。東京の〝最年長カテゴリー〟であるシニアでも定期戦が行われることになったのである。東京都シニアサッカー連盟の曺明委員長が定期戦誕生の経緯を説明する。
「U―18・U―15で交流戦をやっていましたが、シニアでもできないかと思っていました。昨年、東京都シニアリーグで優勝したトヨペットがソウルに行って試合をしたときに話をしたところ、向こうも『是非やりたい』と。私自身が在日コリアンですから、韓国とのパイプが強いうちに始めようと思ったのです」。
「第1回」となった今回はソウルのチームを招く形で、北区立赤羽スポーツの森サッカー場で開催された。
 参加チームはオーバー40の部が高麗サッカークラブ40、セレクシオーネ世田谷、ソウル市代表O―40、オーバー50の部が高麗サッカークラブ50、NTTシニア、ソウル市代表O―50の6チーム。
  ソウル市代表は、ソウル市の強豪チーム、ヒュンメルコリア・月渓蹴球会中心の選抜チームである。
  ソウル市代表チームの一員としてプレーもした、同チーム代表のピョン・ソクハ大韓大学サッカー連盟会長は東京都との交流戦についてこのように語った。
「このような交流試合は大歓迎ですし、もっとあっても良いと思っています。韓国のシニアサッカーも日本と同じように盛り上がりを見せています。シニアなのでライバル意識を燃やすというよりは、サッカーを通じて新しい友達のような関係が築いていけたらうれしいです」。
  ライバル意識よりも友情――ピョン会長はこのように語ったものの、試合が始まってみれば友好ムードから真剣勝負モードに早変わり。ゴール前では体をぶつけ合い、微妙な判定を巡ってヒートアップする場面も。それでも、試合自体がそこまで荒れなかったのは、それぞれの選手の根底に相手を尊敬する気持ちがあるからだろう。
「シニアのカテゴリーでも勝ちたい、負けたくない気持ちをみんな持っています。ソウルのチームのほうが熱くなっているところはありましたが(笑)」(曺委員長)。
  東京とソウルのトップチーム同士の交流戦はO―40、O―50の部、全部で5試合が行われた。
  O―40、50のどちらでも出場した高麗SCは、在日コリアンの選手によって構成され、日本一になったこともあるシニアサッカー界屈指の強豪チーム。ソウル市代表との〝同胞対決〟は、ボールの組み立てから、落ち着いたプレーまでシニアサッカーの「お手本」と言っても良いような試合になった。
  O―40で出場したセレクシオーネ世田谷の試合中には、スタンドに駆けつけた仲間たちが「ニッポン!」コールを選手たちに送った。世田谷はソウル市代表にボール支配率では上回られながらも、素早いカウンターとサイドアタックからチャンスを作り出し、1―1と勝利まであと少しのところまで追い詰めた。
  〝永遠のライバル〟と表現されるように、日本と韓国はA代表からシニアまでカテゴリーを問わずにライバル関係にある。だが、ピョン会長は言う。「日本と韓国はライバルですが、世界から見れば日本と韓国は体格的にも、プレースタイル的にも、よく似ています。だからこそ、このような機会を増やして、良いところを学びながら、もっともっと強くなっていくことが大事だと思います」。
  その言葉通り、これからアジアが強くなっていくためには、〝最も身近な強豪国〟との相乗効果は必要不可欠。今回の交流戦は単に試合をしたこと以上の意味があると言えるだろう。
「シニアサッカーの最大の魅力は40歳になっても、50歳になっても、ボールを通じて新しい仲間ができることなんです。今回にしてもそう。この年齢になって外国の人と触れ合う機会はそうそうないでしょう」。
  曺委員長はこの定期戦がサッカーを通じた国際交流であることを強調する。それがシニアのカテゴリーで行われていることは興味深い。年齢を問わず日本と韓国が切磋琢磨し、レベルアップしていくことを期待したい。
 
東京からは2010年の東京都シニアチャンピオンズリーグ1位のセレクシオーネ世田谷が出場
 
 
ソウル市代表として出場したのは、ソウル市の強豪ヒュンメルコリア・月渓蹴球会の選抜メンバー


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